がんの治療・療養中の健康維持・増進にオーガニック食品は役に立つ?

健康的なイメージのある「オーガニック」「有機」「ナチュラル」などの言葉を、日常のなかで目にする機会があります。みなさんは、これらの意味や定義をご存じでしょうか。また、オーガニック食品が健康の維持や増進に効果があるのかどうかも気になるところです。今回は、がんの治療や療養生活に役立つオーガニック食品に関する知識をご紹介します。

オーガニックとは

オーガニックは、化学肥料や農薬に頼らず、自然の恵みである太陽、水、土地、そこに生きる生物などを活かした農林水産業や加工方法のことで、「有機」と表現されることもあります。微生物や植物の生存環境、つまり、水や大気、土を汚染から守り、自然のままの健全な食物連鎖を目指すことが人間の健康につながると考えられています。

オーガニックと似た言葉として「ナチュラル」があります。両者の違いは、栽培に人の手による管理が行われたか否かという点です。例えば、自然のなかでできた果実や木の実を採取するだけの場合はナチュラルで、土を耕す、種をまく、雑草を取るといった人の手が入っている場合はオーガニックとされています。ナチュラルは自然栽培と混同されることがありますが、自然栽培は「自然の摂理を模倣した人為的栽培」ともといえるため、オーガニックの範疇と考えられているようです。

考えられるオーガニック食品の効果

ロンドン大学研究チームは、2009年6月に発表した研究結果のなかで「オーガニック食品は一般食品と栄養価は変わらない。また、特に健康にいいとはいえない」と伝えています。

しかし、この報告結果についてロデール研究所の代表者は、オーガニック食品の栄養価やそれを利用した際の効果を判断するには、研究方法が不十分であると指摘しています。その理由としては、食品の栄養素が人の健康にどのように役立つかを正確に知るには、複雑な評価が必要であること、そして、人によって生体反応や食事法、健康状態、栄養素の消化方法が違うことを挙げています。つまり、ロンドン大学の研究ではオーガニック食品と一般食品の差を知り得ることはできなかったものの、もっと厳密な方法で調査すれば、人によってオーガニック食品が健康の維持・増進につながるという結果が得られる可能性があるということです。

また、品種や土壌をはじめとした栽培上の各種条件を十分に管理しながら両者の栄養特性を比較する必要があると指摘しています。そのため、オーガニック食品について「栄養素が一般の栽培方法よりも○倍高い」「栄養素が豊富」といった表示や宣伝があっても、鵜呑みにするのは危険です。

なお、オーガニック食品の短所をひとつ挙げるとすれば、一般食品よりも高価であることです。

オーガニック食品を生活に取り入れる際の注意点

生活にオーガニック食品を取り入れるときに、注意すべきポイントをいくつか挙げてみましょう。

日本のJAS法では、有機農産物および有機農産物加工食品を「オーガニック」として表示・販売する場合には、生産者や加工業者が登録認定機関の検査・認証を受け、商品に「有機JASマーク」を表示することが義務づけられています。店頭でオーガニック食品を探す際は、この有機JASマークを目印にしてください。ただし、畜産物や水産物、およびそれらの加工品、食品以外の繊維、化粧品などは、オーガニック表示のための検査と認証が義務づけられていません。

日本では、食品衛生法によりすべての食品の安全性が確保されています。オーガニックは食品の生産や加工の過程において、化学的なものを可能な限り排除しているため、一般的な食品より化学的危害リスクが低いといえます。しかし、化学物質がゼロであることを保証しているわけではありません。

海外の栄養講座では、がん患者さんが口にする食品はできる限り農薬、抗生剤、合成着色料、化学調味料といった健康への悪影響が考えられるものが含まれていないこと、すなわちオーガニック食品を選ぶ重要性が説明されているそうです。また、オーガニック食品は「体に眠っている免疫システムを呼び起こす」とも考えられています。しかし、日本ではオーガニック食品を日常的に手に入れることが難しい場合があります。そのようなときには、果物や野菜はよく洗ったり、皮をむいたりしてから食べることが大切です。加工品であれば、発がん性が疑われる添加物が使われていないかどうかを確認しましょう。

また、オーガニック食品を活用するには、食事のバランスや調理方法にも工夫が必要です。免疫を高めるために体を温め、たんぱく質と野菜を多くとれるようなメニューを作るといいでしょう。

オーガニックの正しい情報を確認しよう!

健康な生活を目指すためのオーガニックの取り組みは、がんの治療・療養中において注目したいポイントです。一般食品の生産や加工の際に利用されている化学物質は、長期間摂取し続けることで健康障害を生じるリスクが懸念されています。それに対して、オーガニック食品は安全性を確保するために、保存料や着色料などの添加物をできる限り排除しています。また、アレルギーのない生活を目指すために、化学的な染料や塗料を使用しないという取り組みもなされています。オーガニックに「なんとなく体によさそう」「体への負担が少なそう」というイメージがあるのは、このためかもしれません。しかし、オーガニック食品に対する過信は禁物です。オーガニックに関する正しい情報を確認して、生活に取り入れていきましょう。

 

参考: