がん療養中に不眠の悩みを持つ人へのアドバイス

がんの療養中には、体力と免疫力を維持しなければなりません。そして、そのためには十分な睡眠が必要です。しかし、がん療養中に不眠の悩みを持つ人は少なくありません。そこで今回は、薬剤を使わずに眠りにつくためのアドバイスをご紹介します。

不眠のタイプと原因

一般的に、不眠に悩む人は全体の15%程度ですが、がんの患者さんに限ると30~50%が不眠を経験しているといわれています。がんの治療後2~5年経っていても、23~44%の人に不眠が残っているとの調査結果もあるようです。

不眠にはさまざまなタイプがある

睡眠の質や量が不十分だと、頭痛がする、集中力に欠ける、イライラするといった心身への影響がみられることがあります。不眠には、以下のようにさまざまなタイプがあります。

  • 入眠障害
    床についても、なかなか寝付けない
  • 中途覚醒
    寝ついても朝まで何度も目が覚めてしまう
  • 早朝覚醒
    通常の起床時間より、2時間以上早く目が覚めてしまう
  • 熟眠障害
    睡眠時間は十分確保できているのに、深く眠った感覚がない

がん患者さんの不眠の原因

がん患者さんの不眠には、以下のような原因があります。原因はひとつだけでなく、複数が重なっていることもあります。

  • 身体的原因
    痛みや嘔吐、発熱といった、病気の進行や治療にともなう副作用によるもの
  • 薬理学的原因
    ステロイド剤や中枢神経刺激薬など薬剤によるもの
  • 生理的原因
    入退院をはじめとした環境の変化によるもの
  • 心理的原因
    ストレスや不安などによるもの
  • 精神医学的原因
    うつ病や適応障害、せん妄などによるもの

薬剤に頼らない不眠対策

がん患者さんの不眠への対処法には、薬剤を使う方法と薬剤を使わない方法があります。ここでは、薬剤に頼らず不眠を軽減する方法をご紹介します。

刺激制限療法で寝室と睡眠を関連づける

よく眠れる人の脳は、寝室を睡眠と関連づけて認識しています。ところが、不眠に悩む人の脳は寝室と不眠を関連づけ、「寝室は眠れない場所」だと条件反射的に目が覚めてしまうのです。その思考を断ち切り、脳に「寝室は眠る場所」と認識させる手法を刺激制御療法といいます。

脳の認識を変えるには、眠るとき以外に寝室を使わないことがポイントとなります。就寝前にベッドでスマートフォンを使ったり、読書をしたりする習慣がある人は、まずそれらをすべてやめなければなりません。そして、寝室には眠くなってから向かいます。床についてから20分経っても眠れない場合は、いったん寝室から離れ、あらためて眠くなるのを待ちましょう。

睡眠のサイクルをつくる

規則正しい生活を送ると、睡眠のサイクルができて眠りやすくなります。特に、毎日決まった時間に起きるようにしましょう。そして、起床後には日光を浴びることが大切です。そうすることで体内時計がリセットされ、就寝時間のころに睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されるようになります。

睡眠環境を整える

快適な睡眠を得るために、寝室は暗く静かな環境に整えます。就寝の直前にカロリーの高い食事やスパイスが効いた食事をとらないようにしましょう。同様に、カフェインやアルコールの摂取も禁物です。寝つくためにお酒の力を借りる人がいますが、睡眠が浅くなるのでおすすめできません。

心身ともにリラックスする

就寝前には、心身ともにリラックスしましょう。読書や音楽鑑賞、深呼吸、ストレッチ、ヨガ、瞑想、アロマテラピーなど、さまざまな方法があります。ホットミルクやハーブティーを飲んだり、ぬるめのお風呂に入ったりするのも効果的です。

不眠の悩みは積極的に医師へ相談しよう

不眠の症状があっても医療機関に相談する人は16%くらいだという調査結果があります。さまざまな不眠対策を試しても改善されない場合は、ひとりで悩まず積極的に医師に相談してください。

 

参考: