すい臓がんはどんな病気?

国立がん研究センターがん対策情報センターによると、2014年にすい臓がんで亡くなった人の数は男性が約1万6千人(がんの部位別死亡数で5位)、女性が約1万5千人(がんの部位別死亡数で4位)で、罹患数は年々増加傾向にあるようです。今回は、早期発見が難しいといわれるすい臓がんのリスク要因や診断方法、治療方法についてご紹介します。

すい臓がんのリスク要因は?

すい臓がんの発症リスクを高める要因として明らかになっているのが喫煙です。そのほか、肉や脂肪分の多い食事、糖尿病、多量のアルコールによって引き起こされる慢性膵炎も、すい臓がんのリスクを高める可能性があると指摘されています。

すい臓がんの早期発見が難しい理由

すい臓がんを早期に診断するのが難しいとされる理由は、以下の3点が考えられます。

  • すい臓はほかの臓器に囲まれているため、健康診断や人間ドックではがんを発見するのが難しい。
  • 特徴的な早期の自覚症状がない。
  • どのような人がすい臓がんになりやすいのか、明らかになっていない。

すい臓がんの早期の症状

すい臓がんに特徴的な症状はありませんが、約半数は最初に腹痛(32%)か黄疸(18.1%)がみられたとのデータがあります。ほかにも、腰や背中の痛み、食欲不振、全身の倦怠感、体重減少、皮膚のかゆみ、便通の変化が生じるケースがあります。また、糖尿病の発症・急激な悪化も要注意なようです。

すい臓がんの診断方法

発見が難しいすい臓がんは、どのような検査を経て診断されるのでしょうか。

一般検査

血液生化学的検査において、肝機能の異常や血中アミラーゼ値の上昇がみられると、すい臓がんの可能性が指摘されます。腫瘍マーカーはCA19-9 、CEA、DUPAN2、SPAN1が異常値を示すことがありますが、それがすい臓がんの診断と直結するとは限りません。

スクリーニング検査

スクリーニング検査は、以下の2種類が行われます。

  • 超音波検査
    超音波によって体の内部を観察する、患者さんの体に負担をかけない簡便な検査法です。血流の様子も確認可能で、がんの浸潤範囲の確認に活用できることもあります。
  • 造影CT検査
    X線で体を輪切りにした映像を連続撮影することで、体内を観察する方法です。すい臓がんの診断には、静脈から造影剤を注入する必要がありますが、造影剤による副作用が生じるケースがあります。

精密検査

スクリーニング検査で異常が認められた場合は、超音波内視鏡検査、MRI検査、ERCP検査(内視鏡的逆行性膵胆管造影検査)、血管造影検査などが行われます。また、近年ではがん細胞の糖代謝を利用したFEG-PET検査によって、膵炎をはじめとした良性の病変とがんを鑑別するケースが増えています。ただし、個々の検査だけでは情報が不十分な可能性があるので、複数の検査結果から総合的に診断をします。

病理組織学的検査

画像検査では診断が難しい場合や、治療方針を決めるために確定診断が必要な場合には、病変から組織を採取する病理組織学的診断が行われることがあります。

すい臓がんの治療について

すい臓がんの治療方針は、がんの進行具合と体の状態によって決められます。

外科療法

現在、すい臓がんの完治が期待できるのは外科療法だけです。そして、手術を受けられるのは、ほかの臓器に転移がみられないケースのみとなります。しかし、すい臓の解剖は複雑なため、摘出手術は容易ではありません。特に、すい頭部にがんがある場合には、切除とともに胆汁や膵液などの通り道を再建する必要があります。6~8時間以上かかる大手術となるので、体がそれに耐えられることが条件となります。ただし、すい臓がんは早期発見が難しいこともあり、手術ができるのは2~4割程度といわれています。

放射線療法

外科療法が難しく、すい臓から離れた臓器への転移がみられないときに行われるのが放射線療法です。化学療法と併用することで、治療効果が高まるといわれています。

外科療法が可能な場合でも、手術中の開腹しているときに放射線を照射するケースがあるほか、手術前の病巣縮小や、手術後の再発防止のために放射線照射を行うこともあります。

また、がんが神経を圧迫して痛みを引き起こしている場合に、痛みを軽減する目的で放射線療法が用いられることがあります。

化学療法

手術によるがん病巣の摘出が難しい場合は、放射線療法とともに化学療法が用いられます。しかし、すい臓がんには抗がん剤が効きにくく、抗がん剤治療だけでの完治は難しいため、症状の軽減や延命が目的となります。

治療終了後も定期検査が必須

すい臓がんは転移や再発の可能性が高いため、外科療法による治療が終了したあとも定期的に検査を受けなければなりません。少なくとも5年間は、血液検査やCT検査を受けてください。

 

参考: