がん治療を始める前の食事のポイント

体の栄養状態は、治療の効果に大きく影響します。また、抗がん剤治療を受けるにあたって免疫力を高めたい場合や、手術前に体脂肪を減らしたい場合があるでしょう。そのようなときに、深く関わってくるのが食事です。今回は、がん治療を受ける前の食事に関するポイントを、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療それぞれの場合についてご紹介します。

外科手術をする前の食事

担当医からの特別な指示がない場合には、体重(kg)に30~35kcalをかけた数値が、1日に必要なエネルギー量です。例えば、体重60㎏の場合は1日1,800~2,100kcalが目安となります。食事には五大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)がバランスよく含まれるように配慮してください。

手術直前の食事は、高たんぱく質・低脂肪がすすめられています。また、手術前1週間は、ビタミンEやビタミンK、月見草、ボリジのサプリメントは服用しないでください。血液をサラサラにするもの、麻酔効果を高めてしまうもの、血圧上昇効果のあるものを服用していると、手術中に予期せぬ事故を招く可能性があります。そのほかのサプリメントについても、担当医に確認するようにしましょう。

栄養状態を改善したい場合

食欲不振が続くと、体が低栄養になってしまいます。低栄養状態で手術を受けると、傷の回復が遅れるだけではなく、合併症を引き起こしやすくなります。体の栄養状態は、血液検査や体重の測定によって知ることができます。担当医に栄養をつけておくように言われた場合や体重の減少がみられる場合には、手術に備えて栄養価の高い食事をとる必要があります。

食が進まないときには、食事量を増やさずに栄養価を上げる工夫が必要です。例えば、朝食のトーストにはバターやジャムを塗ったり、チーズを乗せたりするといいでしょう。まぜご飯やチャーハン、中華丼、具だくさんの煮込みうどんなどは、一度に数種類の食品がとれるのでおすすめです。

体脂肪を減らしたい場合

過度に体脂肪が蓄積していると、手術の際に麻酔管理が難しかったり、血管や神経が脂肪組織に埋もれて損傷しやすくなったりと、さまざまなリスクがあります。そのため、担当医の指示があった場合には、体脂肪を減らす必要があります。しかし、その一方で体力や筋力は維持しなければなりません。

極端なダイエットは避け、バランスのとれた食事をすることが大切です。野菜や海藻で食事にボリュームを出すことで炭水化物を控えめにし、たんぱく質は低脂肪のものを選ぶといいでしょう。例えば、皮や脂を除いた鶏の胸肉やささみなどがおすすめです。

抗がん剤治療が始まる前の食事

バランスのとれた食事をしっかりとり、栄養状態を高めます。体の栄養状態が良好だと免疫力が向上し、副作用からの回復を早めるといわれています。

抗がん剤治療の直前には、低脂肪で炭水化物が豊富な食事が推奨されています。

免疫力を高めたい場合

五大栄養素がバランスよく含まれる食事を心がけましょう。特に、摂取する食品の品目を増やすのがおすすめです。乳酸菌を食物繊維で腸内環境を整えたり、ビタミンC、ビタミンE、セレンなどを摂取したりすることも注目されています。

放射線治療が始まる前の食事

バランスの取れた食事が重要です。1回の食事で十分な量を食べることが難しい場合は、食べる回数を増やしたり、間食や飲みもので栄養を補ったりするといいでしょう。

なお、放射線治療は、開始前に放射線の照射部位の位置決めをします。ところが、そのあとに体型が変化すると、照射部位の位置がずれてしまい、治療上の問題となる可能性があります。体重が増減しないように、過不足なく食べてください。

頭頸部がんや口腔がん、食道がんなどでは、食べ物を噛んだり飲み込んだりすることが難しい場合があります。そうなると食事量が減る傾向があるので、体重減少に気をつける必要があります。

つかえ感があって飲み込みにくい場合

とろみをつけたり、ゼリー状にしたりすることで飲み込みやすくなります。また、おかゆや雑炊、汁物にして水分を補うと、食べやすくなるケースが多いようです。

噛むのが難しく食べにくい場合

豆腐、卵豆腐、はんぺんなどのやわらかい食品を取り入れるとともに、食べやすい大きさに切ります。また、繊維を絶つように細かく切る、隠し包丁を入れる、圧力なべで柔らかく煮込むといった、調理上の工夫をするといいでしょう。口のなかでばらつく食べものは、和えものにしたりあんかけにしたりしてまとめると、食べやすくなります。

どうしても食べられないときは栄養補助食品を使おう

がんの治療前には体の栄養状態を改善しなければなりませんが、どうしても食べられないときには栄養剤や栄養補助食品の助けを借りる方法もあります。栄養補助食品は、ゼリータイプ、ドリンクタイプなどさまざまなものがあるので、看護師や栄養士に相談するといいでしょう。


参考: