がんの治療・療養中におけるオストメイトとしての生活について

がんの治療・療養中にストーマを造設する必要に迫られることがあります。しかし、ストーマを造設してオストメイトになると、これまでの生活がどのように変わるのか想像できないのではないでしょうか。そこで今回は、オストメイトの日常生活についてご紹介します。

心配はいらないオストメイトとしての生活

「オストメイト」は、人工肛門や人工膀胱を意味する「ストーマ」と仲間を意味する「メイト」を組み合わせた言葉で、病気や障害の治療のために人工肛門や人工膀胱を持つ方々の総称です。

手術によって腹部にストーマを造設すると、排泄を自分でコントロールすることが難しくなり、排せつ物を受けとめるストーマ装具をつけて日常生活を送ることになります。そのため、生活環境やライフスタイルを大きく変える必要があるのではないかと身構えたり、不安に感じたりするかもしれません。しかし、実際にはストーマに関するセルフケアが必要になること以外、これまでと大きな違いはありません。適切な方法でセルフケアをすれば、社会復帰や趣味を楽しむこともできます。最近では、国内外の著名人がオストメイトであることを公表し、従来どおりの仕事に復帰、活躍されているニュースを見聞きします。これは、著名人だから有益なサポートを得られたのではありません。患者さんは誰でも適切なサポートを受け、これまでどおりの生活を送ることができるのです。

オストメイトの日常生活のポイント

オストメイトは日常生活において、どのような点を注意すべきなのでしょうか。食事や入浴、衣服などについて、以下でチェックしてみましょう。

  • 食事
    バランスのよい食事を1日3回きちんととるように努めてください。よく噛んで、食べすぎないようにすることが大切です。食事内容によっては、ガスの発生や便の状態に影響がある場合がありますが、極度に控えるのではなく様子をみながら摂取量を調整しましょう。食べ慣れないものは1日に1品目に限り、消化や便の状態を確認してから量を増やすことをおすすめします。そして、医師から食事や水分摂取に関する指示がある場合は、しっかりと守ってください。
  • 運動
    術後の体力回復に応じて、徐々に運動を始めましょう。ストーマに圧がかかったり、接触したりする運動は、ストーマを傷つけてしまう危険性があるため、事前に主治医に確認してください。
    オストメイトが運動する際には、安全のためにストーマの固定ベルトや補強テープの使用が推奨されています。また、発汗による皮膚トラブルを予防するために、パウチカバーを利用したり、こまめに汗を拭きとったりしましょう。
  • 入浴
    食前や食後しばらく経ってからの排泄物が少ない時間帯が、よりリラックスして入浴できるでしょう。
    自宅での入浴は、ストーマ装具を付けた状態でも外した状態でも大丈夫ですが、公衆浴場の場合は必ずストーマ装具を付けたまま入ります。ストーマ装具の処置には、入浴用キャップやミニストーマ袋を使う方法や、ストーマ袋を小さくまとめてサージカルテープで固定する方法などがあります。
  • 衣類の選び方
    消化器官やストーマのトラブルを防ぐために、ストーマ部位や腹部を圧迫するようなデザインの衣類は避けたほうがいいでしょう。
    女性は、シルエットがわかりやすいものよりも、フレアー、ギャザー、プリーツなど立体的なデザインの服装を好まれる方が多いようです。
    男性は、ベルトがストーマの位置にかかる場合には緩めに締めるか、サスペンダーを使うといいでしょう。ストーマや腹部を圧迫しないデザインのストーマ専用の下着を試してみるのも、ひとつの方法です。
    また、着物を着ることもできます。ストーマのことを着付け師に伝えて、帯の位置を工夫したり、ストーマ部分を圧迫しないようにタオルを当てたりすると安心です。
  • 旅行
    術後に体力が回復すれば旅行へ行くことができます。ただし、必要なセルフケアを習得してからにしてください。ストーマのケアに必要な装具は、予備を多めに準備しておくと思わぬトラブルにも安心して対応できます。
    国内では、オストメイト対応トイレの設置が進められています。オストメイトトイレの検索サイト(http://ostomate.jp/)で、事前に出先の情報を調べておくといいでしょう。
  • 防災対策
    最低でも2週間分の装具や器具、ケア製品を非常用持ち出し袋にまとめておきましょう。皮膚保護剤の面板は、あらかじめ自分のストーマのサイズに合わせてカットしておくと、慣れない環境でも手早く交換することができます。なお、ストーマの装具の耐用年数は2年ほどなので、1年に一度は非常用持ち出し袋の装具を新品と入れ替えるようにしてください。

慣れれば何でも可能に

オストメイトとしての生活に慣れるまでは、緊張と不安でいっぱいだと思います。そのようなときは、絶対に1人で悩みを抱え込まず、どんな些細なことでも専門家に相談してください。日常生活を問題なく過ごせるようになれば、これまでと変わらず旅行やスポーツ、趣味を続けることができます。何か目標や楽しみがあれば、セルフケアにも前向きに取り組めるはずです。

 

参考: