がん治療中に「わからない」と思う気持ちを医療者に伝える工夫

医師や看護師から、治療に関する提案や日常的な注意点の説明を受けた際に、疑問点や不安に思うことがあったとしても、その気持ちを相手に伝えるのは難しいようです。せっかく受けた説明に「わからない」とは言いにくい、あらためて聞くのは申し訳ないと考える人が、少なからずいらっしゃいます。

しかし、前向きに治療を受けるためには、自分が希望することや、「わからない」と思う気持ちをきちんと伝え、尊重してもらうことが大切です。

今回は、納得してがんの治療を受けるためのコミュニケーションについて考えてみましょう。

「わからない」ことが不安につながる

がんの治療中に、漠然とした不安感に苛まれるという人が少なくないようです。その理由としては、「わからない」という感情が影響していると考えられます。自分の病状、予想される体の変化、治療方法、予想される治療効果など知りたいことはたくさんあるのに、どれもわかったような、わからないような……という状態なのではないでしょうか。

医師の説明を受ければおおよそのことは理解でき、納得することができると考えている人が多いでしょう。しかし、ある研究結果によると約3分の2の患者は自分の診断内容を理解しておらず、医師の指示についても60%以上の人が正確に理解できていないとのことです。

医師の説明を受けても「わからない」状態が解消されないのは、なぜでしょうか。

「わからない」原因を探ってみよう

「わからない」理由はさまざまです。例えば、医師や看護師の説明が難しい場合、説明は理解できても納得していないためにそう感じてしまう場合、自分の知りたいことが不明確な場合などがあるでしょう。

それでは、それぞれの「わからない」状態に対して、どのようにアプローチすればいいのか考えてみましょう。

言葉が難しすぎてわからない

医師や看護師から説明を受けても、内容が難しかったり聞き慣れない言葉が多かったりして理解できない場合があります。あとでインターネットや書籍で調べるにしても、情報は一般的な事例であることが多く、自分のケースに当てはまるとは限りません。治療法の説明や医療用語などでわからないと感じた場合はすぐに質問をして、その場で解決するようにしましょう。

その際は、「難しいのでもう少しわかりやすく説明してください」とはっきり伝えることが大切です。また、自分だけではなく、家族と一緒に医師の話を聞くのもおすすめです。

どんな選択をするべきかわからない

医師の説明は理解できても、どのような選択をすればいいのかわからないという場合があります。じっくりと考えて結論を出したかったり、別の医療機関でも相談したかったりと、自分の気持ちを決めるまでのプロセスがまだ十分ではないのかもしれません。

そのようなときは、まだ決めかねている旨を遠慮せずに医師や看護師に伝えましょう。セカンドオピニオンを利用することも選択肢のひとつですし、家族とじっくりと相談することも必要です。また、同じ病状を持つ患者さんのコミュニティに参加して話を聞くことが、決断の手助けになるかもしれません。

漠然としていてわからない

治療に関する具体的な情報がないために、今後について漠然とした不安があるというケースです。

このような場合は、医師と時間をかけて話し合うことが、不安解消の糸口となるでしょう。治療方法はもちろん、その効果や副作用、効果が期待できない場合の代替治療法の有無、生活の変化、仕事のこと、経済的な負担など、ひとつひとつを確認して納得することが大切です。

なお、確認したいことは、あらかじめノートにまとめておくことをおすすめします。ノートは手元に用意しておき、新たな疑問が出てきたらすぐに書き留めるといいでしょう。

経済的なサポートや社会復帰といった治療以外のことを含め、どんな小さな不安であっても担当医に相談してください。

「わからない」気持ちを溜め込まないことが大切

「わからない」といことは、不安に直結します。治療に積極に取り組むためにも、不安要素はすぐにでも解消するべきです。そのためには、医師とのコミュニケーションが欠かせません。何度も聞くのは失礼だと遠慮してしまう人が多いようですが、その遠慮が不安解消の妨げとなるのです。

「わからない」と感じたら、時間をかけて納得のいくまで「わからない」という気持ちを医療者に伝えることが、自分の意志が反映された治療を受ける近道だといえます。

 

参考: