「がんの顔つき」が意味するものとは?

がんの病状を説明する言葉のなかに「がんの顔つき」という表現があります。「がんの顔つきがおとなしい」「がんの顔つきが悪い」というように使われますが、この「がんの顔つき」とは何を指しているのでしょうか。今回は、高度に専門化した「がんの顔つき」という表現と、がん細胞の状態についてみていきましょう。また、病院で使われる意味のわかりにくい言葉はほかにもあります。それについても併せてご紹介します。

細胞の分化と状態

人間の体を形作っている細胞は、およそ60兆個もあります。これらは最初から人体の器官としての機能を持っていたわけではなく、受精卵から分裂を繰り返し増殖することで手や足、臓器などに変化していったのです。このように、細胞が特定の働きを担うように成熟することを「分化」といいます。

分化の状態は、成熟の度合いによって「未分化」「低分化」「中分化」「高分化」に分けられ、これを「分化度」といいます。

  • 未分化
    細胞がまったく成熟していないため、細胞分裂による増殖が速い状態です。
  • 低分化
    細胞が未成熟なため、盛んに分裂をして増殖のスピードが速い状態です。
  • 中分化
    細胞の成熟の度合いが、低分化と高分化の中間程度の状態です。低分化の細胞に比べると、分裂や増殖のスピードは遅くなります。
  • 高分化
    細胞が特定の機能を持つまでに成熟し、形がはっきりとした状態です。分裂や増殖のスピードは緩やかになります。

細胞の分化度とがんの顔つきの関係

がん細胞は、正常な細胞が変異することで発生します。元の正常細胞の分化度によって、がん細胞も「高分化がん」「低分化がん」「未分化がん」に分けられます。そして、がんの顔つきは、がん細胞の分化度と密接な関係があるのです。

  • 高分化がん
    分化度の高い細胞ががん化しているため、細胞分裂の速度はゆるやかです。転移が少なく、悪性度は低いと考えられています。このような状態のがん細胞は、「顔つきがおとなしい」といわれます。
  • 低分化がん
    未成熟で分裂が盛んな細胞ががん化したものです。細胞分裂の速度がかなり速いため、増殖や転移の可能性が高いと考えられます。がんの症状が進行しやすく悪性度が高いとされ、「顔つきが悪い」と表現されます。
  • 未分化がん
    分化の性質を持っていないため、どの細胞から発生したのか確認ができないがん細胞です。増殖が早く、悪性度が最も高いがんであるとされています。

つまり、細胞の分化度が高いほどがんの悪性度は低く「顔つきがおとなしい」と表現され、分化度が低いほどがんの悪性度が高く「顔つきが悪い」といわれるのです。

ほかにもある病院で耳にするわかりにくい言葉

「がんの顔つき」以外にも、病院で耳にする言葉にはわかりにくいものがあります。がん治療で接する可能性が高い言葉と、その意味を確認しておきましょう。

  • 腫瘍
    腫瘍が見つかったとしても、それががんだと確定したわけではありません。腫瘍には良性と悪性があり、細胞や血液を検査したのちに診断がくだされます。
  • 寛解
    完治まではいかないものの、症状が落ち着いて安定した状態のことを指します。そのまま治る可能性もありますが、場合によっては再発するかもしれません。そのため、病状を注意深く観察しながら、定期的に診療を受ける必要があることを意識しなければなりません。なお、完全に治った状態は「治癒」といいます。
  • 浸潤
    がんが周囲の細胞に広がっていくことを指します。体の離れた部分にがんが移る「転移」とは異なります。
  • 耐性
    がん細胞が薬剤に対する抵抗力を持ち、同じ薬が効かなくなることを表します。

わからない言葉はきちんと確認しよう

病院では言葉の使い方が一般社会と違う場合があります。専門用語も多く、説明を聞いただけでは理解できないことがあるでしょう。しかし、理解できていないままでは疑問や不安が解消されず、前向きに治療に取り組めない可能性があります。

がん治療において、わからない言葉について質問をするのは、決して恥ずかしいことではありません。受け流すことなく、理解できるまできちんと確認することが大切です。

 

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