がんの治療・療養中に提案されるウロストミー(尿路ストーマ)について

がんの治療・療養中に提案されるウロストミー(尿路ストーマ)には、どのような役割があるのでしょうか。今回は、理解しておくと安心できるウロストミーの知識についてご紹介します。造設の目的やセルフケアのポイントをチェックしましょう。

ウロストミーを造設する目的は?

尿は腎臓でつくられ、尿管を通って膀胱に溜められたのちに、尿道から体の外へと排出されます。この尿の通り道全体を「尿路」といい、手術によって損なわれた尿路を変更するために造設されるのがウロストミー(尿路ストーマ)です。ウロストミーが必要になるケースとしては、膀胱がんや膀胱周辺に発生したがんの浸潤などが挙げられます。

ウロストミーの予備知識

ウロストミーには、「回腸導管」や「尿管皮膚瘻(にょうかんひふろう)」などの種類があります。

「回腸導管」は、回腸の一部に尿管を縫いつけて一端を閉じ、反対側は腹部に縫いつける方法で、一般的に腹部の右側にストーマ(尿の排泄口)が設けられます。

「尿管皮膚瘻」は、腎臓と膀胱をつなぐ尿管を皮膚に直接縫い付ける方法で、ストーマは1カ所のケースと腹部両側の2カ所に設けるケースがあります。

ストーマには排泄をコントロールする括約筋がないため、排尿のタイミングや量などを自分の意志で調節できません。そのため、つくられた尿を受け止めるために、ストーマ装具を利用します。なお、ストーマ装具で受け止めた尿は、トイレで処理します。

ストーマの色は、腸管を用いた場合は赤色で、尿管を用いた場合は肌色です。両者とも見た目は痛々しいですが、神経がないので排泄やストーマ装具の接触による痛みは感じません。しかし、腸管や尿管などの粘膜は組織が柔らかく血管が密集しているため、刺激や摩擦による出血の可能性があります。傷つかないように適切なケアが必要です。

ストーマの場所は、患者さんの状況に応じて決められます。手術前には医師や看護師から詳しい説明があるので、ストーマの位置について疑問や不安がある場合は、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

ストーマ装具は、膀胱の代わりに尿を溜める袋状のパウチ(ストーマ袋)と、パウチをストーマに接続するための土台(面板、皮膚保護剤とも呼ばれます)で構成され、土台とパウチが一体になった「ワンピース型」と土台とパウチが分離している「ツーピース型」があります。装具の種類や皮膚の状態、季節によっても変わりますが、ストーマ器具は2~5日ごとに交換します。

ウロストミーのセルフケアと注意点

ウロストミーは、トラブル予防のために自分で尿の状態を確認しながらコントロールしなければなりません。ここでは、一般的なウロストミーのセルフケアと注意点をご紹介します。

食事

医師や看護師から特別な指示がない限り、食事の内容に制限はありません。しかし、尿が正常な状態である酸性となるよう食事に配慮すると、尿中の結石の形成が抑えられ、皮膚への刺激や閉塞といったトラブルの防止につながります。もし、食べものが原因で何らかのトラブルが生じた場合は、その食べものの摂取を控えるようにしましょう。

尿を酸性に保つ作用があるといわれる食べものには、パン、シリアル、ナッツ、チーズ、コーン、クランベリー、卵、マカロニ、パスタ、プルーン、魚、肉などが挙げられます。また、1日にコップ8~10杯程度の水を飲むようにしましょう。

スキンケア

ストーマ部位の清潔を防ぐことが大切です。皮膚に尿が長時間付着すると、皮膚トラブルを起こしてしまいます。ストーマ装具は適切な大きさで準備し、皮膚保護剤をストーマ周囲の皮膚に密着させて尿が皮膚に付着するのを防ぎましょう。万が一、ストーマやその周囲の皮膚に発赤や痛み、じくじくした症状が見られ、数日経っても改善されない場合は、かかりつけ医やストーマ外来を受診してください。

医療機関の受診が必要なケース

トラブルを未然に防ぐためには毎日の観察を欠かさず、異変に早めに気づくことが重要です。下記のような症状がみられた場合は、できるだけ早く医療機関に連絡し、専門家からの指示を受けてください。

  • 発熱、尿臭の増加、尿の混濁や色の変化などがみられたとき
  • ストーマからパウチがいっぱいになるような量の出血がみられたとき
  • ストーマやその周囲からの持続する出血、軽快しない皮膚トラブルや潰瘍
  • ストーマの深い傷
  • ストーマの大きさや色に極端な変化がみられたとき

きちんと理解できるまで話し合うことが大切

ウロストミーの提案を受けると、さまざまな不安を抱くことでしょう。しかし、不安や疑問を一つひとつ解消することで、少しずつ前向きにとらえられると思われます。まずは、患者さん自身が納得いくまで話し合うことが大切です。適切なセルフケアができれば、体調に合わせて旅行へ行けるようにもなります。楽しみを見つけることや目的を持つことは、療養の励みとなるでしょう。

 

参考: