遺伝?習慣?家族内にがん発症者が重なる理由

祖父母や両親がいずれもがんで亡くなっていたり、兄姉そろってがんを発症したりするケースがあります。「がん家系」という言葉があるように、親族の病歴にがんが多い場合には、がんになる可能性が高いのでしょうか。

今回はがんの遺伝性を探り、なぜ家族内にがん発症者が重なることがあるのかを考えてみます。

遺伝性が疑われるがんとは

親族が何人もがんを発症している家系の人にとっては、がんの遺伝に関して疑問に感じると同時に不安も大きいことでしょう。事実、遺伝性の高いがんは存在するといわれており、網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)といわれるものや、胃がん、乳がん、大腸がんの一部などが可能性を指摘されています。

がんの発症数全体のなかで、遺伝性が疑われるケースはかなり少ないのですが、大腸がんや乳がんにおいては遺伝を要因とした発症リスクが確認されています。

大腸がんで遺伝性とされるのが、家族性大腸腺腫症とリンチ症候群です。家族性大腸腺腫症は100個以上のポリープが発生し、それががん化する可能性があるといわれています。リンチ症候群は大腸がんの2%程度を占めると考えられ、大腸だけでなく子宮内膜や小腸などにもがんの発症リスクがあるとのことです。また、大腸がんの発症年齢が平均65歳前後であるのに対して、リンチ症候群の発症年齢は平均で45歳と若年性であることが指摘されています。

さらに、乳がんにおいては、母親が発症していると娘の発症リスクは一般の約2倍になるといわれています。

家族が大腸がんや乳がんを発症している場合は、定期的な検査をきちんと受け、早期発見を心がけることが大切です。

がんが遺伝するしくみ

人間のすべての細胞には、2つのがん抑制遺伝子が備わっています。1つは父親から、もう1つは母親から受け継いだものです。遺伝性腫瘍の多くは、このがん抑制遺伝子に変異があることが原因で発症します。

遺伝性腫瘍を発症する人は、がん抑制遺伝子の1つに変異がみられます。つまり、祖父母や両親が持つ変異を起こしたがん抑制遺伝子を受け継ぐことで、がんになる可能性が高まると考えられるのです。

しかし、変異したがん抑制遺伝子を受け継いでいたとしても、もう1つが正常に機能していれば遺伝性腫瘍の発症を抑えられる可能性があります。とはいえ、がんの発症には免疫機能の働きをはじめ、さまざまな要因が関わりあうので、実際にがんを発症するかどうかについては一概にはいえません。

家族にがんが多いのは生活習慣にも原因がある?

最近では、がんは生活習慣病だともいわれています。毎日の生活習慣による免疫力や代謝の低下、栄養バランスの偏りなどが積み重なった結果、がんの発症リスクが高まるのです。

祖父母、両親、兄弟姉妹は同じような環境で暮らし、生活習慣が似ている場合が多いと考えられます。同居の家族は同様の病変を起こす可能性があるといえるでしょう。

家族ががんを発症している場合には、定期的に検査を受けるだけでなく、生活習慣を見直す必要があるかもしれません。

生活習慣を振り返ってみよう

以下は、国立がんセンターがん予防・検診研究センターが発表した「日本人に推奨できる科学的根拠に基づく予防法」に挙げられている生活習慣、および改善方法です。特に、食習慣は健康への影響が大きいと考えられるので、よく見直してみましょう。

  1. タバコを吸う人がいる
    禁煙および周りの人がタバコの煙を避けられる工夫をする。
  2. 多量に飲酒する習慣がある
    飲酒は適量にとどめる。
  3. 野菜や果物を食べる習慣があまりない
    野菜は毎食、果物は毎日とるようにする。
  4. 塩辛い食品を好む
    塩分を多く含む食品はできるだけ控える。
  5. 肥満あるいは痩せすぎである
    運動を定期的に行い、体重管理を徹底する。
  6. 熱いものを好んで飲食する
    熱い食べものや飲みものは、適温に冷ましてから飲食する。

家族のがん発症は生活習慣見直しのサイン

もし、親族や家族にがんを発症する人が複数いたとしても、それは遺伝性のがんだとは限りません。がん発症のリスクは、ほかの身近なところにもあるのです。まずは、生活習慣を見直してみましょう。特に食生活の影響は大きいので、バランスの取れた食事を心がけてください。

 

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