がんの治療に用いられるCVポートとは?

がんの治療、特に化学療法のために体内へのCVポートの挿入をすすめられることがありますが、なじみのない医療機器に不安を抱くかもしれません。その不安を取り除くには、CVポートについてきちんと理解する必要があります。そこで今回は、CVポートの機能や治療・療養上のメリット、取扱い上の注意点について解説します。

CVポートのしくみ

CVポートは中心静脈カテーテルのひとつで、正式名称は「皮下埋め込み型ポート」です。CVは中心静脈を意味する「central venous」の頭文字にあたります。

CVポートは、点滴の針を刺す「ポート」と薬剤を中心静脈に入れるための「カテーテル」がつながった構造をしています。体内に挿入するポートは円盤状の形をしており、大きさは直径2~3cm、厚さ8~13mm程度、重さは5.2gほどです。ポート本体には圧縮したシリコンでできた「セプタム」というパーツがあり、ここに針を刺して薬剤を投与します。耐用回数は2000回ほどで、使用頻度にもよりますが数年間は使えるといわれています。また、ポートやカテーテル内に血液の成分が付着して詰まってしまうことのないように、使用の有無にかかわらず月に1回は生理食塩水でポート内を洗浄するメンテナンスが必要です。

CVポートの挿入には日帰りまたは1泊2日の手術が必要で、その費用は健康保険が適用されます。詳細は、手術を受ける予定の施設に確認しましょう。

CVポートを挿入・固定する部位は、治療内容や体型、セルフケアの可否などを考慮し、患者さんと医師の話し合いで決められます。鎖骨の下、患者さん自身がポートを見て安全にセルフケアをしやすい部位の前胸部、上腕部、鼠径部(そけいぶ)などが選ばれるケースが多いようです。また、外見上は目立たないことが多いといわれます。なお、CVポートが不要になった際には、手術をして取り出すことができます。挿入手術と同様に、費用は健康保険の対象です。

CVポートを挿入する目的

CVポートは化学療法や、静脈栄養の投与といった治療の目的で挿入されます。特に化学療法では、薬剤によって静脈の血管に炎症を起こすリスクが高く、薬剤が血管外に漏れると正常細胞が壊死する危険性もあるため、静脈炎を起しにくい太い血管内に確実に薬剤を投与する目的でCVポートの挿入がすすめられているのです。

治療・療養中においてCVポートを利用する一番のメリットは、点滴の痛みを最小限に抑えられる点です。末梢血管が細かったり、脆かったりする人の場合は、血管へ適切に針を挿入することができず、何度も刺し直すことになるケースがありますが、CVポートであれば一度で確実に点滴針を挿入することができます。

CVポート挿入中に注意すべきポイント

CVポートの挿入によって、療養生活が制限されることはほとんどありません。ただし、CVポートを挿入したところを傷めないように、気を配らなければなりません。例えば、鎖骨下の前胸部にCVポートを挿入している場合、鞄のデザインによって挿入部が擦れたり、圧力がかかったりすることがあります。衣類や鞄といった身につけるものを選ぶ際は、挿入部の負担にならないかどうかを十分に確認するようにしましょう。また、点滴針を刺していないときには、基本的に入浴や運動をしても問題ありません。ただし、運動に関しては、CVポートが挿入されている部位によって注意点が異なるので、事前に主治医に確認してください。

また、CVポート挿入中のトラブルや合併症についても理解が必要です。起こりうるものには、ポートやカテーテルの破損や詰まり、挿入部位やその周囲の皮膚トラブル、感染(発熱、発赤、痛み、腫れなどの症状)などがあります。挿入手術の際には合併症に関する説明があるので、それをきちんと覚えておきましょう。そして、挿入部位に違和感や痛みなどの異変がみられたときには、早めにかかりつけの医療機関で受診することが大切です。

なお、CVポートを挿入していてもMRIやCTスキャンなどは問題なく受けることができます。空港のセキュリティで足止めされてしまう場合は、かかりつけの病院で患者記録カードを発行してもらい、提示できるように用意しておくといいでしょう。

快適な療養生活のために

体内に医療器具が挿入された状態で療養生活を送ることに不安や抵抗感を抱える人もいますが、CVポートには多くのメリットがあります。医師にすすめられた場合は、前向きに検討しましょう。

CVポートの挿入を決めた場合は、退院までの間に正しい取り扱い方法をマスターするよう心がけてください。疑問点はどんなに小さなことでもその都度確認し、納得のいくまでセルフケアの練習をすることをおすすめします。そして、医師や看護師の指示内容をしっかり守って、快適な療養生活を送りましょう。

 

参考: