コーヒーを飲むことでがんのリスクはどう変わる?

コーヒーはがんの発生リスクを軽減するという話がある一方で、逆に発がん性があるという話を耳にしたことがあるかもしれません。実際のところ、コーヒーとがんはどのように関連しているのでしょうか。今回はコーヒーとがんのリスクの関係についてご紹介します。

コーヒーの発がん性に関する見解の変化

世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機構(IARC)では、食品をはじめとしたさまざまな物質の発がん性を評価し、以下のようにグループ分けしています。

  • グループ1:ヒトに対して発がん性がある
  • グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある
  • グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある
  • グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない
  • グループ4:ヒトに対しておそらく発がん性がない

コーヒーは膀胱がんを引き起こす可能性があるとのことで、1991年に「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」グループ2Bに分類されました。ところが、2016年6月15日の発表で、がんを引き起こす可能性があるかどうかについては、十分な証拠がないとのことで、「ヒトに対する発がん性について分類できない」グループ3に分類が見直されたのです。

非常に熱い飲みものには「おそらく発がん性がある」

この見直しはコーヒー愛好家にとって朗報ですが、熱々の状態で飲むとなると話は変わってくるようです。それは、飲みものの温度と食道がんの関連性が示唆されたからです。

疫学調査結果から、飲みものの温度が高くなると食道がんの発生リスクが増加することが明らかになりました。また、動物実験では65度以上の水を投与した際に、食道がんの発生がみられたとのことです。

したがって、IARCの分類で65度以上の飲みものは「ヒトに対しておそらく発がん性がある」グループ2Aになりました。

コーヒーは90~95度のお湯で淹れることが多いようです。カップに注いだり、ミルクを入れたりすると温度は下がりますが、供された飲みものが熱すぎる場合には2~3分おいてから飲むようにしたほうがいいでしょう。

コーヒーにはがんの発生リスクを軽減する効果がある?

国立がん研究センターのコーヒーと子宮体がんの関連性を調べた研究では、日常的にコーヒーを飲むと子宮体がんの発生リスクが軽減されるとの結果が発表されました。その効果は、1日に1~2杯のコーヒーを飲んだ場合は約40%、3杯以上飲んだ場合は約60%にもなったとのことです。また、同センターのコーヒーと肝がんとの関連性を調べた研究では、毎日コーヒーを飲んだ場合に肝がんのリスクが約50%抑えられたという結果が出ています。

さらに、2016年4月には、南カリフォルニア大学による大腸がんとコーヒーに関する調査報告がありました。6カ月以内に大腸がんと診断された男女5,100人と、大腸がんの病歴のない男女4,000人を対象に、家族の病歴、エクササイズ、喫煙に加え、コーヒーを含む飲みものの摂取について調べたものです。

その結果、大腸がんの発生リスクが1日1~2杯のコーヒーを飲むことで26%、2.5杯以上飲むことで50%軽減されました。また、リスク軽減の効果は、通常のコーヒーでもデカフェでも変わらなかったとのことです。つまり、コーヒーの作用がカフェインによるものだけではないということが示されています。

例えば、コーヒーに含まれるジテルペンには、酸化ダメージに対する体の防御を増進させる効果があると考えられます。また、コーヒーを焙煎しているときに生じるメラノイジンは、大腸の動きをよくするとされています。

コーヒーは適量を適温で楽しもう

コーヒーを飲むとがんの発生リスクが抑えられるという報告はいくつもありますが、飲めば飲むほど健康によいというわけではないようです。なぜなら、カフェインの過剰摂取を避けることが推奨されているからです。日本国内ではカフェインの摂取量に関する取り決めはありませんが、カナダ保険省は健康な成人で1日400mgが望ましいとしています。カフェインの含有量は、コーヒーが100mlあたり60mg、紅茶が100mlあたり30mg、煎茶が100mlあたり20mgとされています。また、エナジードリンクには100mlあたり180mgものカフェインを含むものがあります。カフェインの過剰摂取によって死にいたるケースがあるので、1日の摂取量には気を配りたいものです。コーヒーのよい効果を享受するためにも、コーヒーは適量を適温で楽しむようにしましょう。

 

参考: