やせすぎでも肥満でも心配?がんのリスクとBMIの関係

がんの罹患率が増加の傾向にあります。また、肥満傾向も加速しつつあります。がんの発症リスクは生活習慣に左右されると考えられますが、やせすぎや肥満の原因も生活習慣にあるといわれています。がんの発症リスクと肥満度には、なんらかの関係があるのでしょうか。

今回は、肥満度を表すBMIの数値とがんのリスクについて考えてみましょう。

BMI(Body Mass Index)とは

今日では、健康を維持するために生活習慣の見直しが欠かせないと認識されています。喫煙や飲酒の制限とともに、健康的な範囲での体重維持が重要だと考えられるなか、身長と体重から判断する健康指標としてBMIが注目されるようになりました。BMIは肥満度を示す数値で、下記の計算式で求められます。

体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))

BMIによる肥満度の判定基準は、18.5未満が低体重(やせ)、18.5以上25未満が普通体重、25以上30未満が肥満1となり、それ以上は数値が5増えるごとに肥満2、肥満3、肥満4と分類されます。

日本人と外国人とでは体格が違うため、BMIの基準値も異なります。日本人は22とされており、これが統計的に病気にかかりにくい健康的な値といわれています。

BMI19未満と30以上の男性はがんの発生リスクが高い

国立がん研究センターが40代から60代の約9万人を対象に調査した、肥満度とがん全体の発生率との関係が発表されました。それによると、女性はBMIの違いによるがんの罹患リスクに差がない一方で、男性はBMI値が21未満のやせているグループと30を超える肥満2以上のグループでがんの発生率が高くなっています。また、BMIが19未満の痩せているグループの発がん率が、特に高いことが明らかになりました。

それでは、やせすぎの場合や肥満の場合には、どのような要因でがんの発生リスクが高まるのでしょうか。

やせすぎの場合:食事を見直してがんへの抵抗力をつけよう

やせすぎの原因としては、食事が規則正しくとれていないこと、体重を維持するだけのカロリーが不足していることが考えられます。また、ストレスや不規則な生活も体重低下の原因となるケースがあるようです。このような状態では体力を維持しにくく、免疫力も低下しやすいでしょう。つまり、がんに対する抵抗力が低いというわけです。食事を見直して栄養をしっかりととり、体の抵抗力を維持することが大切です。

肥満の場合:IL-6やPAI-1の分泌ががんのリスクを高める可能性がある

いくつかの研究から、肥満が原因で発生リスクが高まるがんの種類がわかってきました。特に肥満の影響が大きいのは、大腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、すい臓がん、子宮がん、腎臓がんです。

肥満によるがんの発生リスクには、さまざまな要因が絡み合っていると考えられます。そのひとつが、肥満によって分泌される物質です。

私たちの細胞は、一定回数の分裂を繰り返したのちに増殖停止の状態となる細胞老化というシステムを備えています。細胞老化によって傷ついた細胞が増殖を停止することで、がん細胞への変化を防げるのです。その一方で、体内に蓄積した老化した細胞からは、炎症反応やがんの発生に繋がる物質が分泌されます。

老化した細胞から分泌される物質のうち、IL-6やPAI-1は脂肪細胞からも分泌されます。肥満によってその血中レベルが上昇することから、がんの発生リスクを高めている可能性があると考えられています。

22前後のBMIを維持しよう

がんだけでなく、ほかの病気に対しても抵抗力を維持して健康的な生活を送るには、BMIの基準値である22が理想だと考えられています。

肥満を避けて22前後のBMIを保つには、バランスのいい食事をとるのはもちろんのこと、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回らないようにする必要があります。同じ量のカロリーを摂取するとしても、一度にではなく、朝、昼、晩の3回の食事にわけることも大切です。また、夜は消化吸収しやすい、軽めの食事を心がけるといいでしょう。

そして、適度な運動も忘れてはいけません。食事と運動をはじめとした生活の見直しをして、BMI22を維持しましょう。

 

参考:

講演1「肥満とがん」|日本癌学会