リスク診断ツール「胃がんリスクチェック」の活用メリット

2016年3月、国立がん研究センターの社会と健康研究センター予防研究グループは、これまでの研究による科学的根拠をもとに第5(最新)のリスク診断ツール「胃がんリスクチェック」を公開しました。

今回は、この胃がんリスクチェックの気になる内容と活用方法をご紹介します。

胃がんリスクチェックとは

胃がんリスクチェックには、どのような目的や役割があるのでしょうか。

胃がんリスクチェックは、国立がん研究センターが日本在住の対象者約10万人の生活習慣に関する情報を集め、その後10年以上にわたって疾病の発症を追跡する研究(多目的コホート研究「10年間で胃がんに罹患する確率について─生活習慣リスク因子とABC分類を用いた個人の胃がん罹患の予測モデル─」)の成果に基づいて作成されました。

目的としては、胃がんの発症リスクや危険因子を理解し、生活習慣の見直しやがん検診への意識を高めて健康的な生活を促すことです。医療や健康に関する知識がなくても活用できる内容で、今後10年の「あなたの胃がん罹患リスク」を確認することができます。

従来の胃がんリスクチェックとの違いは?

最新の胃がんリスクチェックの作成にあたり、新潟、茨城、大阪、高知、長崎、沖縄の40~69歳の住民約1万9000人について、1993~2009年まで追跡調査がなされました。アンケート調査に加えて血液検査の結果も分析されており、信頼性の高い内容となっています。

胃がんのリスク因子としては、「ヘリコバクター・ピロリへの感染」「萎縮性胃炎の有無」「喫煙や食習慣などの生活習慣」が指摘されてきましたが、従来はこれら3つのリスク因子を組み合わせてチェックするものではありませんでした。そこで、最新のリスクチェックでは「ヘリコバクター・ピロリの感染と慢性胃炎の有無」の項目を細かくチェックできるように改善されています。

胃がんリスクチェックの活用方法

日本国内で1年間に胃がんと診断される患者数の予測は約13万3千人(2015年4月公表分、男性:約9万人、女性:約4万人)で、長期的な傾向として患者数が増え続けています。また、死亡原因でも胃がんは、大腸がん、肺がんに次いで第3位となっています。自分自身のリスクをきちんと理解することが、胃がんの予防、早期発見と早期治療につながるので、ぜひ胃がんリスクチェックを活用しましょう。ここでは、その利用方法をご紹介します。

利用対象

40~69歳の男女です。対象年齢の設定理由は、リスクチェック作成時の調査対象者の年齢にあります。胃がん予防の視点から対象年齢以外の人も利用できますが、発症率に関しては適応しない可能性があります。

診断方法

webサイトを利用する方法とスコアシートを利用する方法(簡易計算法)の2種類があります。webサイトでのリスクチェックのほうが、より精度の高い結果が得られます。

結果の考え方

胃がんのリスクが高いという結果が出ても、あわてる必要はありません。大切なのは、胃がんのリスクを高める要素を改善する努力をすることです。まずは、食生活や食習慣、嗜好をはじめとした生活習慣を見直しましょう。

また、胃がんのリスクが低いという結果であっても過信は禁物です。厚生労働省が推奨するがん検診や、健康増進のための定期健診を継続しましょう。

胃がん検診の間隔は、毎年または2年に一度が推奨されています。主治医と相談しながら、忘れずに受診するようにしてください。

胃がんリスクチェックを活用して健康増進につなげよう

がんのリスク因子や予防に関する研究は現在も続けられているため、新たな分析結果が明らかとなった場合には、より精度の高くなるよう内容が変更されていく可能性があります。随時新しい情報に注目しておくことも大切です。

胃がんリスクチェックは、日本人の胃がんのリスクに関する科学的根拠が集積されたものです。ご自身ややご家族のがん予防のために活用してください。

参考