がん細胞と戦う免疫細胞「NK細胞」とは

体内には免疫システムが備わっており、たくさんの免疫細胞が働いています。体内に入ってきた細菌やウイルスなどを撃退し、病気を発症しないように食い止めるのは免疫細胞の働きです。

体内では、日々、がん細胞が生まれているといわれていますが、がんとして病気が発症しないのは免疫細胞が正常に働いているからです。

そのなかでも、がん細胞を見つけるとすぐに攻撃を始めるのが「NK(ナチュラルキラー)細胞」です。今回はNK細胞のことを探りながら、免疫細胞の働きを最大限に活かせる体づくりを考えてみましょう。

NK細胞はどんな働きをする免疫細胞なのか

1975年に発見されたNK細胞については、まだまだ研究途上でその特性には不明な部分があります。

最大の特徴は、ほかの免疫細胞からの命令を受けなくても、独自にがん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃する点で、抗腫瘍効果として注目されています。

それでは、NK細胞が具体的にどのような働きをするのか、みてみましょう。

攻撃目標は「非自己」と「変化した自己」

NK細胞は独自に体内を巡り、がん細胞やウイルスを発見すると、すぐに攻撃を始めます。攻撃の目標として認識するのは、「非自己」と「変化した自己」です。

体を構成するすべての細胞の細胞膜上には、クラスI MHCという糖タンパクが存在します。NK細胞は、この糖タンパクを持つ細胞を「自己細胞」と認識し、持たない細胞を「非自己細胞」、あるいは「変化した自己」と認識するのです。

ウイルスに感染した細胞はクラスI MHCにウイルス抗原が結合しているため、NK細胞は「変化した自己」と認識します。また、正常な細胞ががん細胞へ変化する段階でクラスI MHCを失っているケースや、がん細胞が出す別の抗原信号が不着しているケースでも、NK細胞の攻撃対象として認識されます。

免疫力を維持するためにできること

免疫細胞が活発かつ正常に活動をしていれば、がん細胞の発生を抑えられる可能性が高いでしょう。なかでも重要なのは、NK細胞が安定して活動をしていることだと考えられています。このような体内環境を整えるために、できることはあるのでしょうか。

免疫細胞の70%が存在する腸内環境を整える

NK細胞は年齢とともに数も活性も変化します。免疫力は30代を過ぎるとゆるやかに衰えていきますが、これを維持する方法のひとつが腸内環境の整備です。

免疫細胞は骨髄、リンパ節、腸などに存在しています。そのなかでも70%近くの免疫細胞が存在するといわれているのが腸です。そして、免疫細胞は腸内細菌による刺激によって活性化します。そのため、活発に活動する免疫細胞をつくるには、十分な数の腸内細菌がバランスよく存在していること、つまり、腸内環境が健康的に整っていることが重要なのです。

腸内細菌の数を増やしバランスを整えるには、腸内細菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維などを含む食品を摂取する必要があります。

自律神経のバランスも免疫細胞に影響を与える

不安や心配ごと、ストレスを抱えていると、自律神経のバランスが乱れます。そして、その状態が続くと免疫細胞の力を弱らせる大きな原因になるといわれています。しかし、まったくストレスがない状態が健康的だというわけではありません。

自律神経は、交感神経と副交感神経からなっています。交感神経は主に活動時に優位に働き、全身の活動力を高めるために血圧や血糖を上げたり、血液を脳や筋肉に集めたりします。一方の副交感神経は主にリラックスした状態のときに優位になります。体を回復させるために働き、内臓の機能や免疫機能の正常化に強く影響を与えています。

交感神経ばかりが優位に働く環境でも、副交感神経ばかりが優位な環境でも、免疫機能を正常に保つことはできません。適度なストレスや体力の消費によって、交感神経を活発にすることもまた必要なのです。しかし、強すぎるストレスが継続するのは、健康上で問題となります。

自律神経のバランスを整え、健康的な状態を維持するには、毎日適度な運動をすること、良質な睡眠をとること、過剰なストレスを抱えないこと、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルをバランスよく摂取することです。

体調管理が免疫活性化の近道

体内で休むことなく働いている免疫細胞には、それぞれに役割があります。免疫システムを正常に保つには、腸内の環境を整えることと、心(自律神経)のバランスを維持することが大切です。

運動、食事、睡眠、気持ちの切り替えなど、日ごろの積み重ねが免疫細胞の力を引き出すカギとなるようです。毎日の生活習慣の見直しが、がん細胞と戦うNK細胞をはじめ、さまざまな免疫細胞の活性化に繋がることを意識してみましょう。

参考: