がん治療への導入が進む手術支援ロボット

2016年2月17日、埼玉県立がんセンターは、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を使った胃がん手術が県内で初めて先進医療として国に承認されたと発表しました。手術支援ロボットは最先端医療として注目を集めており、各地の医療機関への導入が進んでいます。

この手術支援ロボットはどのような医療機器で、どのようなメリットがあるのでしょうか? 今回は、手術支援ロボットのと可能性についてご紹介します。

手術支援ロボットとは

手術支援ロボットは、ロボットのアーム部分を医師が遠隔操作することで手術をする医療機器です。内視鏡検査(胃や大腸などのカメラ検査)や内視鏡手術の技術にロボット機能が加えられており、従来は不可能だった体内の部位の確認ができるようになりました。

実際の手術では、手術部位に内視鏡(カメラ)とアームが通る程度の小さな穴をあけ、内視鏡で撮影した3D映像をモニターで確認しながら、医師がアームを操作します。

手術支援ロボットを導入するメリット

手術支援ロボットのメリットは、従来の術式に比べると体にとって低侵襲であることです。その具体例をみてみましょう。

  • 手術部創(傷口)が小さい
    ロボットのアームを挿入する8~12mmほどの大きさの穴を切開するだけのため、開腹手術よりも傷口が小さくて済みます。術式にもよりますが、穴は最大でも6カ所です。
  • 手術の精度が高い
    腹腔鏡手術並の小さな傷しか残さず、開腹手術並の精度の高い手術ができます。ロボットのアームの動きが細密なため、臓器の損傷も最小限に抑えられます。
  • 手術後疼痛が少なく回復が早い
    傷口が小さいため、術後の痛みが軽減されます。また、術後の回復が早く、開腹手術より入院期間が1週間以上短縮される場合もあります。
  • 臓器の機能温存率の向上
    細密な動きができるアームで手術をするため、手術部位の臓器への影響を抑え、機能温存率の向上が期待できます。

手術支援ロボットによる治療は、患者さんだけでなく手術を担当する医師にも大きなメリットがあります。従来の手術は、無理な姿勢を強いられたり長時間立ったままだったりと、医師にとって肉体的な負担がありました。手術支援ロボットによる手術では座ってロボットを操作するため、医師の負担は大幅に軽くなります。また、手術支援ロボットには突発的な動作や手振れを防ぐ機能があり、精神的なストレスも軽減されます。そのため、医師は集中してより確実な手術ができるのです。

手術支援ロボットが導入されているがん治療とその費用

現在、がん治療において手術支援ロボットが導入されている疾患と治療にかかる費用の目安、保険適用の有無についてご説明します。具体的な費用をはじめ詳細については各施設や病気状態によって異なりますので、主治医や治療を希望する施設に直接ご確認ください(情報は2016年5月現在)。

  • 泌尿器科
    前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん。前立腺がんは先進医療に承認され公的保険が適用されるため、高額医療費制度を利用することで10万円程度(年齢や収入によって異なる)の負担額となります。腎臓がんは、2016年度診療報酬改定で保険適用が承認されています。
  • 婦人科
    子宮がん、子宮頸がん、良性子宮腫瘍。子宮がんはIb期まで、子宮頸がんはII期までが保険適用の対象です。
  • 呼吸器外科
    肺がん、縦隔腫瘍、重症筋無力症。保険が適用されないため、全額自己負担になります。
  • 消化器外科
    直腸がん、食道がん、すい臓腫瘍、胃がん。胃がんで腹腔鏡下胃切除術の場合、先進医療の承認を受けている医療機関では手術以外の費用が公的医療保険の対象です。直腸がんは保険適用外のため、60万円ほどが全額自己負担(食事費など除く)となります。
  • 耳鼻咽喉科
    中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がん(声門上がん)、甲状腺がん。保険適用外のため、全額自己負担になります。臨床試験を行っている施設においては、手術支援ロボットによる手術費用のみ病院負担となる場合があります。

最新情報をチェックして自分に合った治療法を選ぼう

手術支援ロボットの研究は日々進められており、新たな手術の方法の提案や、公的保険の適用範囲拡大が期待されています。臨床実験の新しい情報にも目を配りながら、自分に合った治療法を選びましょう。

参考: