がん治療中の飲食に注意が必要な食品は?

がんの治療中は、嘔吐や吐き気、食欲不振などで思うように食事がとれない場合があります。そのようなときには、少しでも楽に食べられるものを選びたいところですが、なかにはがん治療中に口にするべきではない食品があります。また、免疫力が低下しているときに避けるべき食品もあります。今回は、がん治療中の飲食に注意が必要な食品についてご紹介します。

体や治療効果への影響が心配される食品

がん治療中に食べると体に負担がかかる食品や、薬剤の治療効果に影響が出やすい食品がいくつかあります。どのような食品が該当するのか、以下に挙げていきます。

アルコール

肝臓には解毒作用があるので、一般的に抗がん剤治療をしているときは肝臓に負担がかかっているといえます。また、アルコールとの併用による悪影響が判明している薬剤がいくつもあります。

プロカルバジンやカルモフールを投与されているときにお酒やアルコールの含まれた食品をとると、強い二日酔いのような症状を引き起こすことがあります。さらに、メトトレキサートはアルコールの摂取をともなうと肝臓障害が起こりやすいことがわかっています。

また、パクリタキセルやドセタキセルといった治療薬には、アルコールが含まれています。例えば、パクリタキセル治療1回分の薬剤に含まれるアルコール分は、コップ1杯のビールに相当するとのことです。

抗癌剤治療中は肝臓に大きな負担がかかっていることを認識し、アルコールの摂取は避けてください。

グレープフルーツ

グレープフルーツには、血中の薬剤の濃度を上げる作用があるとの報告がされています。その影響は約4日間残るといわれているので、ジュースを含めグレープフルーツの摂取は避けてください。特に、イリノテカン、イマチニブ、ゲフィチニブ、タミバロテンなどの投与中は注意が必要です。

なお、同じ柑橘類でもミカンやオレンジは問題ないようです。

青魚

一般的に青魚にはヒスチジンという物質が多く含まれており、鮮度が落ちてくるとヒスチジンが分解されたヒスタミンという物質が増えてきます。塩酸プロカルバジンにはヒスタミンの解毒作用を抑える効果があるため、ヒスタミンが多い食品を摂ると頭痛や嘔吐、動悸、発疹などの症状が出ることがあります。

なお、以下の魚介類は、ヒスチジンを多く含みます。治療終了後2週間以内は摂取を避けるか、新鮮な状態で調理後すぐに食べるようにしてください。

  • さば
  • まぐろ
  • かじき
  • かつお
  • ぶり
  • はまち
  • さんま
  • あじ
  • いわし
  • とびうお
  • さわら
  • さより
  • たらこ
  • ツナ

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)

セイヨウオトギリソウはハーブの一種で、ハーブティーや抽出物のカプセルなどが市販されています。しかし、薬物を代謝する特定の酵素を誘導することがわかっており、治療薬の効果が弱まる可能性が指摘されています。

イリノテカンをはじめ影響を受ける薬剤は多いので、がん治療中はセイヨウオトギリソウの摂取は避けましょう。

免疫が抑制されているときは?

抗がん剤治療中は免疫力が低下していることがあるため、生ものは食べないようにと指導されたことのある人が多いと思われます。しかし、その「生もの」の範囲がどこまでなのか判断に悩むところです。お寿司やお刺身は当然として、生野菜や牛乳も避けるべきなのでしょうか。

生ものの制限範囲は、どの程度免疫力が低下しているかによります。一般的に、血液の好中球数が1,000/mm3未満になると、感染症への注意が必要だといわれています。そこで、好中球数と飲食を避けるべき食品の目安についてご紹介します。

好中球数が500~1000の場合

以下のような食品は、飲食を避けなければなりません。

  • 生魚、生肉、生玉子、生クリーム、カビの入ったチーズ、納豆、蜂蜜、およびこれらが含まれた食品

以下のような食品は、食べても問題がないとされています。

  • 冷蔵保存食品(ヨーグルト、ゼリー、プリン、ハム、梅干しや漬物なども可)
  • 冷凍食品(アイスクリームなども可)
  • パン(具の入った調理パンも可)
  • 個別包装の調味料(マヨネーズも可)
  • コンビニエンスストアのお弁当やファストフード

ただし開封後、あるいは調理後の2時間以内に食べる必要があります。野菜やくだものなどは、新鮮なものをよく洗って食べましょう。

好中球数が500以下の場合

以下のような食品は、飲食を避けるべきです。

  • 生魚、生肉、生玉子、生クリーム、納豆、梅干しなどの漬物のほか、冷蔵保存する必要がある食品すべて
  • コンビニエンスストアのお弁当
  • ナッツ類や昆布、おつまみなどの乾物、燻製もの

食べても問題がない食品の目安は、「3カ月間常温保存できるもの」です。以下のようなものが挙げられます。

  • 具の入っていない食パン、フランスパン、クロワッサン、ロールパンなど
  • 生クリームの入っていないケーキ類、ビスケット、スナック菓子
  • カップ麺やフリーズドライ食品
  • 常温保存が可能な個別包装の味噌や調味料(ただし、マヨネーズは不可)
  • 常温で長期保存が可能な牛乳や、密閉容器に入っているアイスクリーム

カップ麺に使うお湯は、よく沸騰させる必要があります。また、開封後、あるいは調理後の2時間以内に食べなければなりません。

避けるべき食品だけでなく、含まれているものにも注意

体調や病状、治療方法によって、食べても問題のない食品は異なります。不安がある場合は、担当医や看護師に相談するようにしましょう。また、摂取を禁じられた食品については、その指示を守るようにしてください。また、避けるべき食品そのものだけでなく、それが含まれた食品を口にしてしまうことのないように気をつけましょう。


参考: