肝臓がんを防ぐためにできることとは?

肝臓がんは、年々増加している疾患です。がんによる死亡者数を部位別に見ると、2013年に肝臓がんで亡くなった人は約3万人。男性では、1位の肺がん、2位の胃がん、3位の大腸がんに次いで4番目の多さとなっています。

肝臓がんは、あまり予後のよくないがんのひとつです。2016年1月に国立がん研究センターから公表された10年生存率でも、肝臓がんは15.3%と、胆のう胆道がん(19.7%)と並ぶ低い値が示されています。

そこで今回は、肝臓がん予防のためにできることを考えてみます。

肝臓がんについて

肝臓がんは、肝臓にがんが発生した「原発性肝がん」と、ほかの臓器に発生したがんが転移した「転移性肝がん」に分けられます。

また、同じ原発性肝がんのなかにも、いくつかの種類があります。ここでは、日本人の肝臓がんの9割以上を占めるとされている「肝細胞がん」についてみてみましょう。

明らかになっている肝臓がんの発生要因

肝臓が健康でまったく問題のない人が肝細胞がんになることは、稀であるといわれています。

肝臓がんの主な原因として明らかになっているのは、肝炎ウイルスへの感染です。持続感染により、肝臓の細胞で炎症と再生が長期にわたって繰り返され、遺伝子の突然変異が蓄積してがんへ進展すると説明されています。

また、ウイルスへの感染の有無にかかわらず、肝臓の状態の悪化はがんの発生リスクに大きく寄与します。飲みすぎ、食べすぎ、運動不足などは肝臓への脂肪蓄積を招きますが、脂肪肝がさらに悪化すると炎症が起き、慢性肝炎になります。そこからさらに、肝臓に繊維分が増えた状態が肝硬変です。そして、肝臓がんの多くは肝硬変の状態から発生するといわれています。

肝臓がんの予防の観点から、上記2つの主な発生要因について詳しくみてみましょう。

肝炎ウイルス

肝細胞がんの約6割がC型肝炎ウイルス、1~2割がB型肝炎ウイルスの持続感染によると算出されています。キャリアはB型肝炎ウイルスが110~140万人、C型肝炎ウイルスが70~80万人とのことです。

B型肝炎ウイルスもC型肝炎ウイルスも、感染予防には血液や体液に気をつける必要があります。B型肝炎ウイルスの感染は、母子感染と性交渉によるものが多いといわれています。母子感染については、1986年以降に対策がなされました。また、1992年以前に輸血を受けたことのある人は、それが原因でC型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。ピアスも、針の使いまわしが感染源になるので注意が必要です。

肝炎ウイルスの治療は進歩しており、特にC型肝炎ウイルスは高確率で完全に排除することができるようになりました。ただし、感染しているだけでは自覚症状がないので、ウイルスの有無は血液検査で調べる必要があります。感染が判明したら、すぐに専門医で受診しましょう。

肝硬変

肝硬変になると、肝臓は岩のようにゴツゴツと硬くなってしまいます。初期の段階では自覚症状がほとんどありませんが、悪化すると肝機能が低下し、さまざまな症状が出てきます。

肝硬変は、発症すると治療で治すことは不可能だといわれています。したがって、その前段階である脂肪肝のうちに対処をする必要があります。幸いなことに、脂肪肝から正常な肝臓に戻すことは、それほど難しいことではありません。

脂肪肝の改善・予防には、食生活の見直しと運動が大切

脂肪肝を治す、あるいは脂肪肝を予防するには、脂が肝臓にたまらないようにする必要があります。それには、食べすぎでカロリーオーバーにならないことや、お酒を飲みすぎないことはもちろん、以下のポイントにも気をつけましょう。

  • 間食を避ける
    食事でとったエネルギーは糖分のかたちで肝臓に蓄えられ、インスリンによって脂肪になります。休みなく食べるとインスリンの分泌がずっと続くことになり、エネルギーの消費量が少なければ肝臓には脂がどんどんたまっていきます。
  • 就寝前の食事を避ける
    就寝前に食べると、エネルギーはすべて肝臓で脂になってしまいます。就寝前の2時間は、ものを食べないようにしましょう。
  • 週2日以上の休肝日を設ける
    摂取したアルコールも、すべて肝臓で脂に変わります。それを分解するには24時間かかるとのことなので、連日の飲酒は避けましょう。週2日以上の休肝日を設けることをおすすめします。
  • 運動を心がける
    毎日、速足で15分以上歩く程度を目安に運動しましょう。

糖尿病の人も気をつけよう

肝臓がんは、糖尿病との関連も指摘されています。2型糖尿病の人は脂肪肝になりやすく、その頻度は健康な人の2倍といわれています。さらに、糖尿病患者は肝臓がんのリスクが2~3倍になるとの調査報告もあります。

まずは検査で自分のリスクを知ろう

肝炎ウイルスは、B型もC型も感染の自覚症状がないため、日常生活の中で気がつくことがありません。また、自分が糖尿病であることを知らない人も少なくないようです。肝臓の状態は血液検査で調べることができるので、糖尿病の検査とあわせて定期的に受けることをおすすめします。そして、自分でできる予防策として、生活習慣を見直しましょう。


参考: