がんの療養中に知っておきたい飲料水に関する豆知識

「〇〇の水はがんに効く」「△△水はがん予防につながる」といった宣伝をご覧になったことのある方は多いと思います。しかし、実際に宣伝どおりのがん予防効果や治療を補助する効果は期待できるのでしょうか。また、内服時や療養中にミネラルウォーターやアルカリイオン水を飲むことによる影響はないのでしょうか。今回は、がんの治療中・療養中に知っておきたい飲料水に関する豆知識をご紹介します。

飲料水の種類とその特徴

飲料水には、アルカリイオン水、水素水、酸素水、ミネラルウォーター(軟水、硬水)、水道水などさまざまな種類があります。それぞれの特徴をみてみましょう。

  • アルカリイオン水
    整水器によるpH9~10(アルカリ性)の電解水や、水源から採取されるアルカリイオンを含有する水です。消化不良、慢性下痢、消化不良、胃腸内異常発酵、制酸、胃酸過多に有効といわれています。
  • 水素水
    0.08ppm以上の水素を含む水です。活性酸素を取り除く働きがあり、抗炎症、抗酸化作用、がんの転移抑制を期待できることが報告されています。また、化学療法の副作用による腎臓機能障害を軽減する効果もあるといわれています。
  • 酸素水
    酸素が溶け込んだ水です。さまざまな作用・効果が謳われていますが、現時点での研究では不明な点が多いようです。
  • ミネラルウォーター類
    地下水を原水とした飲料水です。含まれているカルシウムとマグネシウムの量で硬度を示し、120mg/L未満のものは軟水、120mg/L以上のものは硬水に分類されます。
  • 水道水
    日本の水道水の硬度は30~100mg/Lです。水道法によって、水質が厳しく規制されています。

がんの治療・療養中に適した飲料水は?

がんの治療中や療養中には、どのような飲料水を選べばいいのでしょうか。

  • 薬を内服するとき
    内服時に使う水の硬度が高いと、薬の効果に影響が出てしまいます。そのため、硬度600mg/L以下の水を使い、服用後2~3時間は硬度の高い水を飲むのは控えてください。
    また、気を配りたいのが水の温度です。ある研究によると、胃運動は65度の湯を飲んだときには向上し、15度の水では低下するそうです。さらに、4度の水を飲んだときには胃から食物が送り出される量が減少し、胃内の温度も体温(37度)と同等に戻るまで約30分かかったことが報告されています。そのため、胃運動を促し、負担も少ないお湯で薬を服用することをおすすめします。ただし、医師や薬剤師の指示がある場合には、それを守ってください。
  • 腎機能が低下しているとき
    治療や病気などの影響で腎機能が低下しているときには、飲料水について医師の指示を仰ぐことが大切です。指示を守らずに好みの飲料水を飲み続けると、カリウムを十分に排泄できず体にためこんでしまう可能性があります。これが心筋に影響すると、心停止のおそれがあるので大変危険です。外国産のミネラルウォーターにはカリウム値の高いものがあるので、飲む前によく確認しましょう。 
  • 感染予防
    抗がん剤治療後に骨髄抑制となった場合の「水道水は煮沸後に飲用」といった指示は、感染予防のために厳守しましょう。特に指示がない場合は、好みの飲料水を選んで問題ないと考えられます。もし、飲料水に関する不安がある場合や、飲料水の種類を変えたい場合には、先に主治医に相談することをおすすめします。
    なお、ペットボトル入りの水は、飲み方に工夫が必要です。ボトルに直接口をあてて飲むと、口の中の雑菌がボトルに入り込み、時間の経過とともにボトル内で増殖し続けてしまいます。感染予防の観点から、必ずコップに注いで飲むようにしましょう。また、開封から24時間経過したものは食中毒の危険性があるため、処分してください。

がんの治療中・療養中における上手な水分摂取のポイント

次に、水分の摂取量に着目しましょう。

発汗量が少ない場合、健康な成人が1日に必要とする水分の摂取量は1,000~1,500mlといわれています。厳密には体格によって必要な量が違うため、自分の体格に合った量を知りたいときは、次の計算式で算出できます。

  • 成人の場合
    水分摂取量(1日)=体重(kg)×30cc
  • 高齢者の場合
    水分摂取量(1日)=体重(kg)×25~30cc

この計算式では、1日に必要な水分量のうち約1,000ccを食事から摂っているとみなし、これを除いた量を食事以外で摂る目安としています。しかし、発汗量の多い季節や運動をした場合には、脱水を防ぐために状況に応じて水分摂取量を増やすことが大切です。

化学療法中には、腎機能障害予防のために多めの水分摂取が必要ですが、極端に量を増やすのではなく普段よりも気持ち多めを目安にしましょう。ただし、特定の量を目安にする指示がある場合は、それを守ってください。

摂取量の制限より多くの水分を摂取すると、呼吸苦や浮腫の増強を引き起こす可能性があります。逆に極端に少ないと、尿が作られないために尿毒素が体にたまる危険性があります。医師の指示内容を厳守することが大切です。

成分をよく確認し、体に合った飲料水を選ぼう

自分の体に合った飲料水を選び、状況に応じた適正な量を摂取できるように心がけましょう。また、がんの治療や療養に悪影響がないように、成分をよく確認しておくことが大切です。

参考: