がんを自然退縮させる条件と可能性

私たちの体内では、日々がん細胞が発生しているといわれています。しかし、ほとんどの場合は自分の免疫力によって、がん細胞は消えるそうです。また、体内の環境を整えることで、がんの自然退縮を促そうとする研究も進められています。今回は、自分の体に備わった自然治癒力に注目し、がんを退縮させる条件と可能性を探ってみます。

がんが増殖する条件とは逆の環境をつくりだす

私たちは生活活動や生命維持のためにエネルギーを使っていますが、そのエネルギー生産には解糖系とミトコンドリア系の2系統があります。解糖系は低体温の環境で酸素を使わずに働き、糖質を分解することでエネルギーを作り出します。ミトコンドリア系は高体温の環境で酸素を使って働き、食べ物として摂取した糖や脂肪、タンパク質のほか、解糖系で作られたピルビン酸を材料にエネルギーを生み出しています。

骨髄細胞や精子のほか、がん細胞のような分裂が盛んな細胞では、主に解糖系でエネルギーを作り出しています。つまり、体が低体温、低酸素、高血糖の状態だと、がん細胞が増殖するために使うエネルギーが生産されやすく、活性化もしやすいというわけです。

反対に、がん細胞を非活性化させるには、高体温で高酸素の状態をつくり、血糖値を上昇させないことがポイントになるといえます。

しかし、高体温が好ましいとはいっても、がん細胞が死滅し始める42度以上の体温を維持するのは現実的ではありません。そこで、免疫機能が活性化するといわれる腸内温度39度程度を維持できるように工夫するといいようです。

また、十分に酸素を取り入れるために、横隔膜を動かすように深く大きな呼吸を習慣づけることも勧められています。

自然退縮しやすいがんがある

がんが発生すると、自然に治ることはほとんどないといわれています。しかし、なかには手術や放射線治療を行わなくても、がん細胞が小さく、あるいは消えたというゲースがあるのも事実です。がんを自然退縮させる治療法はまだ見つかっていませんが、注目を集めて研究が進められています。

がんの自然退縮には、何らかの感染症で高熱が出たことがきっかけになったケースがあるそうです。こうした事例を分析した結果、腎臓がん、悪性黒色腫、乳がん、悪性リンパ腫、白血病、膀胱がんなどが自然退縮しやすいことがわかってきました。

とはいえ、自然退縮が起きるのはごく稀なケースです。また、これらのがんには、抗がん剤や放射線治療の結果が良好だという共通点があります。つまり、がんが自然退縮する可能性はゼロではありませんが、専門医と相談をしながら標準的な治療をするのが安全確実な方法です。

食事で自然治癒力を高める

がんが自然退縮する理由はまだ明らかになっていませんが、人間の体に備わる自然治癒システムが大きく関係していることは、多くの研究者が指摘しています。また、ブリティッシュコロンビア大学のフォスター博士やハワイ大学のメア・グッドマン博士の調査によると、がんが自然退縮した人の食事は野菜の摂取が多い傾向があったそうです。

免疫力や自然治癒力を高めるには、栄養状態や血行がよく、新陳代謝が高いことが条件となります。野菜には抗酸化作用を促す成分や、血小板凝集抑制作用を有する成分が多く含まれているため、多く摂取すると血液の循環を改善し、新陳代謝を高める効果が期待できます。

それでは、体内環境を整え、自然治癒力の向上が期待できる食材には、どのようなものがあるのでしょうか。以下にピックアップしてみます。

  • 抗酸化作用を促す食材(例:大根)
    大根に含まれる辛味成分イソシアシアネイトに、抗酸化の働きがあります。また、ジアスターゼという消化酵素が消化吸収を助け、代謝の向上が期待できます。
  • 免疫力を高めるための食材(例:長いも)
    長いものネバネバ成分であるムチンには、タンパク質の分解を助ける働きがあります。タンパク質を効率よく吸収することで体力を維持しやすくなり、免疫力を保つ環境が整います。
  • 乳酸菌を含む食材(例:ヨーグルトなど)
    乳酸菌には腸内環境を整える働きがあります。腸内環境が整うと、消化吸収が促されて基礎代謝が高まり、免疫機能の向上が期待できます。

まとめ

人間の体には、自然に病気を治そうとする治癒力や、体内に入ってきたウイルスやがん細胞を攻撃する免疫機能が備わっています。その力だけでがんが完治する可能性は極めて低いですが、がん細胞の自然退縮が起きるという事実もあります。

体調管理や食事で自然治癒力を高める工夫を、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。