日常的な運動によるがん予防

がんのリスクにつながる身近な問題に、運動不足が挙げられます。がん予防のために食事や喫煙、飲酒に気をつけるという人は多いのですが、積極的に運動をしている人は少ないようです。

頭では運動不足がわかっていても、実際に体を動かすところまではなかなかできません。そこで今回は、がんの予防のために日常的にできる運動について考えてみましょう。

運動がもたらす効果とは

さまざまな生活習慣を見直すことで、がんの発症リスクがかなり下げられることがわかってきました。重要なのは、偏りのない食事、ストレスをためこまない工夫、そして適度な運動です。

では、運動をすると具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか?

  • 余剰エネルギーの消費
    運動不足と食べすぎで栄養過多になると、余った栄養分は体内に蓄積されて高血糖や高脂血状態を引き起こす原因にもなります。運動は摂取した栄養分を消費するために必要なのです。
  • 筋力や身体機能の維持
    例えば、歩くときは大腿四頭筋、大腿二頭筋、前頸骨筋、下腿三頭筋など多くの脚の筋肉をはじめ、おしりや背中、腕の筋肉も使います。さらには、重心を移動させるバランス機能や心肺機能も関わっています。つまり、日常的な動作も筋肉や身体機能を複雑に使った運動となるのです。
  • 気持ちを安定させる
    適度な運動は肉体的効果だけでなく、精神的な効果も認められています。例えば、会議室で長時間の会議に参加している場面を想像してみてください。晴れやかな気持ちにはならないと思います。外に出て、空を見上げながらの深呼吸、あるいは軽くのびをして体を前後に傾けると、肩の力が抜けて気持ちが解放されることでしょう。こうした作用はストレスの軽減や不定愁訴の低減にもつながるといわれています。

以上の効果は体を健康な状態に保ち、代謝の向上や免疫力の維持にも大きな影響を与えています。

大腸がんと運動の関係

米国国立がん研究所の報告によると、運動は大腸がん、特に結腸がんの危険度を40%程度減少させるそうです。そこで、運動が大腸がんを抑えるメカニズムについて見てみましょう。

運動をすると、大腸のぜん動運動が促進されます。すると内容物が送出されやすくなり、大腸内に発がん物質があったとしても、速やかに排泄できる可能性が高くなるのです。

さらに、運動にはがんの原因とされている一部のホルモンの過剰分泌を抑える効果があります。また、定期的な運動により代謝を高めることで、がんのリスクを高める要因として知られる活性酸素から身を守れることも知られています。

運動が大腸がんの細胞に直接働きかけるわけではありませんが、腸内環境の改善や健康状態を高めることで大腸がんの発症リスクを下げているというわけです。

適度な運動量は人によって異なる

「適度な運動」は、どの程度の運動量を指すのでしょうか。それは、日常的にどの程度体を動かしているかによって変わってきます。

  • 日常的にほとんど息が弾むような運動をしない、歩くこともほとんどない場合
    まずは現状よりも10分長く体を動かすことから始めましょう。ウォーキングがもっとも効率的な運動になります。腕の振りや歩幅を大きくして、少し早足で歩きましょう。
  • 日常的に体を動かすことが少ない、あるいは息が弾むまでの運動はしない場合
     1日に1時間程度、早足のウォーキングをします。そして、週に30分から1時間程度、ジョギングやテニスといった活発な運動をしましょう。

運動を始めるときに注意しておきたいのが、いきなり過度の運動をしないということです。運動は急激にたくさんの酸素を必要とする身体活動のため、体に酸化障害を引き起こす可能性があります。軽い運動から始め、体が適応してきたと感じたら徐々に運動の量や激しさを見直すことをおすすめします。

また、運動と休息をセットにすることも大切です。例えば、ウォーキングであれば最初の20分間は早足で、次の20分間はペースを落として、大きな負担がかからないようにしましょう。

まとめ

運動は1日だけがんばるのではなく、継続しないと効果が期待できません。無理のないペースで、少しずつ体力が増進されていくのを感じながら楽しんで続けることが大切です。

がん発症のリスクを下げるための運動は、継続してこそ意味があることを意識しておきましょう。

参考: