がん予防にもなる?日光浴の可能性

最近では日光を長時間浴びると皮膚がんの可能性を高めることが広く知られ、化粧品メーカーのCMでも紫外線予防がうたわれています。その一方で、日光浴がうつ症状の改善からがん予防にまで効果が期待できるとの報告もあります。

はたして、日光浴は健康にいいのでしょうか、それとも悪いのでしょうか。今回は日光浴の可能性を探ってみます。

日光浴の効果や影響

太陽の光にあたると、人間の体には何が起きるのでしょうか。今回注目するのは、体内リズムの調整とビタミンDの生成です。

体内時計の調整

私たち人間をはじめ、ほぼすべての生物は1日の周期でさまざまな生理機能のリズムを刻んでいます。この機能は体内時計(概日リズム)とも呼ばれます。

夜になると眠くなり、昼間は活動的になるのも体内時計の働きによるものです。また、血圧が1日のうちに変動するのも、ホルモンの分泌が変化するのも、自律神経の調整(交感神経と副交感神経の優位さが変動する)も、体内時計が刻むリズムのひとつです。

体内時計による睡眠のリズムを例に見てみましょう。夜に自然に眠くなるのは、メラトニンというホルモンが脳内に分泌され、体と心を休息させる状態へと促すからです。逆に日中はオレキシンという覚醒物質が分泌され、活動状態を維持するように働きかけます。

ところが、不規則な生活が原因で体内時計のリズムが狂うことがあります。そのような場合は、太陽の光、特に朝日を浴びることで体内時計の狂いが調整され、正しいリズムを刻むようになります。

ビタミンDの生成

丈夫な骨を作るのに欠かせないのがビタミンDです。骨粗しょう症の予防には、ビタミンDの摂取が大切だということはよく知られています。

ビタミンDは太陽の光(紫外線)を浴びることで唯一体内で合成されるビタミンであることから、「光のビタミン」とも呼ばれます。皮膚にあるデヒドロコレステロールが紫外線によってビタミンD3に転換され、肝臓に運ばれたのちに血中へと取りこまれます。

日焼け

皮膚には表皮、真皮、皮下組織の3層があり、表皮はさらに4層からなっています。ある程度の紫外線は表皮の角質層で反射されるのですが、反射しきれなかった紫外線は、表皮の最深部にあるメラノサイトが作り出したメラニン色素が吸収することで、真皮への侵入を防ぎます。

このときにできるメラニン色素は皮膚のなかに沈着し、肌の色を濃くする原因となります。つまり、日焼けは紫外線が皮膚の奥にまで侵入して皮膚細胞にダメージを与えるのを防ぐために備わったメカニズムなのです。もし、このメカニズムが働かなければ、皮膚細胞は紫外線によるダメージを受けることとなります。そして、そのダメージが深刻な状態になると、皮膚がんのリスクを高めることにもなるのです。

日光浴(紫外線を浴びること)とがんとの関係

上記で見てきたように、日光浴は人体にさまざまな変化をもたらします。では、こうした変化はがんとどのように関わっているのでしょうか。

がんを発症すると、疲労感や睡眠障害、うつ症状を訴える人が多いといわれています。原因はさまざまですが、ひとつには極度の緊張状態や不安などによって体内時計が狂い、体内のリズムや免疫機能が低下することが考えられます。このような症状を軽減するには、体内時計を正しく刻ませる工夫が必要です。

また、ビタミンDの合成に関わる紫外線とがんとの関係を探ってみると、さまざまな研究結果でビタミンDの摂取量とがん発症リスクの関連性が指摘されています。例えば、ビタミンD値が高い人は、低い人と比べて大腸がんで死亡するリスクがおよそ75%低いと報告されています(米国臨床試験)。口腔がん、食道がん、膵臓がんなどにおいても、そのリスクが減少することが示唆されています。

その一方で、紫外線を浴びる量が多いと皮膚がんの発症リスクが高まるのも明らかになっています。

効果的な日光浴とは

体内時計の調整やビタミンDの合成など太陽光の恩恵は数ありますが、美容や皮膚がんのリスクを考えると過度の日焼けは避けたいところ。太陽光の効果を「いいところ取り」する方法はあるのでしょうか。

それは「朝の日光浴」です。毎朝、朝日を浴びながら15分から30分程度の散歩などで軽く体を動かし、太陽光の効果をいいところ取りしましょう。

参考: