がんの治療中や療養中に知っておきたい食事形態の調整とその工夫

がんの症状や治療、副作用などの影響で、これまで通りの食事をとることが難しくなってしまうことがあります。例えば、利き手側の乳がん術後に痛みや浮腫みなどで箸を使いづらくなる、嚥下機能(食事を飲み込んで食道に送る機能)が低下してむせてしまう、抗がん剤の副作用で食欲が低下しまうなど、その理由はさまざまです。そのようなときに、ちょっとしたアイデアで少しでも多くの食事をとれるようなサポートをすることができます。今回は、がんの治療や療養中に知っておきたい食事形態の調整についてご紹介しましょう。

食事形態の種類と特徴

ここでは、食事形態の具体的な種類とその特徴、調理方法についてご説明しましょう。

  • きざみ食
    調理で食材をやわらかくすることに加え、細かく刻んで食べやすくする食事です。みじん切りから5mm大、一口大まで、患者さんの好みや状態に応じて大きさを変えて準備します。
  • ミキサー食
    調理した食材をミキサーにかけて、流動状にした食事です。粘り気が強いと感じる場合には、白湯やだしで水分量を調整するといいでしょう。
  • とろみ食
    嚥下機能が低下している患者さんが飲み込みやすいように、でんぷん、ゼラチン、もずく、市販のとろみ補助剤などを利用してとろみをつけた食事です。汁物やきざみ食、ミキサー食などと組み合わせると、より飲み込みやすくなります。

食事形態を調整する必要性

がんの治療中や療養中には、さまざまな原因によって食欲や消化・吸収機能、嚥下機能が低下してしまうことがあります。そのような状態で従来どおりの食事方法や食事形態を続けていては、消化不良や嘔吐、腹痛などに見舞われてしまいます。さらに、嚥下機能が低下しているときに従来どおりの食事を継続すると、誤嚥によって窒息や肺炎を起こしてしまう危険性もあるのです。そのため、体の状態に応じて食事形態を細かく調整することが必要になります。

また、手術や治療などの影響で手をうまく動かせない場合には、自分で思うように食べられないことにストレスを感じることがあります。そんなときには、患者さんが自力でストレスなく食事をとれるようにサポートすることが大切です。例えば、主食をおにぎりにして副菜を竹串やつまようじに刺しておけば、箸を使わずに食べることができます。自力で食べられるということは、自尊心や意欲にも好影響があります。

咀嚼が難しいときには、主食におかゆを用意するといいでしょう。患者さんの状態によって、かたさを調整してください。

患者さんに合わせた食事形態を用意するための工夫

患者さんのために、ほかの家族とは異なる形態の食事を毎回作ることが難しいこともあると思います。そんなときには、下記のような工夫をしてみてはいかがでしょうか。

  • ミルサーの活用
    ミルサーは先端にプロペラ状のステンレス刃がついた器具で、スティック状の食品を粉砕する際に使います。ミキサーを使うには食材の量が少ないときや、粉砕の状態を確認しながら調整したいときに便利です。ミルサーがない場合には、フードプロセッサーで代用してもいいでしょう。
  • 冷凍保存
    食事ごとに食事形態を調整することが難しい場合は、一度にまとめて調理して冷凍保存しておくと便利です。

冷凍する際は、調理時と同様に衛生面に気をつけましょう。製氷器やフリーザーバッグを活用して、必要な量だけを使えるように小分けに保存しておくと、無駄なく簡単に解凍できます。また、冷凍する際に食材を5mm厚の板状にしておくと、凍ったまま手で割れるので便利です。

なお、冷凍保存をしても食品の鮮度は落ちていきます。数週間から1か月で使い切るようにしましょう。

まとめ

口から食事をとることは単なる栄養補給にとどまらず、生活のなかの楽しみや気分転換、生きがいなど多くの意味がこめられています。さまざまな工夫をして、がんの療養生活を少しでも快適に過ごし、治療を乗り越えられるようにしましょう。 

参考: