きちんと理解して早めに対処しよう!がん治療・療養中の尿路感染症と膀胱炎

がんの治療中や療養中に、治療の副作用(免疫力の低下、嘔気、食欲低下による脱水など)やストレス、疲労の蓄積などによって尿路感染症や膀胱炎を患ってしまうことがあります。経験のない人は、排尿時の違和感や痛み、残尿感に不安を感じたり、治療の副作用と勘違いしたりすることもあるでしょう。尿路感染症や膀胱炎は感染症ですので、我慢しているうちに治るものではありません。それどころか、早めに適切な処置をしないと腎臓にまで感染が広がり、炎症が慢性化(長期化)、重症化する可能性もあります。今回は尿路感染症と膀胱炎について理解を深めるとともに、その対処法をみていきます。

尿路感染症とは

尿が排泄されるまでの通り道である腎臓、膀胱、尿道、前立腺(男性のみ)などに起こる感染症で、腎臓から尿管までの部位では「上部尿路感染症」、膀胱から尿道までの部位では「下部尿路感染症」と呼ばれます。「上部尿路感染症」は急激に症状が現れるという特徴があり、炎症が起きている部分の背部痛、血尿、寒気、嘔気、嘔吐などがみられます。「下部尿路感染症」は、頻尿、排尿時や排尿後に尿がしみるような感覚や焼けるような痛み、下腹部痛といった症状があります。どちらも尿路を通して感染するため、両方同時に発症することもあります。

膀胱炎とは

膀胱炎は尿路感染症の一種で、膀胱に病原菌が入り込むことで起こります。膀胱の表面は柔らかい粘膜層で覆われているため、炎症によって粘膜が傷つくと出血による血尿や痛みを生じます。男性に比べて尿道が短い女性が多くかかりやすいことが特徴です。症状は、頻尿、残尿感(排尿してもまだ尿が残っているように感じること)、排尿時や排尿後のしみるような痛み、血尿や白く濁った尿などです。

尿路感染症・膀胱炎の原因は

十分な休息をとることができず疲労が蓄積すると、体に備わる免疫機構の働きが低下して感染症にかかりやすくなると考えられます。また、化学療法では骨髄抑制による白血球の減少のために治療後1~2週間は特に感染症にかかりやすい状態となり、体に常在している菌であっても尿路感染症や膀胱炎の原因となることがあります。さらに、食欲不振や嘔吐、吐き気といった消化器症状の副作用が出ていると十分な水分補給が難しく、尿路に入り込んだ病原菌を洗い流すだけの尿量を確保できない場合があります。このようなケースでも、尿路感染症や膀胱炎を発症しやすくなります。

早期発見のポイントと対処法

尿路感染症や膀胱炎は、できる限り早い段階で症状に気づくことが大切です。ここではそのチェックポイントと症状への対処法をご紹介します。

チェックポイント

  • 排尿時の痛みの有無
  • 尿の状態(濁り、色の変化、血尿の有無など)
  • 残尿感の有無
  • 排尿回数の増加
  • 下腹部、腰、背部(背中)の違和感や痛み
  • 発熱の有無 

対処方法

  • 水分の摂取量を増やす
    お水やお茶を飲む機会を増やすように心がけましょう。成人の1日に必要な水分摂取量は、発汗が少ない場合で1000~1500mlといわれています。一度にまとめてではなく、複数回に分けてこまめに摂取するようにしてください。
  • こまめに排尿する
    我慢をしないことが大切です。菌を流し出せるようにしっかり排尿しましょう。
  • できる限り早めに医療機関で受診する
    感染症は我慢していても治りません。悪化する前に受診し、適切な治療や対処方法について指示を受けましょう。

尿路感染症と膀胱炎を予防するには

尿路感染症や膀胱炎を予防するために、下記の事項を習慣づけましょう。

  • 排尿を我慢しない
    病原菌を膀胱にためないように、日中は尿意がなくても3~4時間に1回の排尿習慣を持つようにしましょう
  • こまめに水分を補給する
    十分な尿量を確保するには、十分な水分補給が欠かせません。
  • 女性の場合、生理用品やおりものシートを3時間を目安に交換する
    汚れが目立たなくても交換し、清潔を保ちましょう。
  • 陰部の清潔を保つ
    尿路感染症や膀胱炎の原因となる病原菌の多くは大腸菌といわれています。排便時にお尻を拭くときは、前から後ろに(尿道側から肛門の方向へ)拭くことを徹底しましょう。

まとめ

尿路感染症や膀胱炎は、がんの治療や療養中にかかりやすい病気のひとつです。デリケートで相談しにくいかもしれませんが、羞恥心から受診を控えると症状を悪化させることになりますので、絶対にやめてください。きちんと正しい知識を持って、予防や対処をしましょう。 

参考: