メラトニンには抗がん作用がある?

メラトニンは睡眠に関わるホルモンとしてよく知られていますが、近年はメラトニンの持つ抗酸化作用、免疫力の向上作用、抗がん作用などが注目を集めています。今回はがんに対するメラトニンの効果を紹介するとともに、メラトニンの分泌を促す方法についてもみていきましょう。

がんに対して期待されるメラトニンの効果

メラトニンは体内時計を調節するホルモンとしてよく知られており、脳にある松果体という場所から分泌されます。近年では、メラトニンに抗酸化作用があるという報告もあり、その抗がん作用が着目されています。それでは、メラトニンの持つ効果について詳しくみてみましょう。

  • 抗酸化作用
    メラトニンは活性酸素や一酸化窒素、過酸化脂質などを消去できることが明らかになっています。しかも、メラトニンは自身が酸化されても酸化剤に変わることはなく、安定であるという特長があります。メラトニンの抗酸化作用による、がんや動脈硬化など多くの疾患の予防効果が期待されています。
  • 免疫力を高める作用
    メラトニンは白血球に含まれるリンパ球や単球をメラトニン受容体を介して刺激し、インターフェロンやインターロイキンなどの分泌を促します。このことから、免疫力を高める作用があるといわれています。
  • がんの増殖を抑える作用
    がん細胞の細胞死を誘導する作用や、がんの抑制因子の発現量を増加させる作用が報告されており、がん細胞の増殖や転移の阻害する効果が期待されています。
  • がん治療の副作用を軽減させる作用
    放射線治療や抗がん剤治療による副作用を軽減し、生存率を高める効果がみられたとの報告が出されています。

加齢とともに減少するメラトニン

メラトニンが持つさまざまな効果には期待がかかりますが、体内でどのくらいのメラトニンが分泌されているのか気になるところ。実はメラトニン分泌量は子どものころがピークで、思春期以降は残念ながら年齢とともに減少していくとのことです。

メラトニンの分泌を促す方法は?

加齢とともに減少してしまうメラトニン。なんとか分泌量を増やすことはできないのでしょうか? ここでは、その方法をいくつかご紹介します。

  • 朝、太陽光で体内時計をリセット
    強い光の刺激が目から入り、メラトニンを分泌する脳の松果体まで伝わると、メラトニンの分泌が抑えられます。同時に体内時計がリセットされ、強い光刺激を受けた約14~16時間後に再びメラトニンが分泌されるように予定されます。強い光刺激は太陽光が望ましく、午前10時ごろまでに太陽光を約10分間浴びるようにするといいでしょう。
  • 規則正しい生活を送る
    毎日、決まった時間に就寝および起床すると、眠りにつきやすくメラトニンが分泌されやすくなります。
  • 就寝前にテレビやスマートフォンを見ない
    テレビやパソコン、タブレット、スマートフォンなどの画面が発するブルーライトには、メラトニンの分泌を抑制する働きがあります。できれば、就寝の2~3時間前からブルーライトを浴びないようにしましょう。メラトニンの分泌がはじまる夜9時以降は、部屋の照明の光量を抑えるとメラトニンが分泌されやすくなるようです。
  • 運動をする
    就寝時間の2時間前にストレッチのような軽い運動をすると、眠りにつきやすくメラトニンが分泌されやすくなります。
  • トリプトファンとビタミンB6が豊富な食べ物を摂る
    メラトニンを多く含む食べ物としては、ケールやかいわれ大根、とうもろこし、バナナなどが知られています。しかし、不眠を改善するほどのメラトニンは含まれていないといわれています。

そこで、メラトニンの材料となるトリプトファンや、トリプトファンの代謝に必要なビタミンB6が多く含まれている食べ物を摂るといいでしょう。トリプトファンが多く含まれる食べ物には、大豆製品や乳製品、アーモンド、ピーナツ、バナナ、アボカドなどがあります。また、ビタミンB6が多く含まれている食べ物は、まぐろ、かつお、にんにく、レバー、ピスタチオナッツなどが知られています。

サプリメントによる摂取は?

メラトニンの量を増やすには、手っ取り早くサプリメントを飲めばいいのでは?と考える人がいるかもしれません。しかし、日本ではメラトニンのサプリメントは製造、販売が禁止されています。

海外旅行の際に入手したり海外から個人輸入したりすることはできますが、服用にあたっては事前に医療機関によく相談することをおすすめします。

その理由は、必ずしもメラトニンを積極的に摂取していいわけではないからです。例えば、慢性関節リューマチのような自己免疫疾患、白血病や悪性リンパ腫などの免疫細胞のがんは、メラトニンによって悪化する可能性があります。また、血液凝固を阻害する薬、降圧剤、睡眠薬や精神安定剤を服用している人も注意が必要です。妊婦や授乳中の人、子どももメラトニンのサプリメントは避けるべきだといわれています。

また、本来メラトニンは自分で作り出しているホルモンですので、サプリメントで摂取すると自らのメラトニンの生成機能が衰える可能性があります。ひとたび生成機能が減退すると、回復が難しいともいわれていることも認識しておく必要があります。


参考: