コーヒーに含まれる成分ががんを抑制するって本当?

コーヒーには、かつて薬として利用されていたという歴史があります。また、コーヒーとがんの関係については、古くから議論されているところです。例えばコーヒーをよく飲む人は、飲まない人に比べ肝がんの発生率が低いといわれている一方で、胃がんのリスクが高いという意見があります。嗜好品として多くの人が愛飲しているコーヒーとがんの関係を、栄養学の面から探ってみましょう。

コーヒーに含まれる成分

コーヒーの木にできる種子を収穫し、焙煎したものがコーヒー豆です。コーヒーに含まれる主な成分はカフェイン、クロロゲン酸をはじめとしたポリフェノール、脂質、コーヒー豆マンノオリゴ糖のほか、カルシウム、ナイアシンを含むビタミンB郡です。では、カフェインやポリフェノールはどのような成分なのでしょうか。

  • カフェイン:
    コーヒーの成分で、もっとも有名なのがカフェインでしょう。カフェインは緑茶や紅茶にも含まれている成分で、眠気覚ましに利用されるように興奮作用をもたらすほか、利尿作用があることでも知られています。

また、カフェインには自律神経の働きを助け、代謝を促進させる効果があります。このことから体脂肪の燃焼が促されるとして、ダイエット効果が期待されることもあります。

さらに、胃液の分泌を促し胃腸の働きをサポートする作用があるとされ、食後のコーヒーは古くから愛飲されてきました。

  • ポリフェノール:
    コーヒーに含まれているポリフェノールはクロロゲン酸で、コーヒーの色や苦味、芳醇な香りなどの素になっています。そして、ポリフェノールにはがんや糖尿病、動脈硬化の予防効果があるといわれています。

なお、コーヒー1杯分(約140グラム)には約280ミリグラム程度のポリフェノールが含まれます。これはお茶の約2倍で、赤ワインと同じくらいの量です。

コーヒーはがんのリスクを下げる?

クロロゲン酸は発がん性物質のニトロアミンの生成を阻止するとされ、がん細胞の増殖に対する抑制効果に注目が集まっています。

国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの予防研究グループが行った研究では、「コーヒーをよく飲む人は肝がんの発生率が低い」という結果が得られています。

これは10年間の追跡調査の結果からコーヒー摂取量と肝がんの発生率との関係を導き出したもので、コーヒーを飲まない人を1とした場合、毎日5杯以上飲む人は肝がんの発生率が0.24だったそうです。

コーヒーが肝がんの発生率を下げると考えられる理由

大阪市立大学大学院看護学研究科の研究では、C型慢性肝疾患の患者の肝機能改善にコーヒーの成分が有効だったことが確認されています。

肝がんの主な原因はC型肝炎ウイルスへの感染です。コーヒーには炎症を和らげる作用が確認されており、コーヒーの摂取が肝炎の進行を抑制して肝がん発症のリスクを下げているのではないかといわれています。

また、コーヒーに含まれるポリフェノールの抗酸化作用も、肝がんの発症予防にひと役買っていると考えられています。

おいしく飲む程度が適量

肝がんの抑制効果があるといわれる一方で、コーヒーには胃がんのリスクを高めるといった報告もあります。

また、コーヒーを飲まない人と愛飲している人の乳がん発生率比較では、大きな差は認められませんでした。しかし、良性の乳房疾患がある女性のカフェイン摂取量と乳がん発生率を比べた調査結果では、カフェインを多く摂取する人のほうが乳がんの発生率が高かったという結果が出ています。つまり、良性であっても乳房疾患があると、その後のコーヒーの摂取量(カフェイン摂取量)が多いほど、発がんリスクが高くなる可能性があるということになります。

では、がんの発症リスク低減を期待できる健康的なコーヒーの飲み方はあるのでしょうか?

これまでの知見から考えると、食後やリラックスタイムなどにそれぞれ1杯ずつコーヒーを味わうのが、もっとも健康的なのではないかと思われます。

つまり、1日に3~5杯程度が、肝がんのリスクを下げることにつながるのではないでしょうか。

がんは今や生活習慣病といわれています。日常的な暮らしのなかでリスクを下げるためには「何をどう食べるか」が重要になってくるでしょう。嗜好品であるコーヒーも、夜中の眠気覚ましに大量に飲むようなことは決しておすすめできません。

おいしい1杯を楽しむことこそが、コーヒーに含まれる成分の効果を最大限活かせる飲み方でしょう。

参考: