歯周病ががんのリスクを高める?

歯周病は、細菌によって歯茎に炎症が起きる病気です。歯周病が歯の健康だけでなく、心筋梗塞や脳卒中の発症にも関連していることは、以前より知られていました。また、近年では歯周病とがんの発生リスクに関する研究も進められています。今回は歯周病とがんの関係について見てみましょう。

歯周病とがんの関連性

口腔がんや食道がん、頭頸部がんは、その発症リスクと歯周病との関連性が以前より指摘されています。ところが研究が進むにつれ、歯周病が影響を及ぼすがんの部位は口の近辺だけではないことがわかってきました。

ハーバード大学では、16年間に渡り男性51,529人の追跡調査を実施。その結果、2007年には歯周病の人はそうでない人に比べて膵臓がんの発症リスクが64%も高いという研究報告がなされました。重篤な歯周病がすぐに膵臓がんに結びつくわけではないとのことですが、歯周病による炎症ががん細胞の形成を促進している可能性があるとしています。

また、2015年12月のバッファロー大学からの報告では、閉経後の女性73,737人について約7年間の追跡調査をした結果、歯周病の人はそうでない人に比べて14%も乳がんの発症率が高かったことが示されました。そのメカニズムについては、循環系に入り込んだ歯周病の細菌が乳房の組織に影響を与えていると推察されています。ただし、詳細についてはさらなる研究が待たれているところです。

これまでの多くの研究から、歯周病予防は心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げるだけでなく、さまざまながんの発症リスクも下げる可能性が高いといえるでしょう。

歯周病について知っておこう

歯周病とはどんな病気なのか、この機会に確認しておきましょう。

歯周病とは?

歯みがきがおろそかになると、口の中の細菌がプラーク(歯垢)というねばねばとした物質を作り出します。そして、歯にくっついたプラーク中の細菌が毒素を出し、歯茎に炎症を引き起こします。この炎症性疾患が歯周病です。歯石はプラークが硬くなったものを指します。朝起きたときの口内のねばつきや歯茎の腫れ、歯みがきによる歯茎からの出血、口臭などは、歯周病の症状である可能性があります。歯周病がひどくなると、歯と歯茎の境目の歯周ポケットと呼ばれる溝が深くなり、歯の神経が死んでしまうこともあります。そうなると歯を失うことにもなりますので、歯周病が疑われる場合は放置せずに歯科での受診をおすすめします。

歯周病の要因

不十分な歯みがきだけでなく、歯並びなど口の状態が歯周病の原因となることがあるようです。女性の場合は、妊娠や閉経前後はホルモンレベルが変動し、歯茎が炎症を起しやすい状態になります。さらに、以下の項目に当てはまる場合も、歯周病になりやすいといわれています。

  • 喫煙

喫煙者は非喫煙者よりも歯周病にかかりやすいという報告があります。タバコに含まれる物質により歯周病の症状に気づきにくく、発見が遅れがちで治り方も悪いとのことです。

  • 口呼吸

口呼吸は口の中が乾きがちになり、プラークがたまりやすくなるようです。

  • 糖尿病

糖尿病は歯周病を悪化させる大きな要因とされています。

歯周病予防のポイントは

歯周病予防の最重要ポイントは、プラークと歯石を取り除くことです。

歯みがきは歯ブラシによるブラッシングがメインになりますが、それだけでは十分とはいえません。歯間ブラシやデンタルフロスなどの併用が必要です。つまようじは食べもののカスを取り除く程度のことしかできないので、歯みがきの代わりにはなりません。なお、日本歯周病学会によると電動歯ブラシは歯茎のマッサージ用の位置づけであり、手みがきを推奨しています。うがい薬もプラークを取り除くことはできないので、あくまでも補助的に使いましょう。

歯ブラシの選び方や自分の歯並びに合った歯みがきのやり方などについては歯科医や歯科衛生士に相談し、みがき残しのない正しい歯みがきができるようにしましょう。

虫歯と歯周病は別のものです。たとえ虫歯がなくても、口腔内の健康のために定期的な歯科検診を受けることが大切です。万が一、歯周病が見つかった場合は、早めに治療するようにしましょう

まとめ

歯を失う原因となるだけでなく、心筋梗塞や脳卒中にも関連があるといわれている歯周病。近年ではさまざまながんの発症リスクを高める可能性までもが指摘されています。歯のためだけでなく各種疾患の予防のためにも、毎日の歯みがきと定期的な歯科検診でプラークや歯石の蓄積を防ぎ、歯周病をしっかり予防しましょう。


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