がんの緩和ケアについて理解しよう

がんの療養中には緩和ケアについて見聞きする機会が多いことでしょう。ひとくちに「緩和ケア」といっても、さまざまな種類があります。では、実際に緩和ケアを受けるときには、どのような準備が必要なのでしょうか? 今回は、緩和ケアを受けるにあたって知っておきたいことをご紹介します。

緩和ケアの目的とその種類

緩和ケアは「がん疼痛の緩和」を目的としていることはよく知られていますが、それだけではありません。厚生労働省は「病気に伴う心と体の痛みを和らげること」を緩和ケアとしています。つまり、病気によって起こるさまざまな症状や治療の影響を受ける「心と体」の両方の負担を和らげることを緩和ケアというのです。心身の負担が和らぐことは、治療に取り組む意欲が高まったり、これまでの生活を続けられるようになったりと、QOL(生活の質)の向上にもつながっていきます。

それでは、がんの療養生活の中で受けることのできる緩和ケアの種類を見てみましょう。

  • がんの症状や治療による副作用を緩和するケア

がん疼痛の除去や軽減、治療による副作用の緩和や軽減(吐き気、食欲の低下、お腹の張り、息苦しさ、咳やしゃっくりが止まらない、体のむくみ、尿が思うように出ない、体がだるい、意欲がでない、気分が落ち込むなど)。

  • 日常生活を取り戻すためのケア

食事を楽しむためのケア、できる限りストレスを少なく排泄できるようにするケア、睡眠を十分にとるためのケア、楽な姿勢や体位を変換するためのケア、褥瘡(床ずれ)を予防し清潔を保つためのケア、心地よく過ごすためのケアなど。

  • 心を元気にするためのケア

専門家のカウンセリングやグループワークなどを活用しながら、ストレスと上手に付き合うためのサポートなど。

  • ご家族へのケア

家族の抱える悩みや不安などについてのサポート。

  • 自宅でも緩和ケアを受けることができるようにするための支援

患者さんが緩和ケアを受けながら住み慣れた自宅で快適な療養生活を送れるように、主治医をはじめとした地域の保健師や訪問看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師などがチームとなってサポート。

  • 代替療法

リラクゼーションや体の各種症状の緩和をサポートするために、さまざまな代替療法も広まっています。専門家の考え方にもよりますが、希望すればアロマテラピー、カラーセラピー、リフレクソロジー、アニマルセラピー、音楽療法、ヒーリング・タッチ、タッピング・タッチなどを受けられる場合があります。

緩和ケアを受けるにはどんな準備が必要?

実際に緩和ケアを希望する場合に、どのような準備をすればいいのか見ていきましょう。

  1. つらいことや困っていることを確認する

    がんの緩和ケアは、病気、治療、副作用の有無や症状、心身の状態などに応じて一人ひとりに合った方法を選択しながら進められます。そのため、「どんな症状がつらいのか」「何に困っているのか」という点をきちんと確認しておきましょう。

    「何となく○○がつらい」といった曖昧な状態より、「体は疲れているのに、吐き気が強くて十分な睡眠がとれないことがつらい」「食事は少しずつとれるようになってきたが、便が思うように出せずお腹が張って重苦しい」などと具体的に把握できていれば、より適切なサポートを受けることができます。もし、つらい症状がいくつもあるときはメモなどに書き留め、和らげたい症状の優先順位をつけてみましょう。専門家に相談する際も、その順位を伝えることで症状のつらさを理解してもらうことができ、効果的なケアにもつながります。

  2. 主治医に相談する

    つらいことや困っていることが確認できたら「緩和ケアを受けたい」という希望をまず主治医に相談します。緩和ケア病棟や外来の有無など、受診している病院の施設を心配する必要はありません。主治医はあらゆる専門家と連携しながら治療を進めていますので、受診先の病院に緩和ケア病棟や外来がなくても、あるいは自宅で療養中であっても、希望があれば緩和ケアを受けることができます。

緩和ケアを受けるときの注意点

緩和ケアの効果は客観的な方法で調べることもできますが、患者さん本人が療養生活を苦痛なく快適に過ごせているかどうかが一番重要です。そのため、「実感」の部分でケアの効果をしっかりと判断していく必要があります。専門家から何らかのケアを受け始めたときには、その日に感じた変化や苦痛の有無や程度などを一言メモするようにしましょう。そして、そのメモを参考に専門家と一緒にケアを評価することで、ケアを維持するか、それとも調整や変更をするかといった判断の材料となります。また、ケアについて気付いたことや新しいアイデアなどもメモしておくと、より自分に合ったケア内容に調整してもらうことも可能になるでしょう。

まとめ

がんの療養中は、がん自体の症状に加えて治療の副作用などから心身にさまざまなストレスがかかります。緩和ケアは、そんな状態を少しでも快適な方向へと変化させていくことを促します。一人であれこれ悩むことなく、専門家のサポートを得ながら快適な療養生活を送りましょう。

参考: