魚およびn-3多価不飽和脂肪酸が膵臓がんのリスクを下げるってほんと?

膵臓がんは早期発見が難しいといわれるため、可能な限り発症のリスクを下げる工夫を日常生活に取り入れたいところです。魚介類およびn-3多価不飽和脂肪酸が膵臓がんの発症リスクを下げる可能性があるという話を聞きますが、これは本当なのでしょうか?

国立がん研究センターなどで調査されたデータをもとに、予防の可能性や日常生活のなかで取り入れられる工夫について探っていきます。

膵臓がんについて

膵臓は胃の後ろにある臓器で、洋なしを横にしたような細長い形をしています。おもな働きは食物の消化を助けるための膵液を作ることと、血糖値を調節するためのインスリンやグルカゴンというホルモンを作ることです。

膵臓がんのほとんどは、膵管に発症します。初期の膵臓がんには特徴的な症状がないために早期発見が難しく、死亡率が高いとされています。

できることならば、日常生活で予防したいがんのひとつです。そして、食事を見直すことがその予防につながるといわれ、魚介類およびn-3多価不飽和脂肪酸が注目されています。

魚に含まれている栄養素やn-3多価不飽和脂肪酸ってなに?

多価不飽和脂肪酸は、体内で合成できないために食物から摂取する必要がある必須脂肪酸です。魚や植物油に多く含まれ、n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸があります。

n-6系はリノール酸で、大豆油やコーン油などに多く含まれます。しかし、過度の摂取はアレルギーなど炎症を起こすことが示唆されています。

n-3系はαリノレン酸や魚に含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などで、不足すると皮膚炎などを生じることがあります。また、血中の中性脂肪を下げたり、動脈硬化を防いだりします。

魚は多くの場合低カロリー高たんぱくで、DHAやEPAやタウリン、ヒスチジンなどを含みます。これらの栄養素には脂肪の増加を抑える作用があり、肥満防止の効果が期待できるといわれています。また、魚に含まれているn-3系脂肪酸がインスリン抵抗性を改善し、2型糖尿病の発症リスクが低下するという研究結果も出ています。

魚の栄養やn3多価不飽和脂肪酸の作用と膵臓がんの関係は?

国立研究開発法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの予防研究グループによって、膵臓がんは喫煙、糖尿病、慢性膵炎などとの関連があると報告されています。また、多くの疫学研究において、食事内容を工夫することで膵臓がん予防の効果があると示唆されています。しかし、現時点では不明な点が多く、はっきりとしたデータは出ていません。

しかし、糖尿病などの生活習慣病や慢性膵炎によって膵臓に炎症が起きると、膵臓がんの発症リスクが高くなるのは事実のようです。

また、魚に含まれている栄養素やn-3系脂肪酸は、炎症の抑制や糖尿病予防の効果を持つ可能性が高いことが知られています。

以上のことから、魚に含まれている栄養素やn-3系脂肪酸の摂取が膵臓がんの発症リスクを下げる可能性はおおいに期待できるのではないかと考えられます。

効率的なn-3多価不飽和脂肪酸の摂取方法

n-3多価不飽和脂肪酸はなたね油やオリーブ油、ごま油のほか、魚の脂にも含まれています。これらを調理に使えば手軽に摂取できます。

例えば、野菜炒めにごま油を使って風味付けをしたり、オリーブ油でコクを出したりして、調味料としても活用しましょう。

食材としてはアジやイワシやサンマ、カジキなどの魚をメニューに加えるようにしましょう。青魚が苦手な場合は、蒲焼き風に醤油やみりんで味付けをしたりキムチなどと和えたりすると、くさみが取れて食べやすくなります。

なお、厚生労働省が策定した1日に摂取すべき必須脂肪酸の目安量(2010年版)によると、n-3系は成人で2.1グラム以上とされています。100グラムのマイワシからは3.2グラムのn-3系脂肪酸摂取することができるので、1日に1匹のマイワシを食べればいいのです。

まとめ

膵臓がんの予防に役立つといわれるn-3多価不飽和脂肪酸ですが、その効果やメカニズムについては現在の研究ではまだはっきりと解明されていません。しかし、n-3多価不飽和脂肪酸を摂取することは、動脈硬化の予防や血中の中性脂肪の低下に役立ち、生活習慣病のリスクを軽減させることにつながります。生活習慣病が膵臓がんのリスクを高めることを考えると、n-3多価不飽和脂肪酸をしっかりと摂取することはがん予防の効果も期待できるのではないでしょうか。

1日に必要なn-3多価不飽和脂肪酸の摂取量は、食事に魚料理を加えるなどの工夫で簡単にクリアできます。食生活からがん予防に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考: