抗がん剤は効かない?しかも危険ってほんと?

抗がん剤を使っても治療の効果は上がらないばかりか、体がボロボロになって闘病する体力を失う危険性があるという話を聞いたことはありませんか? 確かに抗がん剤がよく効くがんと、効きにくいがんがあるのは事実です。

それでは、抗がん剤の効果の差はなぜ現れるのでしょうか? また、抗がん剤で体がボロボロになると心配されるのはなぜなのでしょうか?

抗がん剤が担う役割は?

抗がん剤は、がんが増殖したり成長したりするのを一時的に遅らせ、がんを縮小させるために用いられます。がんに対する局所的な治療といわれる手術に対して、抗がん剤は全身に薬の効果を行き渡らせられるため、広範囲な治療効果が期待できるのです。つまり、手術では取り切れないがん細胞がある場合や転移の可能性がある場合には、抗がん剤を用いた治療が選択されます。

抗がん剤は効かないといわれるのはなぜ?

がんの三大治療法として広く用いられている抗がん剤治療が「効かない」といわれるのはなぜなのでしょうか。また、抗がん剤が「効く」というのはどういう状況を指すのでしょうか。

例えば白血病など血液のがんは手術の対象にはならないため、抗がん剤による治療が選択されます。抗がん剤の投与を受けながら日常生活を送れるような状態が維持できれば、その治療は効果があるといえるでしょう。

しかし、同じがんに同じ抗がん剤治療を選択したとしても、治療を受ける人の体力や年齢、体質によって副作用の出方や強さは変わってきます。ときには副作用が強く出て、治療を継続できないケースもありえます。このような場合は、抗がん剤の効果は得られなかったことになります。

つまり、抗がん剤の効果はひとつひとつの事例ごとに異なるため、一概にいえるものではないというのが実情です。また、新薬の開発によって抗がん剤の効果が認められるがんの種類は増えています。

抗がん剤で体がボロボロになるといわれるのはなぜ?

抗がん剤を使うと体がボロボロになり、かえって命を縮める可能性があるのではないかと心配する人が多いのはなぜでしょうか。

これは、副作用に対する極度の不安がこのような考え方につながっているといえます。

抗がん剤は、急激に増殖するという性質に反応してがん細胞を攻撃する薬です。しかし、増殖の速い正常な細胞(例:毛根細胞)も、抗がん剤の攻撃のターゲットとなってしまいます。抗がん剤治療で脱毛の副作用が現れるのはそのためです。消化管の粘膜や膀胱、腎臓、神経系に副作用が見られることもあります。

しかし、正常な細胞は抗がん剤によってダメージを受けたとしても、ある程度時間が経てば快復します。つまり、副作用は一定の期間に現れる可能性はあるものの、次第に治まっていくのです。さらに現在は、副作用の現れる時期や現れ方が把握されているため、あらかじめ緩和ケアが行われます。そのため、抗がん剤治療を受けながら日常生活を送ることのできるケースが多くなっています。

新薬の開発で抗がん剤治療の可能性は広がった

新しい抗がん剤の開発は盛んに進められています。作用の仕方はもちろんのこと、がん細胞だけをターゲットにして正常な細胞への影響を極力小さくしたものや、副作用が出にくい化学薬品が用いられたものなど、さまざまな種類のものが生み出されています。

具体的には、化学物質によってがんの増殖を抑えるものや、がんの分子レベルの特徴だけを捉えて攻撃する分子標的薬、がん細胞の増殖に関わる体内のホルモンに働きかけるホルモン剤などがあります。

以前であれば、体質的に副作用が強く出て治療の継続が難しいとされていた人にとっても、抗がん剤治療の可能性が広がっているといえます。

抗がん剤治療で注意したいこと

どのような抗がん剤を用いて治療をするのか、きちんと説明を受けることが大切です。入院が必要なのか、あるいは通院しながら抗がん剤投与が受けられるのかといった治療の仕方についても、スケジュールとともに確認をしておきましょう。

さらに、副作用についても要確認です。副作用の内容や発現時期、発現期間の見込みについても説明を受けましょう。

そのうえで、副作用にどのような対策が取れるのか、自力での対処が可能かといった、自分が望む日常生活が続けられるかどうかを基準に、担当医と密な治療計画を練ることが大切です。

「自分の意志」を大切にしてがん治療と向き合うことが、抗がん剤への必要以上の恐怖から解放される方法だといえそうです。多くの情報が出回っている昨今だからこそ複数の専門家に意見を求め、より詳細で正しい情報をもとに判断することが重要です。

参考: