がんの発症リスクを考える

「がんは予防できる病気である」と多くの研究によって明らかになってきました。こうした結果を受けて、2011年に国立がん研究センターがん予防・検診研究センターが「がんを防ぐための新12か条」をまとめています。それによると、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正な体重の維持」「感染予防」の6項目に配慮した生活をすることががんの発症リスクを下げるためには大切です。ここで注目したいのが、感染予防以外の5項目です。これらは健康に毎日を過ごすために必要な生活習慣と同じです。つまり、体調を整え、体力を維持することが、がん予防にも再発予防にも大切だということです。ちなみにこれらの項目を実施する場合は、まったく実施しない場合に比べてがんの発症リスクは40%も下がるといわれています。

今回は、日常生活において意識をもって実行したい項目について見ていきましょう。

たばこと酒は節度を守る

たばこががん発症リスクを高めることは多くの人が知っています。でも、なかなか止められないという声が多いのも事実。嗜好性の問題ですから、簡単に禁煙できるのもではないのかもしれません。しかし、喫煙は肺がんのみならず、胃がん、膵臓がん、子宮頸がんなどのリスクを高めることがわかっています。さらに、吸っている人だけでなく、周りで煙を吸い込む人にも同じようなリスクを負わせている行為です。そこを意識して、マナーのある喫煙や禁煙を心がけましょう。

また、節度を超える飲酒は大腸がん、肝臓がんなどのリスクを高めます。しかし、飲酒は、適量であれば食欲を増し、気分転換にも効果を発揮するとされ、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げるという結果も出ています。気になる「適量」は、1日当たりアルコール量23グラム程度です。これは日本酒なら1合程度、ビールなら大瓶1本程度、ワインならボトルの3分の2程度です。ただし、この適量は個人差や体調にもよりますから、おいしく気分良く飲めない場合は、無理をしてまで飲まないようにしましょう。

食事のバランスを考える

国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」には食事に関する項目が3つあります。「バランスのとれた食生活を送ること」「塩辛い食品は控えること」「野菜や果物は不足にならないように摂取すること」です。それに関連した項目として「適切な体重維持」が挙げられています。毎日の生活においては、この4項目がもっとも身近ながん発症リスク対策と言えるでしょう。

バランスのとれた食生活

さまざまな食品から必要な栄養素をまんべんなく摂取するには、自炊するのがもっとも効率的です。外食が続く場合は、どんなものを食べたのか覚えておいて、自炊時に不足しがちな食品を補うように心がけましょう。また、がん発症リスクを下げるために、脂肪分が多い肉類を避けることがありますが、肉類は良質なたんぱく質でもあります。偏ることなく、いろいろな食品から必要な栄養を摂ることを意識しましょう。さらに、腸内の環境が整っていることが、体力維持、免疫力維持には大切なので、食物繊維も積極的に摂取するようにしましょう。

塩辛い食品を控える

塩分の摂りすぎは、高血圧や循環器疾患のリスク以外に、胃がん発症のリスクも高めることになります。塩分摂取を抑えるには、鰹や昆布でしっかりとだしをとり、うま味を引き出して塩分を少量にするなど、調味料の使い方を工夫しましょう。また、塩分(ナトリウム)を排泄しやすくするために、カリウムを積極的に摂取しましょう。カリウムは野菜や果物を生で食べると効率よく摂取できます。そのほか、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルにも塩分を排泄する働きがあります。マグネシウムはナッツなどに多く含まれており、カルシウムはヨーグルトやワカメなどから摂取できます。朝食にナッツをトッピングしたヨーグルトを添えるなど、工夫をしてみましょう。

そのほか、塩分はハムや練り製品などの加工品にもたくさん含まれています。どんなものにどのくらいの塩分が含まれているかについて知っておくことが大切です。

野菜や果物を不足しないように摂取するには

摂取過剰になりやすい塩分を排泄するためにも野菜や果物を積極的に摂ることは大切です。毎食、少しずつでよいので、例えば、具だくさんの味噌汁など、野菜がたっぷりととれる一品を付ける、野菜たっぷりの餃子を作るというのも野菜をたくさん食べる工夫です。季節の果物はジュースにしたり、ヨーグルトに混ぜたりしてデザート感覚で食べるのもよいでしょう。

適切な体重を維持するために

体重を維持するということは、食べたエネルギーを使い切るということです。言い古された言葉ですが、腹八分目で適切な時間に食事することが大切です。食事と食事の間の時間には軽い空腹を感じるのが理想とされています。食事管理と同時に体を動かすことも重要です。食べた分は動いて消費することを意識しましょう。有酸素運動で手軽にできるのが歩くことです。息が少し弾むくらいまで、リズム良く早足で歩くのが効果的だと言われています。軽い運動は続けることが大切なので、無理のない時間に行えるようにうまくスケジュールに組み込んでみてはいかがでしょうか。

こうした軽い運動や食事管理は、まずは主治医などに相談して、今必要な食事をしっかり摂り、運動も無理のかからないものから始めることが肝心です。

参考: