希少がんってなに?

がんの治療法や抗がん剤は日々開発が進んでいます。その結果、がんを早期に発見できれば完治の可能性もかなり高くなってきました。その背景には無数の症例を日夜研究している専門家によって、治療法や新薬の開発が飛躍的に進んだことや、がんについての情報を広く開示することで、私たち自身が日常生活の中でがんへの対策を講じ、早期発見するために検診を受けるようになったことがあります。

一方で、いまだに対策が十分でない種類のがんがあります。希少がんと呼ばれるものです。今回はこれら希少がんについて現状の対策などを見ていきます。

10万人に6人未満

そもそも希少がんとはどういったがんでしょうか。たとえば、胃がんは日本人において罹患率・死亡率のトップとされています。その胃がんは年間で見ると10万人当たり67人が罹患します。それに対して、たとえば軟部肉腫は10万人当たり4人弱、皮膚がんの一種である悪性黒色腫は1人程度というデータが出ています。

軟部肉腫や悪性黒色腫のような年間10万人当たり6人未満のがんを希少がんと言います。

希少がんの種類

発症例が少ない希少がんですが、その種類は多いのです。主な希少がんは以下のようになります。

肉腫(サイコーマ):骨の肉腫、子宮肉腫、軟部肉腫、体幹の肉腫、後腹膜の肉腫など

脳腫瘍:神経膠腫(しんけいこうしゅ)、星細胞腫、乏突起膠腫、中枢悪性リンパ腫、髄芽腫など

皮膚腫瘍:悪性黒色腫、血管肉腫、有棘細胞がん、乳房外パジェット病、メルケル細胞がんなど

眼腫瘍:涙腺がん、眼付属器リンパ腫、眼内リンパ腫、視神経腫瘍など

胸・腹部の腫瘍:神経内分泌腫瘍、副腎がんなど

その他:頭頸部のがん、原発不明ながん、聴器がんなど

これら希少がんと呼ばれるがんのひとつひとつの症例は少ないのですが、希少がん全体をあわせるとがん全体の20%近くの割合を占めています。

希少がんがはらむ問題

がんの治療は、例えば胃がんの外科的治療ならば、胃がんに対して経験を積んだ医師が全国にたくさんいます。また、多くの症例から胃がんの進行状況なども把握されてきているため、段階によって抗がん剤など最適な治療法が提供されています。

一方、希少がんについても、それぞれのがんに適した抗がん剤や治療法を選ぶことになりますが、症例が少ないため、研究が進みにくいのが現状です。また、その希少がんに対する治療経験を豊富に持った医師や専門医療機関も探しにくいことがあります。したがって、比較的早い段階で受診した場合でも、診断や治療法の決定までに時間がかかることが少なくありません。

また、がん治療において、患者の会の利用は精神の安定や治療に前向きに取り組むために重要です。しかし、希少がんにおいては患者数も少ないため、患者同士の情報交換が容易ではないという現状です。情報不足に陥りやすい状況は、患者にとっても患者家族にとっても孤立感をつのらせ、不安をかき立てる要因にもなっています。

希少がんへの対策と今後の見通し

そこで、平成26年に国立がん研究センター内に、希少がんセンターが開設され、希少がんの情報集積、治療法などの研究開発が進められています。

また、専門医の少ない希少がんにとって、早期に適切な診断を受け、最適な治療法を決定することがその後の生活の質を高く維持する要となっています。このセンターは、病院や診療科の枠を超えて最新、最適な治療を提供すべく、コア医療施設としての役割も担っています。

さらに、患者同士の情報交換の機会を増やすためにも重要な拠点です。希少がんホットラインを設け、患者自身、あるいは患者家族が疑問や不安を相談する窓口となっています。そして、セカンドオピニオンなどの希望にも対応し、より充実した治療を選択できるように手助けしてくれる施設となっています。

このように、全国の病院、多様な診療科から多くの情報を集め、さまざまな希少がんへの最適な治療と十分な情報提供ができる環境が整いつつあります。

そのがんについての詳細な情報が少なければ少ないほど、細かく対応できるチーム医療の存在が重要になってきます。手探りの段階と言われる希少がん対策ですが、医師、看護師、ソーシャルワーカーを含めて、こうしたチーム医療の機会が増えることで、より患者によりそった医療体制が整うものと期待されています。

まとめ:人任せにしない療養姿勢がカギ

完全治癒も可能となったがんですが、まだまだ研究途上のがんもたくさんあります。今回、見てきた希少がんと呼ばれるがんは、発生数が少ないゆえに研究や専門医が限られています。また、そうした状況では情報が得にくく、不安を抱きやすくなります。

こうした状況において、より自分らしいがんへの向き合い方を選択するためには、自らが前向きに情報を集め、コアとなる医療施設への問い合わせ、複数の医師への診断依頼することなどが重要になると考えられます。

病院、医師任せの治療ではなく、自ら向き合い考える治療が、希少がん対策としてはより重要になるのではないでしょうか。

参考: