がんの療養中に再確認しておこう!抗生物質について

がんの療養中は抗生物質を処方される機会が多くありますが、抗生物質は「ただの菌を殺す薬」と思っていませんか? 化学療法や手術療法後の感染予防や感染症の重症化を防ぐために抗生物質はとても大切です。今回は、抗生物質のはたらきとその特徴、服用時の注意点についてご紹介します。 

抗生物質とは

抗生物質は「抗菌薬」「抗生剤」と呼ばれることもあります。名前の通り、細菌やカビなどの感染症の原因となる生物を体内から排除する働きをもちます。厳密な「抗生物質」と「抗菌薬」の違いは、「抗生物質は、微生物が作り出した化学物質」「抗菌薬は、人工的に作られた病原微生物に対抗する化学物質」となります。現在は、抗生物質も抗菌薬として扱われています。どんな感染症にも効果があるように勘違いされやすいですが、実はどちらも、ウイルスや真菌感染症に効果はありません。

また、抗生物質ごとに効果のある菌の種類が決まっています。感染症の原因となっている菌を検査で調べてから、抗生物質による治療を開始することもありますが、一般的な感染症では検査せずに治療が開始されることも多くあります。「抗生物質を処方されたが効かなかった」というのは、その抗生物質が感染症の原因となっている菌に対して効果を示さなかっただけであり、他の種類の抗生物質に変更すると効果が得られることもあります。

また、抗生物質にも副作用があります。アレルギー反応、胃のむかつき、食欲低下、腹痛、下痢、女性では膣の真菌感染症などが副作用として知られています。

がんの療養中の抗生物質の役割

がんの療養中に処方される抗生物質の目的について見ていきましょう。

  • 手術療法の前後

手術療法の際に手術を受ける前後に抗生物質の点滴や内服が行われることがあります。これは、手術によってできた傷口から体内に感染症となる菌が入り込み感染症を起こすことを予防する目的で使われています。

  • 化学療法後

化学療法の副作用により、化学療法の終了1~2週間後に白血球数が最も低下します。その頃には、病原菌に関する抵抗力が低下しているために、感染症にかかる危険性が非常に高くなります。感染症の症状があらわれたときには、感染症の重症化を予防するために抗生物質が処方されます。

上手に抗生物質と付き合うために

がんの療養中に処方される抗生物質は、事前に処方を受け症状に応じて内服を自己管理しなければならない場合もあります。その時の注意点やポイント、抗生物質の服用時の食べ合わせ、保管方法などの注意点についてもご説明しましょう。

  • 指示通りの内服

最も重要なポイントは「抗生物質を指示通り服用すること」です。発熱などの症状がなくなった後に自己判断で服用を中止することは、感染症の適切な治療ができなくなってしまうことに加え、細菌の耐性獲得を促す危険性がありますので絶対にやめましょう。

  • 自己管理時の注意点

特に化学治療を受ける患者さんは、抗がん剤の治療後1~2週間で白血球数が最も減少し、感染症に罹りやすい状態となります。そのため、治療の終了時に自宅での療養のために抗生物質が処方される場合があります。その抗生物質の内服開始の判断方法や注意点は医師や看護師から指示があるはずですのできちんと守りましょう。発熱や寒気などの症状が見られないのに予防的に内服することも控えてください。例えば、「38度以上の発熱時に内服」の指示がある場合に、「37度8分だが寒気と咳、痰が出る」といった判断に悩むときには、迷わずに処方を受けた病院に相談するようにしてください。自己判断で経過観察することも感染症を重症化させてしまう危険性がありますので、大袈裟と思わずに相談することが大切です。

  • 抗生物質と飲みあわせ・食べあわせについて

抗生物質の種類によっては、薬の服用とともに飲んだり、食べたりしてしまうと薬の効果を低下させてしまうものがあるので注意が必要です。処方を受けた際の説明(抗生物質を内服2時間の間は薬の効果を低下させるものの摂取を避ける)を守るようにしましょう。

例)マグネシウムを含む下剤、アルミニウムなどの軽金属類を含む胃薬、鉄剤、カルシウム剤など

  • 保存方法

抗生物質は、高温多湿を避けて保存してください。また、発熱の症状などが見られたときには、すぐに内服できるようにしなければなりません。他の内服薬と間違えないようにマーカーで印をつけたり、他の目立つ容器に説明書と一緒に入れておいたりするなど、保管に一工夫しておくと必要時にスムーズに内服することができます。

まとめ

抗生物質はがんの療養中だけでなく一般的にとてもポピュラーな薬剤ですが、万能薬なわけではありません。きちんとその薬効、副作用、服用時の注意点を理解しておくことはとても大切です。「知っているから大丈夫」と処方時の薬剤師からの説明などを毎度省いていませんか? 薬の間違った取り扱いや服用方法では、薬効を十分に得ることが難しくなってしまう場合がありますので、これを機にきちんと処方を受ける抗生物質についての知識を再確認しておきましょう。

参考: