乳がんの「神話」をチェック!

「制汗剤は乳がんのリスクを高める」という話を聞いたことはありませんか? あるいは、「豊胸手術すると乳がんになりやすい」や「家系に乳がんの人がいなければ、乳がんにならない」など。乳がんにはこのような「神話」とも言えそうな話がいくつもありますが、本当のところはどうなのでしょうか? 今回は、これら乳がんの神話に焦点をあてつつ、乳がんのリスクについて考えてみましょう。

胸のしこりは乳がん?

乳がんの早期発見のためには、月に1度の自己チェックが大切だといいますが、もし、しこりに気がついたら……?

胸にしこりが見つかったからと言って、真っ青になる必要はありません。見つかったしこりの80~85%はがんではないと言われています。

逆に、しこりがなければ乳がんではないとも言い切れません。乳がんと診断される女性の約10%の人は、しこりや痛みなどの症状がないそうです。

それでは、乳がんの早期発見に最も有効なものは何でしょうか?

それは、マンモグラフィです。したがって、マンモグラフィの定期検査は欠かさないようにしましょう。しかし、マンモグラフィも万能ではありませんので、月に一度の自己チェックもあわせて行う必要があるのです。

しこりが必ずしもがんであるとは限りませんが、もし、しこりに気がついたのならば、すぐに受診してきちんと調べてもらいましょう。

制汗剤を使うと乳がんになりやすい?

制汗剤の使用と乳がんの発生リスクが示唆される報告は出ていますが、比較対象となるコントロール群がないなど、調査結果の信頼性が疑問視されているものもあり、制汗剤の使用が乳がんの発生リスクにつながると強く示せる疫学的研究はないということになっています。

2002年にアメリカのフレッドハッチンソンがんセンターで行われた疫学的調査では、813人の乳がん患者と793人の健常人を対象に調べられ、その結果、制汗剤の使用と乳がんのリスクには関係がないと報告されています。制汗剤だけでなく、デオドラントや腋の下の除毛についても乳がんのリスクとの関連は見られなかったとのことです。

したがって、制汗剤を使ったからといって、乳がんになるかもと心配をする必要はないようですね。

家系に乳がんの人がいなければ大丈夫?

遺伝性の乳がんは、乳がん全体の5~10%にすぎません。したがって、家族や親戚に乳がんの人がいないからといっても乳がんにならないとは言い切れませんので、定期検診などは欠かさないようにしましょう。

2親等以内に2人以上の乳がんと診断された人がいる場合には、リスクが高いと考えられますので気をつけましょう。がんの発症リスクにあわせた診療を行う医療機関も増えてきていますので、そのような医療機関を受診し、相談するのも良いでしょう。

ブラジャーをつけているとがんになりやすい?

ブラジャーをつけていると、ブラジャーがリンパ液の流れを邪魔するので乳がんになりやすくなるという話があります。

しかし、アメリカン・キャンサー・ソサエティの2015年9月に改訂された記事では、1500人以上の女性について調べた結果ブラジャーの使用と乳がんの発生リスクには関係が見られなかったという調査研究を紹介するとともに、両者の関連性をはっきりと否定しています。

豊胸手術すると乳がんになりやすい?

豊胸手術しても乳がんの発生リスクは上昇しないという報告はいくつもあり、豊胸手術と乳がんの発生リスクは関係がないとされています。

ただ、乳がんではなく、未分化大細胞リンパ腫という稀なリンパ腫との関連性を指摘する報告が出ているようですが、例数も少なく、そちらについてはまだはっきりしたことは言えないようです。

大切なことは、豊胸手術をしても、乳がんの検診はきちんと受けることです。シリコンバッグを入れていても、マンモグラフィで破裂することはないそうです。また、マンモグラフィ以外にも、超音波検査やMRI検査などもあります。豊胸手術をしている場合には、検診を受ける前に医療機関にその旨を伝えるようにし、豊胸手術の種類や胸の状態にあわせた検査が受けられるようにしましょう。

乳がんのリスクを10~20%下げる方法

乳がんのリスクにまつわる話をいくつか見てきましたが、最後に、誰にでもできる「乳がんの発症リスクを下げる方法」を確認しておきましょう。

それは、言わずもがなのことですが、「エクササイズ」です。どのくらいのエクササイズが必要でしょうか? 前述のアメリカン・キャンサー・ソサエティの記事では、週に85~150分の早歩きでリスクを18%下げたという調査結果を紹介しています。定期的なエクササイズでがんのリスクを10~20%も下げることができるのは、なかなかすごいことですよね。普段は週にどのくらいエクササイズをしているのか、この機会にふりかえってみませんか?


参考: