大腸がんと共に生きる

増加傾向にあると指摘される大腸がん。なぜ急激に大腸がんが増えているのでしょうか? 大腸がんの特徴や治療傾向を探りながら、大腸がんとともに生きる方法を考えてみましょう。

大腸がんってどんながん?

大腸ってどんな器官?

大腸は、食べたものが消化吸収され、最終的に処理される消化器官で、主に水分と電解質の吸収を行っています。大腸では処理される内容物がゆっくりと移動し、最終的に便となって排泄されます。

大腸はおよそ2メートルの筒状の器官で、4層からなっています。口に近い側から盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分かれています。

大腸がんの発生と浸潤

大腸は表面側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜(しょうまく)の4層でできています。がんは、最も表面の粘膜で発生し、大きくなるにつれて深く浸潤していきます。

大腸がんにおいて粘膜層や粘膜下層に留まっているものを早期がんと呼びます。この段階のがんでは、他臓器への転移は少ないとされています。そのなかでも粘膜層に留まっているものについては、ほぼ転移はないと考えられています。そのような大腸がんについては内視鏡による切除でがんを取り除ける可能性が高く、また、粘膜下層まで浸潤していても、大腸を切除する手術によって治る可能性が高いと考えられています。

一方、筋層への浸潤が確認された大腸がんは、他の臓器への転移を考える必要があるとされています。

大腸がんの治療

早期のがんであれば転移の心配がかなり少ないため、内視鏡あるいは手術によってがんの発生部位あるいは大腸の一部の切除が選択されます。

また、浸潤していたがんの場合、もちろん手術によってがんを切除することが可能であれば選択肢として手術が選ばれます。そのほか、抗がん剤を用いた化学療法や放射線療法が併用されることになります。

したがって、治療法を決めるためには、大腸がんがどれくらい浸潤しているかをできるだけ正確に把握することが必要です。そのための検査として、CTやMRIなどが用いられています。

罹患増加には食生活の変化も影響?

大腸がんの発生について、原因はわかっていません。しかし、近年に大腸がんが急激に増えた原因としては、食生活の変化が指摘されています。それについて具体的に考えてみましょう。

大腸がんの罹患率を食生活からみると、脂肪摂取が多い国ほど、その罹患率が高いという調査結果がでています。特に、便が少なくなるような低残渣食(ていざんさしょく)が大腸がん発生と深く関わっているのではないかと考えられています。なぜなら、こうした便が少なくなる食事を継続的に摂っていると、便秘を引き起こす可能性が高くなり、食事で摂取した発がん性の物質が大腸の粘膜と接する時間が長くなり、それががんの発生につながると考えられるからです。では、逆に便を促す食べ物とはなんでしょうか? それは、食物繊維を多く含むものです。食物繊維は消化液で分解されないので、便として排泄されることになります。また、食物繊維には保水性とゲル形成能という特徴があるので、便の量を増やし、便の硬さを正常に保ちます。その結果、消化物が大腸を通過する時間を短くし、排便を促します。

こうした調査結果と日本人の食生活の変化を考えあわせると、食の欧米化と食物繊維の摂取の減少が、大腸がんにおける罹患率の急激な上昇理由のひとつとして浮かび上がってくるのです。

大腸がんと共に生きるということ

大腸がんは早期に発見できれば治る可能性の高いがんだと言われています。そのために、大腸がんの検診は定期的に受けることが大切です。

また、大腸がんを発症し手術を受けた後も、定期検査は欠かせません。これは、再発のチェックのためにも、安心して自分らしい生活を送るためにも大切です。大腸がんの再発は、手術後数カ月で確認されることもあれば、何年も経ってから確認されることもあります。3年以内の再発はおよそ80%、5年以内では95%とも言われており、術後、最低でも5年間は定期的に検査の受診が必要です。

検査を受けると同時に、食生活の見直しも大切です。術後一定の期間を過ぎれば食事内容に制限はありませんが、この機会に食事内容、食べ方を見直すことは必要でしょう。

例えば、食べ方はゆっくりと良く噛んで食べるようにし、食べ過ぎにも注意を払いましょう。食事内容は便秘を誘発するような食材にかたよらないようにし、食物繊維をはじめ、いろいろな栄養素をバランス良く食べることが大切です。

さらに、食事時間や食事の間隔も工夫しましょう。食事の間には軽く空腹感を覚える程度の時間を空け、水分もきちんと摂取しましょう。深夜の間食や飲酒も控えることが大切です。自分でできる上手なつきあい方を意識してみましょう。

参考: