療養生活を送るヒント:体内時計を上手に整えて体調管理

規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動、ストレスは適度に発散する、感染症の予防。これらは、療養生活を送る際に心がけるべきものとしてよく知られています。でも、いざ実践となると、なかなか難しいのも事実です。そこで今回は、体内時計に着目し、生活のリズムを整えるという観点から、よりよい療養生活を送るヒントをご紹介します。

生活リズムを安定させる体内時計

人間の体は体内時計を持っており、あるリズムにそって規則的な働きを繰り返すようになっています。このリズムのことを概日リズム(サーカディアンリズム)と言います。

例えば、時間がくれば自然に眠くなりますし、一定の睡眠をとれば目が覚めます。こうした睡眠覚醒のサイクルも概日リズムのひとつです。このリズムが整っていることで、私たちの体は、体温維持、血圧維持、脈拍、尿の量、ホルモンの分泌などさまざまな働きを正しく行えるのです。

ところが、極度のストレスや昼夜逆転の生活を強いられた状態が続くと体内時計も狂ってしまいます。体内時計が狂うと、心身ともにさまざまな影響が出ると報告されていますが、もっとも気になるのが、「疲労回復や代謝を促す働きの衰え」です。療養生活を安定させ、治療効果を高めて有効な治療を継続させるためにも、体力を保持し免疫力を維持することはとても大切です。そのためには、体内時計を正常に保ち、毎日規則正しく体が機能するように心がける必要があります。

もし体内時計が狂ってしまった場合は、睡眠、運動、食事を見直すことで正しいリズムに戻せます。

睡眠

睡眠は、体力を回復させ、さまざまな体の機能を正常に保つために必要です。ところが、がんの療養中はよく眠れないことも多いですよね。しかし、眠れないことに神経質になると、さらに眠れない悪循環に陥ってしまいます。そこで、睡眠のメカニズムを理解して、効果的な対策を考えましょう。

まず、人間の眠気は大きく分けて2つのシステムで維持されています。ひとつは起きているときの疲労の蓄積による睡眠欲求です。これは、体力の回復と、脳を休息させるための生態反応です。

もうひとつは、体内時計に大きく関わるシステムです。朝、太陽の光を浴びると体内時計がリセットされ、体や脳を活動状態に導きます。同時に、メラトニンというホルモンの分泌が抑えられ、眠気が消えていきます。メラトニンは、自然な眠りを誘う作用を持ったホルモンで、目覚めてから14、5時間ぐらい経ったころに体内時計からの指示で分泌を始めます。

さらにメラトニンは、細胞の新陳代謝を促したり、老化を防止したりするホルモンとしても注目されています。

がんの療養中、ベッドの上での時間が長くなると、1日の変化を意識しにくいものです。ですから、まず朝起きたら、太陽の光を浴びて体内時計を正常に保つように心がけましょう。朝起きて夜眠るパターンが規則正しくなれば、体の機能も正常に働きやすくなります。

運動

体内時計をリセットし、正常に保つ要素の1つに運動も挙げられます。この場合の運動は、軽く体を動かす程度のもので、有酸素運動が良いとされています。例えば、少し早足を意識する程度の散歩は効果的です。

また、運動を行うタイミングも重要です。朝ならば、柔らかい太陽の光を浴びる時間帯に散歩をするのが良いでしょう。また、就寝の3時間ほど前に散歩すると質の良い睡眠を促します。これは、運動によって体と脳の温度が上昇し、それがクールダウンするにつれて眠気を誘う効果が期待できるからです。

がんの療養中は、どれくらいの運動が適切かを担当医師に相談しながら、体を動かすよう心がけましょう。

食事

食事において質と量は意識しますが、実は食べる時間もとても大切です。なぜなら、体内時計にあわせて、内臓なども働くようになっているからです。理想的とされる時間に規則正しく食事をとれば、体内時計が正常に機能しやすくなります。適切な食事時間は、朝食は起床してから2時間以内。夕食は、朝食から12時間以内に済ませるのが理想的だと言われています。

朝食を決まった時間にきちんととると体内時計が調整され、適度にインスリンが分泌され臓器の動きを活性化します。それにより、目覚めが促され、摂取した栄養素をエネルギーに変えて、活動を支えます。こうした規則正しい生態反応が、体調を安定させる基本になります。

がんの療養中は痛みや副作用などさまざまな要因で食事が進まない場合も多いでしょう。そのような場合は、無理をしてでも必要栄養量をとらなければと焦るより、口にできるものを少量、良いタイミングでとることに重きを置いてみましょう。もちろん、食べるものの質(栄養素)や量も大切ですが、決まった時間に、少しでも口に入れることを心がけてみてください。

まとめ

がんの療養中は、治療による副作用などもあり、体調も精神的にも不安定になってしまいがちです。このような状態では、睡眠、運動、食事などの管理がうまくいかないこともあります。これらを整えるためには、個々をバラバラに考えるのではなく、生活全体を通してどうすればよいかという視点を持つのもひとつの方法です。体調を管理するための生活リズムという視点で、1日のスケジュールを見つめ直してみてはいかがでしょうか。

参考: