膀胱がんで膀胱を摘出するとどうなるの?

体内で作られた尿をためておき、たまったら排尿するという大切な役割を担っている膀胱。その膀胱もがんになることがあります。膀胱にできる腫瘍の90%以上は、がんであると言われています。膀胱がんは、喫煙者に発生リスクが高く、女性よりも男性に多くみられることが知られています。毎年の発生率は10万人に7人前後とそれほど多くはありませんが、年々増加する傾向にあるようです。

膀胱がんの治療には、どのようなものがあるのでしょうか? 手術で膀胱を摘出する場合には、排尿はどうなるのでしょうか? 今回は、膀胱がんについてご紹介します。

膀胱がんについて

血尿は、膀胱がんの最初の症状として最も多く見られる症状です。診断には、尿検査のほか、尿細胞診、超音波検査、膀胱鏡検査、CT、MRIなどが組み合わされて行われます。

膀胱がんにも、いろいろな種類があり、大きくは下記の3つに分けられています。

表在性膀胱がん(筋層非浸潤性膀胱がん)

膀胱の内側に向かって、カリフラワーのように突き出しているように見えますが、病巣は粘膜下層までなので、転移の心配はあまりしなくて良いがんです。

治療には、内視鏡的切除術でがん病巣を取り除く方法がとられますが、これは、がんの確定診断のためにも重要な手術となります。詳しくは、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)と呼ばれ、尿道から膀胱鏡を挿入し、先端の器具でがん病巣を切除する方法です。切り出したがん組織は顕微鏡下で性質などが調べられます。

表在性膀胱がんは、TUR-BTで完全に切除することが可能ですが、多発性である場合や、再発の繰り返しがよく見られます。そのような場合には、抗がん剤やBCGの膀胱内注入療法が行われることが多いようです。

浸潤性膀胱がん(筋層浸潤性膀胱がん)

浸潤性のがんは、膀胱の粘膜下に広がり、転移しやすいことも知られています。

筋層まで広がっているので、内視鏡的切除術では完全に取り除くことはできません。転移の有無が調べられたのちに、治療計画が立てられます。膀胱全摘術が標準治療となります。抗がん剤や放射線治療が併用される場合もあります。

膀胱上皮内がん

がん細胞が、膀胱の粘膜壁に沿って存在しているタイプです。がん細胞の悪性度は高く、浸潤性がんになる可能性も高いので、要注意ながんです。

表面をはうように増殖するので、病巣の広がり具合が把握しきれないことがあります。BGCの膀胱内への注入療法が取られることが多く、治療効果も有効であるとされています。

膀胱を全摘出する場合

筋層まで広がった浸潤性のがんのほかに、表在性膀胱がんであっても再発を繰り返す場合、膀胱上皮内がんでBGCの治療効果が見られないものに、膀胱全摘術が行われることがあります。

膀胱全摘術では、膀胱と骨盤内のリンパ節の摘出が行われます。男性では前立腺及び精巣も摘出され、女性では子宮や卵巣が摘出されることもあります。がんによる泌尿器系の症状を緩和する目的では、膀胱だけを摘出する場合もあります。

尿路変向術

膀胱を摘出した際には、排尿のために尿路が再建されます。尿路変向術には、以下のようなものがあります。

回腸導管造設術

腹部の片側にストーマと呼ばれる尿の出口をつくります。ストーマの大きさは2~3cmであり、断続的に出てくる尿を袋にためておき、200~300mlたまったらトイレに流します。

古くから行われている確立された方法であり、合併症が少ないことで知られています。

ストーマ装具を装着しておく必要があり、ストーマケアを行う必要があります。ストーマ装具の交換は、週に2回くらいです。

導尿型新膀胱造設術

切り離した小腸を用いて袋を作り出し、尿の排出のための導尿管は腹壁あるいはへそにつなげられます。下腹部にはストーマの導入口がつくられます。排尿のためには、ストーマにカテーテルを入れることによって尿の排出をする、導尿と呼ばれる操作を3~5時間おきに行います。退院前に自己導尿訓練があります。

ストーマは1cmほどであり、目立つことはありません。ストーマ装具を装着する必要もありません。一定時間ごとの導尿が必要なので、就寝中も1~2回の導尿が必要です。また、小腸でできている新膀胱は腸粘液がたまるので、1~2日に1度、膀胱内を洗浄する必要があります。きちんと洗浄していても、結石ができやすい傾向があるようです。

自排尿型新膀胱造設術

小腸を縫いあわせることにより袋を作り出し、尿道につなげます。したがって、尿道も摘出した場合には、この方法を選択することはできません。また、膀胱がんが尿道に再発する可能性が高いと判断された場合にも、この方法を選択することができません。

排尿の方法は、4~5時間おきに腹圧をかけることによって行います。退院前に自排尿訓練があります。

器具を用いたり、ストーマ装具を装着する必要がなく、外見も術前と変わらない点が長所です。尿がたまりすぎるとよくないので、4~5時間に一度は排尿する必要があり、就寝中も1~2回排尿のために起きる必要があります。

尿路変向術を選択するときには

尿路変向術は、がんの状態や体力、本人の希望などを勘案しながら選択されます。

尿路変向術にはそれぞれ特徴、長所及び短所があり、排尿管理のための方法を取得する訓練も異なります。どの方法を採用するのか選ぶ際には、担当医とよく相談するようにしましょう。物品の実物を見せてもらったり、ビデオを見たりするのも具体的なイメージを掴む役に立つでしょう。また、患者会で経験談を聞くこともおすすめです。説明などもよく聞いて、十分に納得した上で選択するようにしましょう。


参考: