がんを早期に発見するために

がんの治療法は日進月歩研究が行われ、根治する可能性も大きくなってきました。とはいえ、治るかどうかは早期発見できるかどうかが重要です。その一方で、がんほど早期発見しにくい病気はないとも言われています。なぜなら、はっきりとした予兆の現れないがんが多いからです。では、がん治療の予後を左右し、治る可能性を高くする「早期発見」のためにはどうすればよいのでしょうか? 今回は、特徴的ながんを事例にあげながら、早期発見のポイントを紹介するとともに、新しいがん検査とその取り組みをご紹介します。

早期のがんとは?

がんの状態を示すとき「ステージ」という言葉が使われます。ステージは0から1、2、3、4と設定されており、4がもっとも進行した状態です。ステージは、がんがどれくらい広がっているか、リンパ節などへ転移しているかどうか、他の臓器への転移があるかどうかを組み合わせて判断されます。

では、早期のがんとは、どの程度の状態を指すのでしょうか? 実は、この判断はとても難しいと言われています。がんの大きさ(広がり)がほんの1㎝であっても、転移していないと言い切れません。広がっていても浅い部分に留まっている状態であれば、手術によって切除し、根治をめざすことが十分可能な場合もあります。つまり、一概には「早期」はどういった段階かを言い切ることができないのです。

基本的には、がんの疑いを持つ段階、あるいはステージ1であれば、ほとんどのがんで5年生存できる確率は90%とされており、根治も可能と判断されます。大切なのは「がんの疑いがある」という段階で気づき、精密検査を受けることです。

がんのサイン

予兆の出にくいがんを少しでも早く発見するためには、定期的な検査が欠かせません。そして、自分の体調を日ごろから観察しておくことも大切です。なぜなら、自分の体について調子の善し悪しがわかるのは自分だけだからです。多くの医者は、検査によって現れた数値を元に判断するしかありません。したがって、「体の調子が悪いな」と感じて受診する際には、「いつもとどのように違うのか」「この調子の悪さはどれくらい続いているのか」などの日常の正確な情報を伝えることが重要です。まずは、自分の体に感心を持ちましょう。健康日記として、簡単なメモを取っていくのもよいかもしれません。

では、いくつかのがんを事例に、「見逃してはならないサイン」を見ていきましょう。

胃がん

胃がんは進行度と比例して症状が出るとは限らないがんのひとつです。その一方で、早い段階で「調子が悪い」と症状を訴える人が多いがんでもあります。胃がんは胃壁の最も内側となる粘膜内の細胞ががん化することによって発症します。特殊なものは胃壁の中で広がり、表面には現れないがんもあります。これはスキルス胃がんと呼ばれています。

胃壁に現れ、調子が悪いと感じる症状が出ていても、胃潰瘍や胃炎と似た症状でもあるため、放置する人が多いようです。胃痛、胸焼け、便が黒いなどの症状が出たら受診しましょう。

また、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査を受けておきましょう。ピロリ菌が胃がんの要因のひとつとされています。実際には、ピロリ菌に感染していて胃がんになる人は一部とされていますが、予防として検査を受け、治療しておくことも大切です。

大腸がん

大腸がんは早期には症状がほとんど出ないがんと言われています。言い換えれば、自覚する症状が出たときにはある程度進行しているということです。主な症状には、血便、下血、下痢と便秘を繰り返す、残便感がある、おなかが張っていると感じる、腹痛などがあります。

自覚症状の出にくい大腸がんを早期に見つけるためには、定期的な検査が必要です。便潜血検査や大腸内視鏡検査など受けるようにしましょう。

また、大腸がんのリスクとして肥満、飲酒、ハムやベーコンなどの多量摂取などが指摘されているので、日ごろの食生活を見直すことも重要です。

乳がん

乳がんは30代から増加傾向にあり、50歳代がもっとも罹患率が高いとされています。乳がんの発生には多くの場合エストロゲンが作用していると言われています。したがって、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌に影響を与えるものが乳がんの発生リスクに関係があると考えられています。例えば、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、閉経後に肥満傾向にある、出産経験がない、授乳歴がない、家族に乳がんに罹患した人がいるなどの場合は、積極的に乳がん検査を受けるようにしましょう。

自覚できる症状としては、触診するとしこりを感じる、乳房にえくぼ状の皮膚のひきつれが確認できるなどがあります。鏡の前に立ち、日ごろから乳房を観察したり、触診したりして小さな変化を見逃さないことが大切です。

極めて早期のがんを発見するマイクロアレイ血液検査

がん細胞が作り出すタンパク質を測定してがんを発見する方法に、腫瘍マーカーといった血液を使った検査があります。がんであるかを診断するときの補助的なものとして、また、治療後の経過を見るために利用されています。

腫瘍マーカー検査と同様に、血液からがんを検査するものに「マイクロアレイ血液検査」があります。これはがんが体内に発生したときに起こる体の反応を、遺伝子レベルで測定する最新の検査です。まず、血液を採取し、そこから遺伝物質を抽出します。取り出した遺伝物質を解析して、がんの有無を判定するというものです。

マイクロアレイ血液検査は特に消化器がんの発見に効果があり、自覚症状が出にくく、早期発見が難しいとされてきた大腸がん、膵臓がんの早期発見にも期待が持てるようになりました。また、一度の採血で胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆道がんが同時に検査できるので、心身への負担は軽減されます。

ただし、マイクロアレイ血液検査は現状では自由診療です。全国に検査可能な医療機関が増えてきていますので、お近くの病院で確認してみてください。費用も10万円前後が多いようですが、医療機関によって異なりますので確認してください。

参考: