きのこの力を借りて免疫力アップ

きのこは中国の漢方薬をはじめ、ヨーロッパでも古くから薬用として用いられていたことが歴史的な書籍からも知られています。では、きのこのどこにそのような力があるのかご存知でしょうか? それは、β-グルカンという成分に秘密があります。今回はきのこに豊富に含まれるβ-グルカンのはたらきを中心に、身近なきのこやおすすめの調理法についてもご紹介します。

きのこに含まれる成分

きのこは、低カロリーで食物繊維が豊富、多種類のミネラルやビタミン、葉酸などが含まれていることが一般的によく知られていますね。これらのきのこに含まれる栄養素のなかでも、ぜひおさえておきたいのが「β-グルカン」です。

「β-グルカン」には非常にすぐれた薬効があり、他の多糖類をはるかに超えた高い免疫活性化効果を示します。

「β-グルカン」が免疫力をアップさせる

「β-グルカン」は抗がん活性の効果をもつことが報告されており、「β-グルカン」を利用して体に備わった免疫力を高め、がんを抑える免疫療法が現在おおいに注目されています。

摂取したβ-グルカンは、免疫機能を担うマクロファージやリンパ球を刺激。それによって活性化されたマクロファージやNK細胞などの免疫細胞は、がん抗原非特異的な免疫力を高めます。また、リンパ球からのサイトカインの分泌が促され、がん抗原特異的な免疫力も高めるのです。

免疫療法が与える効果

進行がんに対してβ-グルカンを用いた免疫療法だけを行う治療は疑問視されていますが、その一方でβ-グルカンががん治療の効果を高め再発予防に有効であることは多くの研究で報告されています。

例えば、「抗がん剤(マイトマイシンCとフルオロウラシル)のみ」を投与した場合と、カワラタケ由来の「クレスチン(蛋白多糖製剤)+抗がん剤」を投与した場合の、手術後のがんの生存率を比べた臨床試験。5年生存率の比較では、抗がん剤のみでは60%であったのに対し、クレスチンを併用した場合では73%に向上したとの結果が出ています。

また、β-グルカンを経口摂取した動物実験では、免疫増強作用やがん予防効果がみられることが報告されています。なお、β-グルカンは、消化管では吸収されにくい構造であるため、免疫増強作用は腸管免疫のはたらきによるものと考えられています。

身近なきのこで免疫力アップ

それではβ-グルカンの含有量の多い身近なきのこと、その特徴をみていきましょう。

  • ハナビラタケ

β-グルカンの含有量は、100g中43gといわれています。白いぼたんの花のような形をしており、夏から秋にかけて旬を迎えます。味は食用きのこのなかでも一級品といわれています。

  • マイタケ

マイタケのβ-グルカンは、95%が糖質、5%が蛋白質でできています。がん治療においては、化学療法による副作用を軽減するはたらきが報告されています。

  • メシマコブ

桑の木に生えるきのこで、漢方薬としても古くから親しまれてきました。1960年代に国立がんセンターが行った「がん増殖抑制阻止テスト」では、96.7%という結果が報告されています。

  • タモギタケ

東北地方や北海道において梅雨期から晩夏にかけて旬を迎えるシメジ科のきのこです。β-グルカンの含有量は100g中20.3gといわれています。

おすすめの調理方法

きのこと相性のよい食材の組み合わせ方や、より効果的な調理方法についても少しご紹介しましょう。

  • きのこと昆布の佃煮

きのこには不溶性食物繊維、昆布には水溶性食物繊維が含まれています。この異なる2種類の食物繊維を一緒にとることで便秘を改善して腸内環境を整え、免疫力アップにもつながります。

季節ごとに旬のきのこを取り入れていくことで、さまざまなバリエーションを楽しむことができます。

  • きのこの和風パスタ

β-グルカンはオーツ麦や大麦にも含まれているので、それらを原材料としているパスタを使用することがポイントです。きのこと一緒に効率よくβ-グルカンを摂取することができます。

作り方はごく簡単。手軽に購入できる旬のきのこを炒めたあとに、だしや醤油で味を調えます。コクを出したいときは、バターを少量加えてみてください。

まとめ

きのこは日本でも昔から親しまれてきた食材であり、スーパーでも1年を通じて新鮮なものを手に入れることができます。季節ごとに旬のものをうまく取り入れていくとよいでしょう。

免疫力をアップさせるためには一度にたくさんのきのこを食べるのではなく、他の食材とのバランスも考慮しながら少しずつ継続していくことが大切です。サプリメントもありますが、それはあくまで補助的なもの。毎日の食事を通じて、免疫力を維持・向上していきましょう。

参考: