再確認しよう!がんの療養中の防災対策

災害はできれば避けたいものですが、こればかりはいつ、どこで、なにが起こるかわかりません。そのため、がんの療養中であっても「もしも」のために備えることは必須です。今回は、がんの療養中に被災した際に、非常時の持ち出し物品に加えておくと便利な物や薬についてご紹介します。

がんの療養中に自宅でできる防災対策

がんの療養は、抗がん剤治療、放射線治療、医療用麻薬の服用、酸素療法、電動ポンプの使用など人によってさまざまです。ここでは、治療方法、鎮痛薬、医療機器・資材に分けて、防災対策方法の例をご紹介します。

  • 継続が必要な治療を受けている場合

自分の治療についての最新の情報を常に身につけて持ち運ぶようにしましょう。

抗がん剤治療:①抗がん剤の名前②前回の治療日③最新の血液検査結果の記録があると、治療についての助言をスムーズに受けることができます。記録するものは、お薬手帳を活用してもよいですし、携帯電話がある場合には、写真やメモの機能に記録しておくと便利です。

その他の治療:①病名②受けている治療③内服している薬、アレルギーのある薬について記録しましょう。

「冑がん、肺がん、大腸がんなど多くのがん」の場合は、治療が計画よりも1~2週間程遅れてしまった場合でも病状が進行することはないそうです。そのため、まずは落ち着いて、自分や家族の身の安全を守ることに集中しましょう。「血液に関係した腫瘍や胚細胞腫瘍、その他の特殊な腫瘍」の場合には治療の継続が必要となりますので、災害時の対応について主治医に確認しておきましょう。

  • 医療用麻薬を服用している場合

服用している薬の名前と量について記録しておきましょう。災害時に対応する医療機関も持ち合わせている場合が多い薬ですが、手に入らない場合でも他の対応策がありますので、医療スタッフに記録内容を見せ、できるだけ早めに相談しましょう。

  • 医療機器・資材を利用している場合

酸素療法:酸素濃縮器の仕組みを理解しておきましょう。内臓バッテリーの有無とその持続時間、予備の携帯用酸素ボンベの量(使用可能時間)と取り扱い方法も確認しておきます。酸素濃縮器やボンベが、地震の際に転倒、転落してけがをしないように、きちんと固定しておきましょう。効率よく換気するための口すぼめ呼吸などについても練習しておくと安心です。酸素提供会社にも緊急時の対応について相談しておきましょう。

電動ポンプなど:使用している薬剤とポンプの設定について記録しておきます。停電になった場合に内臓電池や他の電池などに切り替わった際の稼働持続時間、予備の電池について確認しておきましょう。万が一ポンプを使用できなくなった場合の対応については主治医に相談しておきましょう。

がんの療養中に備えるべき非常時持ち出し物品

がんの療養中は、体の状態や副作用などによって特別な配慮が必要になります。被災した場合でも、できる限り心身の負担を減らすためのポイントがあります。

食事・水分:症状や治療の副作用の影響で食欲が低下しているときは、「これなら食べられる」というものの中から保存期間の長いものを備えておきましょう。例えば、飲むゼリー、スポーツ飲料水など。抗がん剤治療などを受けている場合には、脱水を起こすと全身に悪影響を及ぼしますので、水分補給が十分にできるように多めに水を備蓄しておいてください。

医薬品:主治医に相談し、必要な薬は予備量の処方を受けておきましょう。ストマなどに必要な資材も少し余裕をもって準備してください。資材だけでなくゲージ、油性ペン、はさみなどの必要道具も忘れないようにしましょう。小さな手鏡も備えておくと体の状態を確認するときに役立ちます。

感染予防対策:被災した日よりも2週間ほど前に抗がん剤の点滴治療を受けた人は、副作用で白血球が低下しはじめますので感染症に注意が必要になります。そのため、感染予防対策に必要なマスク、使い捨て手袋、手指消毒剤、うがい薬、ウェットティッシュなどの準備もしておきましょう。

食事・水分、医薬品などは消費期限、使用期限があります。月に1度は非常持ち出し物品を点検するようにしてください。

がんの療養中に被災した場合

がんの療養中に被災した場合には「予定通りの治療の継続ができない」「主治医と連絡がとれない」「薬の処方はどうしたら」など、不安は大きいはずです。しかし、きちんと備えがあれば継続した治療も可能ですので、パニックになる必要はありません。災害支援に関わる医療スタッフは、あらゆる状況の患者さんを設定して日々訓練を行っています。そのため、大切なことは自分の病気とその状況、治療についてきちんと理解を深め、正確な情報を伝えられるように準備することです。ポイントを得た正確な情報を伝えることは、必要な治療や支援をよりスムーズに受けることにつながります。

まとめ

災害は避けたいものですが、こればかりはどうしようもありません。きちんと防災対策をとっておくと安心して療養生活を送れます。もしものときについて、事前に主治医と薬や治療について相談しておくことは大げさなことではありません。治療方針や服用薬の変更時などの節目ごとに防災対策について話し合うことをおすすめします。また、被災した際に「自分だけ処理作業をしないのは申し訳ない」と感じる人もいるかもしれませんが、厳しい療養環境の中で体調を維持していくためには、がんの治療中であることをまわりの人にきちんと伝えるようにしましょう。その際に、控えるべき作業や動作があることも忘れずに説明してください。伝えづらいと思う人は「主治医からの指示です」と一言つけ加えるとよいでしょう。

皆さんも、できることから防災対策をはじめてみてください。

参考: