がんの療養中もウォーキングしてみよう!

がんの療養中は、症状や治療による副作用のため、日常生活の必要動作以外は体を動かすことが難しい日もあるでしょう。体調が優れないときには運動を控えることも必要ですが、主治医からの運動の許可を得たのであれば、適度な運動を取り入れていきたいものです。運動しないと、全身の筋肉量や抵抗力を低下させてしまい、さらにはADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)などにまで悪影響を与えてしまう可能性があります。

短時間でも体が楽になる時間帯を見つけ、筋力の低下を防止していくことが必要です。今回は全身運動の中でも手軽に挑戦することのできるウォーキングについて、がん治療中にどのように取り入れていけばよいかをご紹介します。

ウォーキングの効果

ウォーキングは「歩行」の意味ですが、もっと身近に感じたい方は「散歩」と置きかえてみてください。歩くことは非常にシンプルな動きに見えますが、実は全身の神経と筋肉を総動員させ、その動きを調和させることで成り立つ立派な運動なのです。シンプルな動きだけに「運動」とはイメージされにくいウォーキングですが、一人ひとりの体調や体力に合わせて無理なく取り組むことができる運動です。

ウォーキングの一般的な効果として、自然な呼吸の中で全身の筋肉を動かすことにより血液やリンパの流れを促し、体に蓄積された脂肪を燃焼するだけでなく、糖耐性を整えるなど、さまざまなものが知られています。さらには、うつ病や認知症の予防、骨粗しょう症、全身の筋力低下、動脈硬化、メタボリックシンドロームの予防、不眠の解消などの効果も報告されています。

一方、がんの療養中の人への適度な運動による効果は明確ではないようです。しかし、適度な運動を継続することは、体の代謝を促すほか、ストレスの軽減、免疫機能を高めることにつながるため、QOLを向上させることができると考えられています。

ウォーキングにチャレンジしてみよう!

では、具体的に療養生活の中にウォーキングをどのように取り入れていけばよいのか見ていきましょう。

ウォーキングには決まった形はありませんが、「無理をしない」ことを意識してください。がんの症状や副作用によって長期間安静をとっていた人は、急に歩きはじめるのではなく、ベッドや椅子に体を起こして座ることから始めてください。急に「歩くくらいできる」と思って立ち上がると、めまいやふらつきなどで転倒してしまう危険性があります。ある程度の間、きちんと座れるようになった後は、座ったまま行うことのできるラジオ体操や足踏みなどで、関節や筋肉をほぐし、スムーズに歩くことができるように準備しましょう。

もし、痛みや吐き気などの症状がある場合には、ウォーキングやその準備運動を行いたいと思う時間の30分から1時間ほど前に痛み止めや吐き気止めを使用してください。薬が効きはじめ、落ち着いて体を動かすことができるようになってから行うようにしましょう。痛みや吐き気などの症状があると、心身への負担や転倒の危険性も増し、気分転換にもなりませんので、運動は避けてください。

歩く場所ですが、「筋力を戻したいから」などと急に体に負担の大きい階段などで行うのではなく、平らな室内から始めましょう。病院のような屋内で行う場合には、他の人とぶつかる事故を防ぐために見通しが良く、人通りの少ない場所を選び、施設の看護師などに許可を得てからウォーキングするようにしてください。自宅療養中の場合には、気分が悪くなった際にすぐ帰宅できるように、自宅付近の安全な歩道の散歩から始めることをおすすめします。

ウォーキングの方法と注意点

ウォーキングを始める前に注意点を確認しましょう。1つ目は、主治医に相談して許可を得てから開始することです。がんの症状や治療の副作用の影響で安静を保ち、無理をせずに体力をできる限り温存しておいた方がよい時期や運動が関節などに負担をかけてしまう場合もあるためです。安心してウォーキングに取り組んでいくためにも、きちんと主治医に相談し、ウォーキングの可否や距離や歩数など運動量の目安についても確認してください。

  • 基本的なウォーキングの方法

姿勢:目線を10~15m先におき、あごを引くことで自然と背筋をのばすことができます。その姿勢を保ちながら歩くことを意識しましょう。

足の動き:1本の直線の上を歩くように足を出す。そうすることで足や腰のいろいろな筋肉を効果的に動かすことができます。すり足で歩くのではなく、つま先で地面をけり出すように足首をしっかりと動かし、膝もしっかりとのばしてください。

腕の動き:力を抜き、肘を90度ほどに曲げて体に平行に自然に動かしましょう。腕の動きで歩幅や速度なども変わってきます。

転倒予防のために足に合った運動靴を履くことを忘れないようにしましょう。何か目に見えるものがあるとやりがいにもつながりますので、歩数計(万歩計)なども活用してみてください。

まとめ

「療養中=絶対安静」というわけではありません。主治医からの指示の範囲で運動を行うことは可能です。ウォーキングにもいろいろな種類がありますので、チャレンジしてみたいものや特別な希望がある場合にはその旨を専門職に相談してみましょう。希望に応じた取り組み方についてよいアドバイスを受けられるはずです。いろいろな情報を得ながら、みなさんも手軽に取り組めるウォーキングを楽しみ、気分転換をしながら筋力や抵抗力の低下を予防していきましょう。

参考: