がん治療を継続するために知っておきたいお金の話:障害年金を考える

がん治療や療養生活が長引くと、治療費がかさみ、生活も苦しくなる可能性があります。実際、経済的な理由で治療の継続をあきらめることもあるようです。

高額医療費制度を利用しても費用の工面が難しい、今後の生活が不安だという場合には、障害年金を取得できるかどうか検討することもひとつの方法です。今回は、障害年金受給条件などを確認していきましょう。

障害年金って何?

障害年金は公的な年金のひとつです。病気やケガなどを理由として、日常生活に支障が出たり、今までと同じように働くことが難しくなったりした場合、一定の条件はありますが、給付を受けることができる国民の権利です。

一般的には、視覚障害、聴覚障害、手足の不自由が起こった場合に受給できると考えがちですが、高血圧、糖尿病のほか、がんによって生じる障害も対象になります。

障害年金の種類

国民はだれもが公的年金に加入することになっており、自分が加入している公的年金の種類によって障害年金の種類も異なります。自分が受けられる障害年金の種類は、障害の原因となった病気で初めて病院を受診した日に、どの年金制度に加入していたかによって決まります。

障害基礎年金:自営業者や主婦、学生など、国民年金に加入している場合

障害厚生年金:民間の企業に勤め、給与受給者(サラリーマン)など厚生年金に加入している場合

障害共済年金:公務員や私立学校教職員など、共済年金に加入している場合

申請方法

本人または家族が障害年金の支給申請を行う必要があります。その手続きについては、細かな条件もありますので、詳しくは日本年金機構の「ねんきんダイヤル」や年金相談センターに相談するとよいでしょう。

申請に必要な書類:診断書、病歴・就労状況等申立書、受診状況等証明書、年金裁定請求書、年金手帳、被保険者証のほか、戸籍謄本、世帯全員の住民票など。配偶者や子どもの有無によってもそろえる書類が異なります。

不足がある場合は申請が受理されませんので、事前に相談窓口や提出窓口に問い合わせるようにしましょう。

申請書類がそろったら、障害基礎年金は市区町村役場か年金事務所に提出し、請求手続きを行います。障害厚生年金は年金事務所に提出することになります。障害共済年金は共済組合が窓口となっています。

身体機能の状態と障害等級

障害年金が指している障害というのは、障害の原因となる病気などで病院を受診した最初の日から、1年6カ月経過した時点で、体の状態がどうであるかを判断したものです。体の機能が日常生活を送るために著しく制限を受ける状態であるのか、あるいは、働くために制限を受けるものかどうかが基準になります。

ただし、がんの場合は人口肛門造設などなら装着日、胃ろうなどの恒久的措置を行った場合は原則として6カ月経過日以降など、1年6カ月以内であっても申請することができるものもあります。

障害等級には1級から3級まであります。がんによる障害認定のおよその目安は以下の通りです。

  • 障害1級:ベッドまわりでの生活、行動に限られている。介護を受けなければ日常生活ができない状態
  • 障害2級:日常生活にかなり制限を受けており、他の人の介助なしには外出ができない状態
  • 障害3級:仕事はできるが軽作業程度に限られており、健常時の50%程度と判断される状態

障害年金の支給額

障害年金の支給額は等級によって異なります。

「障害基礎年金」の場合は、障害等級1級、2級に対して支給されます。その額は、1級がおよそ99万円。2級が79万円です。

また扶養家族として子どもが何人いるかによっても支給額は異なります。

「障害厚生年金」「障害共済年金」の場合は、標準報酬月額および被保険者であった期間によっても異なりますので、加入先に問い合わせが必要です。

障害等級の3級まで支給を受けることができ、支給額は障害1級が報酬比例の年金額×1.25、2級が報酬比例の年金額、3級が報酬比例の年金額(最低保障額が59万円程度)です。

また、厚生年金、共済年金加入者は、国民年金の被保険者でもあるため、障害等級が1級・2級なら「障害基礎年金」もあわせて支給されることになります。

障害認定を受けるためのポイント

障害年金を受給できるかどうかは、障害等級が認められなければなりません。

がんにおける障害年金申請は、他の病気や傷害によるものと異なり、見た目ではわかりにくい障害もあります。例えば、治療の副作用による倦怠感や貧血、嘔吐、体重減少などは、外見では判断できない障害と言えます。しかし、こうした症状は日常生活や仕事を継続的に行うにあたり大きな障害となるので、申請時の書類では、第3者にはわかりにくい内部障害をいかに伝えるかが障害認定を受けるポイントになります。

「病歴、就労状況申立書」への記入に際しては、具体的にがん治療を開始する前と開始後ではどのように変わったかを明記しましょう。また、身体的変化や副作用の発症などによってどの作業がどのように不自由となったかなどについても具体的に表現するようにしましょう。

例えば、日々の様子を伝えるために次のような項目をまとめてみましょう。

  1. 日常生活で不便なこと(例:ペットボトルの蓋が開けられない、ドアノブが回せないなど具体的に)
  2. 食事の変化(例:以前は1日3食であったが、一度に食べられなくなったので、1日5食を少量ずつ摂取している)
  3. 職場での変化(例:20分作業をして40分休む必要があるため、3分の1程度しか作業が進まなくなった。ものがうまくつかめないので、ミスが増えた)
  4. 出勤日数、勤務時間の変化
  5. 給料の変化

「病歴、就労状況申立書」は主治医が記入する診断書では表現できない、本人が具体的に不自由になったと感じ、生活に支障をきたしていることを明らかにするためのものであることを意識しましょう。また、担当医が記入する診断書との整合性がとれていることも肝心なので、担当医と相談しながら表現を検討するとよいでしょう。

その他、病院の相談室や相談担当者にも協力を仰ぎ、申請書類を記入しましょう。

参考: