がん療養中の豆知識 「殺菌」について理解しよう!

がんの療養中や治療中は、治療や検査を順調に進めるためにも感染予防を心得ておきたいものです。治療や処置などを行う際には必ず感染予防のために「消毒します」と声をかけられますが、「消毒と殺菌は同じ?」などのような疑問を抱いたことはありませんか? 今回は、感染予防対策のひとつとしてぜひ理解していただきたい「殺菌」についてご紹介します。

「殺菌」とは

はじめに、「殺菌」についてきちんとおさえておきましょう。

  • 殺菌

「殺菌」は、「対象に存在する菌を殺すこと」であり、「殺す菌の種類と程度には限りがない」ことを言います。簡単に言い換えますと、どんな菌が対象であるかの基準はありません。ですので、たとえ存在する菌の20%ほどしか殺すことができず、80%の菌が変わりなく存在していても殺菌という行為が実践されたことになります。殺菌の程度の基準がないため、その効果の保証もありません。「殺菌したから感染は大丈夫」と考えることは危険ですので注意が必要です。

療養生活の中での「殺菌」

療養生活の中で身近な「殺菌」処理が行われているものをご紹介しましょう。

「殺菌」方法のひとつとして紫外線照射があります。これは、短時間で対象物の表面を殺菌処理できるため、医療機関の医療器具や衣類、入浴施設のスリッパや櫛の消毒に使われています。布団を日に干すのもこれに含まれます。他には、空気清浄器、浄水器、掃除機などにも活用されています。

「消毒」もあわせて確認しておこう!

「殺菌」は先に述べたようにその効果の程度についての基準はないので、医療現場では「殺菌」の技術よりも「消毒」や「滅菌」の技術が多く用いられています。そこで、「消毒」についても見てみましょう。

消毒は、人体に害のない程度まで病原性のある菌や微生物を減らすことです。どの程度菌を減らすかによって低水準消毒、中水準消毒、高水準消毒に分けられますが、家庭で行われる消毒は低水準にあたります。

療養生活の中で消毒したい場合には、医療用の消毒薬をわざわざ購入しなくても、ドラッグストアで購入可能な赤ちゃんの哺乳瓶の消毒に用いられる消毒剤でも十分に消毒することができます。この消毒剤には、1%次亜塩素酸ナトリウムが含まれており、医療施設でも医療器具の消毒などにも用いられているものです。もし、家族が感染症などにかかり、家の中の清拭や吐物、排せつ物の消毒を行いたい場合には、この消毒剤で消毒できます。説明書きにある方法で目的ごとに希釈して使用しましょう。 殺菌だけでは不安に感じるときは、このような消毒方法で消毒してみてください。

「殺菌」のポイントと注意点

「殺菌」についての注意点の1つ目は、「殺菌効果○○%」と表示した商品も中にはありますが、それを鵜呑みにしてはいけないということです。また、殺菌効果をうたった商品は、すべての家庭製品に対して効果があるわけではありません。商品の表記に必ず殺菌の対象や使用条件、方法の記載がありますので使用前に確認しておくことが大切です。

2つ目は、より確実に感染予防の効果を得たい場合には、「殺菌」ではなく「消毒」をすることです。

殺菌と消毒について、手を洗うことを例に考えてみましょう。家庭内での生活の際の手洗いは、殺菌効果をもつハンドソープで十分でしょう。しかし、感染症が流行しているとき、医療機関を受診して感染者との接触が考えられる場合の帰宅後の手洗いは、殺菌効果をもつ商品の使用に加えて消毒効果をもつ手指用消毒剤などを使用することが望ましいでしょう。このように目的や状況に応じて使い分けていくことが大切です。

また、消毒は菌を殺すことができても汚れを落とすことはできません。手指消毒剤を用いれば、完全に清潔になる印象が強いですが、それは誤りです。殺菌や消毒する場合には、準備の段階としてきちんと汚れを取り除きましょう。

ただし、菌が気になるからと言って、あらゆる生活の中で消毒を徹底する必要はありません。人の体には健康な状態を保つために共存が必要な菌もあります。そのため、あまり消毒を徹底し続けると、菌との共存のバランスを崩し、かえって体調を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。

まとめ

「殺菌」は、漢字の意味からは完全に菌を取り除くことができそうな印象ですが、実際は異なります。他のよく似た言葉である抗菌、滅菌、除菌、消毒の意味もきちんと理解し、目的や必要性に応じた感染予防の対策をとりましょう。

また、あまりにも身の回りの菌を取り除いてしまうと、体に備わった抵抗力を低下させてしまう原因にもなるので注意が必要です。また、バランスの良い食事、適度な運動、十分な休養をとることも大切な感染予防対策であることを忘れないようにしましょう。

参考: