在宅医療で心配なこと「在宅医療にかかるお金」

在宅医療を選択した場合、どのくらい費用がかかるのだろうか? 在宅医療を選択して、やっていけるのだろうか? これらは、自宅での治療を希望する際には誰しもが抱く疑問でしょう。医療機関への医療費、薬剤費などの薬局への支払いが在宅医療にかかる費用として大きなものとなります。今回は、医療費を中心に見ていきましょう。

医療費にはどんなものが含まれる?

在宅でかかる医療費を大きく分けると、以下のようになります。

  • 在宅診療の基本的な料金

在宅時医学総合管理料と呼ばれる費用が、24時間体制で月に2回以上の訪問診療を受ける場合には必ずかかります。一般の診療所であるのか、在宅療養支援診療所であるのか、機能強化型在宅療養支援診療所・病院であるのかなど、医療機関によって費用が異なります。1割負担で月あたり4,000~5,000円、3割負担で12,000~15,000円くらいでしょう。

月に何回と決めた計画的な訪問診療には、1回ごとに1割負担で830円くらい、3割負担で2,490円くらいの訪問診療料がかかります。厚生労働省の平成24年度の調査によれば、訪問診療は月に2、3回が最も多かったとのことです。医療機関によって、訪問時の交通費を負担しないといけない場合もあります。

  • 臨時の往診や、電話相談など

臨時に往診を頼んだ場合には、臨時往診料がかかり、往診を頼んだ時間帯によっては、夜間往診、深夜往診、休日往診など往診料が加算されます。往診料は医療機関によって異なります。

また、電話で医師に対応してもらった際には電話再診料、医師の助言をもらって他の介護サービスなどの機関と連携をとってもらった際には居宅療養管理指導などがかかることもあります。

  • 医療処置、検査にかかる費用、医療機器の管理料など

採血、尿検査、超音波検査、レントゲン検査などのいろいろな検査のほか、注射や点滴などのさまざまな処置にも、1割負担で数百円から数千円の料金が発生します。

また、中心静脈栄養、気管切開、人工呼吸、在宅酸素などの医療処置を受けている場合には、各種療養指導管理料がかかります。その他、在宅療養指導管理料には、退院前在宅指導、在宅自己注射指導、在宅自己導尿指導、在宅自己疼痛管理指導、在宅悪性腫瘍患者指導、在宅寝たきり患者処置指導などもあります。1割負担で数百円から数万円になるでしょう。

指導管理に必要な脱脂綿やガーゼといった衛生材料、酸素、カテーテルなどの多くは指導管理料金に含まれていますが、中心静脈栄養法やがんの鎮痛療法、化学療法で用いられる注入ポンプ、排痰補助装置などは、在宅療養指導管理材料加算として別に加算されることがあります。

  • その他、訪問看護指示料など

訪問看護の指示書を医師に交付してもらった際には、1割負担で300円程度の訪問看護指示料がかかります。

見過ごせない薬剤費

がんの在宅療養では、モルヒネなどの医療用麻薬を使用することがあります。これらの薬価は高いため、薬剤費の負担も大きくなります。例えば、60歳の大腸がん末期の在宅療養において、オピオイド製剤(モルヒネ硫酸塩、モルヒネ塩酸塩、コデインなど)の医療用麻薬に3割負担で月に約12,000円かかったという例があります。

実際に負担する金額は?

前述の大腸がん末期の在宅療養している60歳の患者さんは医療費だけで1か月に約57,000(3割負担)に上り、それに、薬剤費や訪問看護ステーションへの支払い分を加えると、かなりの高額になりました。

このように医療費が高額になる場合、高額療養費制度を利用することができます。医療費および薬剤費など薬局での支払額が自己負担限度額を超えると、超えた分が払い戻される制度です。

自己負担限度額は年齢や所得によって異なります。例えば、70歳以上の場合では、外来のみの個人単位で、一般には12,000円、低所得者で8,000円、一定以上の所得がある場合には44,400円が自己負担限度額となっています。70歳未満では、総所得金額が210,000円を超えて600,000円以下の場合の自己負担限度額は、医療費の総額から267,000円を引いたものの1パーセントを80,100円に足した額になります。総所得金額が600,000円を超えて901,000円以下の場合では、医療費の総額から558,000円を引いたものの1パーセントを167,400円に足した額になります。総所得金額が901,000円を超える場合には、医療費の総額から842,000円を引いたものの1パーセントを252,600円に足した額になります。また、1年以内に3回以上の高額療養費の支給を受けると、4回目以降はさらに自己負担分が減額される場合もあります。例に取り上げた大腸がんの患者さんの場合でも、3回以上自己負担の上限を超えたため、自己負担限度額は44,400円となり、それを超えた分は後で返ってきました。

したがって、実際にどのくらいの出費になるかについては、自己負担限度額にもよるということになりますので、それがいくらであるかについてお住まいの市区町村の窓口で確認する必要があります。

詳細は医療機関に相談しよう

保険制度も複雑であり、また、かかる費用も医療機関による違いもあることから、実際の在宅医療費の見積もりは、訪問診療をお願いする医療機関に直接問い合わせる必要があります。また、高額療養費制度を利用する場合の自己負担限度額も確認しておく必要があるでしょう。高額療養費はもちろんのこと、介護保険、生活福祉資金貸付制度などの利用についても、訪問診療を行っている医療機関やソーシャルワーカーがきちんと相談に乗ってくれますので、在宅医療を考える際には遠慮せずに相談しましょう。


参考: