がんを早期に発見するために:PET検査について

今や日本で2人に1人が発症する可能性があると言われるがん。がんを完治させるためにはできる限り早期に発見し、治療を開始することが重要とされています。また、手術などの治療後に再発した場合にも、いち早く発見することが、がん治療の効果を左右するとも言われています。

今回は、がんを早期に発見するための検査のなかで、1cm以下の小さながんも発見できるとして注目されているPET検査について見ていきましょう。

PET検査とは?

PET検査というのは、Positron Emission Tomography(陽電子放射断層撮影法)を用いた検査のことで、苦痛をほとんど感じない検査方法でありながら、全身を一度の検査で調べられることや、1cm以下の小さながんも発見できることから、近年注目されています。

がん細胞は、正常細胞と比較すると、3~8倍の量のブドウ糖を利用しています。つまり、がん細胞が存在しているところには、ブドウ糖がより多く集まっているということになります。そうしたがん細胞の特徴を利用してがん細胞の有無を調べるのがPET検査です。

検査方法は、最初に、ブドウ糖によく似たFDGと呼ばれる糖に放射性同位体を結合させた薬剤を投与します。そして、その薬剤が体のどこに集中して取り込まれているのかを撮影して調べることでがんの位置を特定します。

異常を起こしている部位の形からがんの病巣を見つけるCTやMRIなどの検査に対して、PET検査は見た目では特定できないような小さながんも見つけられると期待されています。

PET検査の流れ

それでは、実際にPET検査の流れを見てみましょう。

1. 医療機関にPET検査を予約する。

 PET検査に使用する薬剤の準備や受け入れのための準備が必要なので、事前に予約したうえでの受診となります。

2. 検査1週間前までに問診票や検査の同意書、注意事項などが送付されます。

 検査の性質上、利用できない人もいますので、注意事項などには目を通しておきましょう。

3. 検査の5時間以上前から絶食が始まります。

 これは、放射線同位体を結合させたFDG(ブドウ糖によく似た糖)の薬剤が糖を利用している器官にしっかりと吸収されるようにするためです。もし、食事をしてすぐに検査すると、体内に取りこまれているブドウ糖の値が高くなり、がんの有無が確認しにくくなります。

4. FDGを注射します。

 点滴のように、静脈に注射する場合が多いようですが、口から吸引する場合もあります。

5. FDGが全身に行きわたり吸収されるまで、安静にします。

 およそ30分から1時間程度安静にします。

6. PETの撮影

 検査台に仰向けになり、全身を撮影します。

7. その他に受ける検査

 より正確に診断するため、CTやMRIなど、同時に別の検査が併用される場合もあります。

8. 検査終了

 基本的には検査が終了するとその日のうちに帰宅することになります。検査結果は後日送付される場合と、診察を受けた医療機関で説明を受ける場合があります。

以上がPET検査の大まかな流れです。

受診する医療機関によって検査の流れに多少違いはありますが、基本的には検査当日のうちに帰宅でき、負担が少ない検査だといえるでしょう。

健康診断としてPET検査を受ける場合は、自由診療となるため、病院施設ごとに費用を設定できるとされていますが、全身を調べる検査1回で10万円程度の場合が多いようです。

PET検査の強みと弱点

PET検査にも、強みと弱点があります。

まず、大きな強みとしてあげられるのは、比較的小さな早期のがんが発見できるということです。また、がんは良性か悪性かによって、あるいは進行具合によって糖の吸収率が異なります。そのため、PET検査でがんを発見するだけでなく、良性か悪性かの判断やがんの進行度を推測することも可能です。

さらに、一度の検査で全身を調べることができるため、がんの転移を調べることにも有用だといえます。

では、弱点としてはどのようなものがあるのでしょうか。

ひとつには、検査の性質上、糖を吸収しないがん細胞は発見できないということが挙げられます。また、がん細胞が広範囲に広がっているような場合は、ブドウ糖の密度が薄く広く反応するため発見しにくくなります。さらに、乳腺がんや肺がんでは、FDGの取り込みが少ないので発見しにくいとされています。

逆に、脳や心臓などは、がんが発症していなくても、多くの糖が集中して消費される部位であるため、がんの有無が判断しにくくなります。さらに、FDGが排出される経路となる、腎臓や尿道、膀胱などの部位でも、がんがなくても反応してしまいます。つまり、こうした部位においては、PET検査では正確な判断が難しいといえるでしょう。

また、糖尿病を発症していると、糖が筋肉に集中しやすいため、PET検査の精度が落ちるともいわれています。

そのため、通常はPET検査だけではなく、CT、MRI撮影などを組み合わせて、より正確にがんの有無を判断するようになっています。

参考: