がんの療養中に上手にリラックスするためには?

がんの療養中は、病気の症状や治療のために、心身ともにストレスが高まりやすい状況です。ストレスを感じたままでは、いろいろな面において悪影響が出てしまいます。病気や治療と上手に向き合っていくためにも、心身ともに「リラックス」できる時間をもつことが大切ですが、そもそも「リラックス」とはどのような状態を指すのでしょうか? 今回は、心身のストレスの回復につながる方法の一つ、「リラックス」についてご紹介します。この機会に「リラックス」について改めて考えてみませんか?

リラックスの必要性

がんの療養中に、上手にリラックスすることを取り入れるのがなぜ必要なのでしょうか。それは、リラックスした状態は、がん細胞を減少させる機能をもつNK細胞を活性化すると言われているからです。

そのため、がんの療養中において上手にリラックスできるようになると、NK細胞を活発化させ、治療の促進につながります。

リラックスとは

リラックスと聞くと「寝ること」や「入浴」をイメージする人もいるでしょう。確かにそれらはリラックスするための方法の一つです。「リラックス」とは、心と身体の「休養」「気晴らし」「緊張の緩和(かんわ)」のことを言い、交感神経の興奮(こうふん)が抑えられ、副交感神経の働きが優位になっている状態と定義されています。ただし前提として、自律神経(交感神経と副交感神経)がバランス良く働いている状態であること。そのうえで、副交感神経が優位になったときにリラックスしたと感じられる状態になります。

交感神経が優位となっている状態とは、何か成し遂げなければならないことに対し、十分に対処できるように頭も体も興奮して戦闘態勢となっている状態です。それに対し、忙しい一日を終え、入浴の後に何の目的も持たずに布団やソファで就寝前にくつろぐことのできる静的な状態、それが、副交感神経が優位となっている状態であり、リラックスしている状態です。

手軽なリラックス方法とポイント

がんの療養中に自宅や病院でも比較的手軽に取り組むことのできるリラックス方法をご紹介しましょう。しかし、これらの方法を全て取り入れなければと考えたり、「リラックスしなければならない」と意識してしまうと、そのこと自体が体や心を緊張させ、興奮させてしまう原因となります。楽しんで、心地よく感じることを大切にして試してみてください。

  • 負担にならない程度の軽い運動をする

緊張で筋肉が凝り固まった状態のままでは、リラックスすることはできません。そのため、準備段階として可能な範囲で軽いストレッチ、ヨガ、体操などで体をほぐしてみましょう。軽い運動でも筋肉を動かすと、全身の血流を促すことができます

運動が難しい場合には、マッサージを受けることも一つの方法です。全身をほぐすことが望ましいですが、家族など他人の協力を必要としますので、それが無理な場合には、自分で手足などのマッサージをしてみてください。足をマッサージすると、足のツボにつながった体の各部位もほぐすことができると言われています。

  • 入浴

副交感神経を優位にさせる入浴には、湯温は37~40度未満の微温浴が望ましいと言われています。入浴時間の目安は諸説ありますが、一番大切なことは、負担に感じる前に入浴を終了することです。うっすらと汗をかく程度というのも基準の一つになるでしょう。

入浴時の注意は、次の通りです。飲酒後は入浴しない。体への負担を減らすために脱衣所と浴室内の温度が違いすぎないように調整する。運動後すぐの入浴は疲労を増加させるため、運動後は30分~1時間の休憩をとってから入浴する。体への負担となるため、発熱時は入浴を避ける。消化不良を避けるため、食前後30分は入浴を避ける。脱水を予防するために入浴前後にコップ1杯ずつほどの水分を補給する。これらに気をつけて、入浴を楽しみましょう。

  • 感情を刺激する

面白い番組を見て笑う、映画に感動して涙する、カラオケで心地よく歌う、自分の感情を絵画や文章、俳句などで表現するのもおすすめです。感情を刺激することは、ストレスの発散にもつながります。自分の好きなことで存分に楽しめるものをぜひ探しましょう。 

  • 五感を活用する

音楽鑑賞で聴覚を、アロマテラピーで嗅覚を、映像や芸術などの鑑賞で視覚を、食事で味覚を、肌触りのよい寝具などを選び触覚を活用するなどして、心地よく感じられる方法を探してみてください。決まった形はありません。人それぞれ、好みも感じ方も違いますので、お気に入りの方法で五感の活用に取り組んでみましょう。

まとめ

心身ともにリラックスできることは、新たなストレスに立ち向かうためのエネルギーを養い、ポジティブな考え方やアイディアを生み出すことにつながります。個人の努力で生活の中で上手にリラックスできることが最も望ましいですが、上手にリラックスできなくとも、そのことで悩むのはやめましょう。もし、リラックスすることが難しいと感じる場合や、どうしても心配事が頭から離れないときには、躊躇せずに専門家に相談するようにしましょう。「すぐに精神安定剤などの薬が処方されるのではないか」という心配は不要です。もし、処方薬による方法を望まない場合には、先にその旨を主治医に伝えるとよいでしょう。専門家は、患者さん一人ひとりの状況や要望に応じていろいろな方法を提案してくれるはずです。「こんなこと相談しても大丈夫?」と悩む必要もありません。専門家は、それぞれの患者さんが心身ともに充実した療養生活を送れることを一番に願っています。心や体が凝り固まっているときには、ぜひ、一言相談してみてください。

参考: