がんの薬物療法を考える

抗がん剤を使ってがんを治療する薬物療法は、がん治療の代表的なものです。副作用もある程度予想できるようになっているので、症状を軽減しながら通院で治療を受けられます。がんの三大治療法のひとつである薬物療法について、改めて確認しましょう。

がんの治療に使われる薬ってどんなもの?

がん治療に使われる薬はたくさんあり、現時点で、100種類以上の薬があります。がんの種類や進行状況にあわせて使われています。単独で使う場合もあれば、いくつかの薬を組み合わせて使う場合もあります。

がん治療の化学療法で使われる薬は大きく分けて、抗がん剤、ホルモン療法のホルモン剤、免疫力を高めるための免疫賦活剤などがあります。

その他にも、痛みを和らげるための鎮痛剤や、嘔吐などの症状を抑えるための制吐剤などが症状に応じて使われます。

  • 抗がん剤:体内に入ると、がん細胞を攻撃します。血液の中に入って全身をめぐるので、がんがどこにあっても攻撃し、破壊できます。抗がん剤がなぜがん細胞を見分けられるのかというと、抗がん剤は増殖の著しい細胞を攻撃するように作られているからです。がん細胞は細胞分裂が激しく、増殖力の高い細胞です。ですから、抗がん剤はがん細胞を攻撃できるのです。ところが、健康な細胞にも増殖速度の速い細胞はいます。そうした健康な細胞も抗がん剤の攻撃を受けることになります。例えば、毛根の細胞は分裂や増殖が激しいので抗がん剤の攻撃を受けることになります。そのため脱毛などの副作用が発症するのです。
  • 免疫賦活剤:免疫療法の中の能動免疫療法に使われる薬で、自分の免疫を活性化させ、がん細胞を攻撃する力を高める働きをします。直接、がん細胞を攻撃するための薬ではなく、体の細胞を活性化させ、免疫力を高めるのが特徴です。副作用がほとんどないこともメリットといえます。
  • ホルモン剤:がんの種類によっては、がん細胞が増殖するために、特定のホルモンの働きを必要とする場合があります。特定のホルモンの働きを抑制できれば、がん細胞の増殖は抑えられます。ホルモン剤はがんが大きくなるために必要とするホルモンの働きを抑える薬です。乳がん、子宮体がん、前立腺がんなどの治療に使用されます。ホルモンの作用を抑制するための薬なので、副作用の発症を考慮しましょう。例えば、ほてりやむくみのほか、体重の増加などが考えられます。

投与方法もさまざま

がん治療に使われる薬を投与する方法には、経口で体内に取りこむ方法と、点滴や注射によって血管に直接薬を入れる方法があります。点滴によって投与するものには、さらに、細い静脈から入れる場合や、太い静脈などからカテーテルを入れて投与する場合など状態に応じた投与方法があります。

その他、肝臓がんの治療では、カテーテルを肝臓に流れる動脈に挿入し、血液の流れとともに抗がん剤を直接、肝臓に投与することも行われます。

薬物療法を受けるときの注意点

がん治療に使われる薬は日々開発され、より安全で効果の期待できるものがたくさん出てきています。しかし、抗がん剤の使用には、体力的な検証、副作用への対処など日常的な注意のほかに、詳細な検査などを継続的に行うことが必要です。

どこに発症したがんにでも対応できるとされる抗がん剤ですが、自分に適しているのか、どのような副作用が想定できるのか、あるいは抗がん剤を使用することで、どのような効果が期待できるのかなどについて、あらかじめ知っておくことは大切です。

また、薬物療法を受けるときには、自分の体調やこれまでの薬に対する反応を正確に担当医に伝えておくことも忘れてはなりません。

それぞれのポイントを以下にまとめておきましょう。

確認すべき点

  1. 使用する薬の名前
  2. 使う目的と期待できる効果
  3. 投与方法(経口なのか点滴あるいは注射か。毎日なのか、間隔を開けての投与なのかなど)
  4. 投与期間
  5. 入院治療なのか、通院治療なのか
  6. 予想される副作用と発症時期
  7. 副作用への対処法
  8. 効果の確認時期とその方法
  9. 効果が期待するほど上がらなかった場合の対処法
  10. 費用

伝えておくべき点

  1. 今までの薬による反応(アレルギーまたは副作用など)
  2. 現在服用している薬がある場合は、その名前と服用理由
  3. 抗がん剤治療や放射線治療の経験の有無
  4. 食べ物などによるアレルギーの有無
  5. 女性なら、妊娠中あるいは授乳中であるか否か
  6. 治療後、いずれ子どもを持ちたいと考えているかどうか
  7. その他、治療に対する不安や、抗がん剤に対する質問なども伝えておきましょう

まとめ

がん治療における薬物療法は、がん細胞の増殖を抑えたり、全身に転移したがんを収縮させたり、広範囲に効果をもたらすために有用な治療法です。使用される薬も、より安全で、副作用の少ないものが開発され、より継続的に使用できるようになっています。その一方で、がん細胞を攻撃し、破壊するほどの威力のある薬を使うわけですから、分量や投与期間については、体力の維持、副作用の有無など、さまざまな条件と照らし合わせての判断になります。

効果的に薬物療法を受けるためにも、自分の今の状態を素直に担当医に伝え、前向きに取り組む心構えも大切になってきます。つらいことは我慢するのではなく、体調や状態が変化したときには、すぐに連絡を取ることが必要です。

薬物療法の効果や副作用との関連を正しく知って、より快適に自分らしい療養生活を送りましょう。

参考: