がんの病期について

がんの治療は、病状に基づいて最適な治療法が選択されます。がんの状態は病期(ステージ)という言い方で表現されます。がんの病期を知ることを怖いと感じる人は少なくありませんが、その一方で、自分の病期を知ることによって前向きに治療を受け、自分らしい療養生活を送ることができたという人は多いようです。

そこで今回は、がん治療の指標となる病期についてご紹介しましょう。

がんがどういう状態なのかを知る指標

がんを治療するためには、がんの病巣について知る必要があります。どのような状態にあるのか、局部に留まっているのか、広がりはどれくらいか、あるいは転移はあるのかなどについてできるだけ詳しく調べます。そして、がんの状態を客観的に示したものを「病期」として表します。治療には、がんのできるだけ正確な状態を知ったうえで、最も効果的で体に負担の少ない治療方法が選ばれます。

したがって、自分の病期を知ると、どのような治療が行われるのかを予測できます。また、治療がもたらす一般的な効果なども理解できます。がんの治療方法には、最適とされる標準治療のほかに、さまざまな治療法が提示されることがあります。積極的な治療を選ぶ必要が出てくるかもしれません。

がんの病期をきちんと知ると、自分がどのような治療を希望し、どのような療養生活を望むのかを考えることができるのです。

病期を決める要素

がんの病期はがんの病状がどれくらい進行しているかを表わす目安ですが、その要素はがんの種類によって異なります。がんが進行すると大きさ、広がり、細胞やがん組織の状態が変化していきます。そして、それは進行度合いと深く関わっています。ですから、基本的には、病理検査や病理診断によってわかるがん細胞やがんの組織、性質などを客観的に観察することで、病期は判断されることになります。

TNM分類

がんの病期を分類する一例にTNM分類があります。

T因子:がんがどのくらい大きくなっているかを表します。

N因子:がんの病巣の周辺にあるリンパ節に転移しているかどうかを表します。

M因子:がんが局所に留まっておらず、別の臓器に転移しているかどうかを表します。

これらの3つの要素を組み合わせて、がんの病期は0から4までの全5期に分けられます。0期はがんがまだ小さく、4期に近づくほど病巣が広がっていることを表します。

大腸がんの病期

それでは、大腸がんを例に、病期分類を見てみましょう。

大腸がんの病期は、がんが大腸の壁にどれくらい深く浸潤しているか、リンパ節への転移はあるか、また、どの程度の転移があるのか、周辺のみならずほかの臓器への転移はどうかを観察し、分類します。

0期:がんが大腸の粘膜の中に留まっていて、局所的である段階。

1期:がんは大腸の壁(固有筋層)に留まっている段階。

2期:がんは大腸の壁(固有筋層)の外まで浸潤している段階。

3期:リンパ節への転移が確認された段階。

4期:肝臓、肺など、遠隔臓器への転移が認められる段階、あるいは、腹膜播種が認められる段階。

病期と治療法の一例

病期による治療法の違いを、上記で取り上げた大腸がんを例に見てみましょう。

大腸がんの治療には、内視鏡治療と手術治療があります。それらに併用して、あるいは単独で抗がん剤治療、放射線治療なども行われます。

0期から軽度の浸潤が認められる段階の1期において:体の負担が少ない内視鏡治療を選択することが多いようです。この段階の治療は粘膜内に留まっているがんを、完全に切除するのが目的です。

深部まで浸潤した段階の2期、3期、4期において:この段階では、手術が選択されます。開腹手術あるいは腹腔鏡手術によって、がん病巣をなるべく確実に切除することを目的に行われます。その後、病期検査、病理診断によって状態を見ながら、抗がん剤治療や放射線治療が選択されます。

4期において:ほかの臓器に転移が確認されている4期でも、大腸のがんと転移しているがんの両方が安全に切除できる場合は、手術によって切除します。一方、転移したがんが複数で、手術で切除するのは負担が大きいと判断された場合は、抗がん剤治療や放射線治療が選択されます。それによって、がん細胞の進行を抑えます。

最終的な治療方針は、病期のほか、患者さんの年齢や体力、希望など、さまざまな要素を勘案して決定されます。

まとめ

がんの病期は、がん細胞がどれくらい進行しているか、ほかの臓器への転移はあるかなどの客観的な検査を総合的に見ながら判断するものです。がんの病期と聞くと「怖くて知りたくない」と感じてしまいますが、前向きに治療をするためには、自分の病期をきちんと知ることが大切です。がんの病期は、ただ単にがんがどれくらい進んでいるかを示すだけではなく、最も良い治療法と自分らしい療養方法を考える指針になります。

担当医ときちんと相談するためにも、がんの病期について知り、最も自分らしい治療法を選択できる状況をつくりましょう。

参考: