がんの「標準治療」を知ろう

病気にはそれぞれ基本となる治療法「標準治療」というものがあります。この標準治療は平均的な治療方法という意味ではありません。その時代において、一般的に推奨される治療法であり、かつ、もっとも安全、安定した効果を期待できる治療法のことをいいます。そして、がんにも標準治療があります。

がんの治療では、がんの種類によって、また、がんの進度によってそれぞれ標準治療は異なり、「ガイドライン」としてまとめられています。がんの治療法は、標準治療を基本に個別に治療スケジュールが組まれます。そこで、標準治療という治療の基本的な基準を知っておくと、自分らしい治療、療法を考えるときのヒントになるのではないでしょうか。今回は、標準治療というのはどのようなものなのか、いくつかの事例をあげてご紹介しましょう。

がんの種類と、進度と、標準治療の関係

がん治療の代表として外科手術、放射線治療、薬物療法(抗がん剤治療)があります。また、これらを組み合わせて治療にあたることを集学的治療といいます。こうした治療法は、がんの種類によって手術の仕方も、放射線治療の方法も、投薬される抗がん剤も異なります。また、同じがんの種類でも、病気がどれだけ進んでいるかによって、それぞれの治療法は異なります。

がんの進度というのは、1から4までの4の病期(0期を加える場合もあります)に分けて表現されます。1期は初期の段階で、4期がもっとも病気が進行した段階を示しています。病期の決め方は、がんの病変の大きさや転移の状態などから総合的に判断されます。こうした判断は治療法を決定するときの大きな要素ですので、治療前に必ず進行度合いが診断されます。

大腸がんの標準治療

大腸がんを例にとり、標準治療とがんの進度との関係を具体的に見てみましょう。

  • 0期あるいは1期とされるのはがんが大腸の壁のもっとも内側にある粘膜にとどまっていて、他には転移が見られない場合、あるいは、粘膜の下層まで浸潤していても浅い段階である場合です。こうした0、1期における標準治療は、内視鏡治療、あるいは手術が選択されることが多いようです。
  • 1期でも粘膜下層に深く浸潤している場合には、外科手術による治療になります。さらに浸潤が進んだ2期、3期も同様です。大腸のまわりにあるリンパ節に転移している可能性もあり、大腸といっしょにリンパ節も取り除く手術が行われることもあります。
  • 4期まで進行したがんの場合は、外科的手術だけでは大腸がんを取り除くことが不可能な場合があります。また、リンパ節、他の臓器への転移を考えなくてはならない段階です。すべてのがんを手術で取り除くことは無理となり、抗がん剤の投与、放射線治療を併用することになります。さらに進行した場合には、対処療法として緩和ケアなどが併用されます。

抗がん剤の標準治療

次に、抗がん剤を用いる標準治療について見てみましょう。

たくさんの種類がある抗がん剤ですが、病名、病状に応じて最適である薬が選ばれ、あるいは組み合わせて使用されます。服用の仕方も、病状にあわせて選ばれます。たとえば、毎日服用するものもあれば、1週間ごとの繰り返し点滴治療の場合もあります。さらに、これらを組み合わせた治療もあります。

まず、抗がん剤治療を開始したら、副作用の発症状態を見ながら、薬の量や使用する間隔を調整して進めることになります。がんが小さくなっている、あるいは悪化していないということが確認されると、その量や間隔を継続し、治療にあたることになります。

このように、抗がん剤の標準治療は、副作用など治療に伴う問題の発症を抑えながら、効果的な治療を長く続けていく治療となっています。

日進月歩の進展に期待

標準治療はがん治療において、もっとも安全で効果の期待できるものであり、多くの人に推奨できるものです。また、標準治療があるので、日本全国どこにいても、レベルの高い同じ治療を受けられます。

ところで、現状でもっとも効果が認められ、安心して受けることのできる標準治療ですが、残念ながら、万全ではありません。すべてのがんが根治できるという段階にはいたっていないのです。

現状の課題は、日々進んでいく研究によって克服されることが期待されています。そして、新しく見つかった有効な薬や治療法は、臨床試験を経て新たな標準治療として承認され、治療に用いられるようになるでしょう。実際に、がん治療では、日進月歩の勢いで新しい治療法や効果のある新薬が開発されています。標準治療もその都度見直されているのです。

まとめ:治療の選択

現時点で最良の治療法であるとされている標準治療ですが、限界もあります。治療スケジュールを確認しながら、自分はがんとどのように向き合いたいかを、担当医としっかりと相談することが大切です。

参考: