抗がん剤の副作用「吐き気・嘔吐」について

むかむかする不快感、吐き気や嘔吐は、抗がん剤による治療の副作用として多くの人が経験する症状です。現在では数多くの吐き気止めが開発されてきており、症状の軽減がしやすくなっています。今回は、抗がん剤治療の副作用の中でもつらい症状のひとつである「吐き気」と「嘔吐」に焦点を当ててご紹介しましょう。

吐き気・嘔吐が生じる理由

脳の一部である延髄には、嘔吐中枢と呼ばれるものがあります。嘔吐中枢が刺激されると嘔吐が起こります。嘔吐中枢への刺激が軽ければ、症状は吐き気となって現れます。

嘔吐中枢を刺激する中枢神経は、血液中の化学物質の影響を受けやすいため、抗がん剤による治療は必然的に吐き気や嘔吐を引き起こしやすくなります。抗がん剤の種類によっては、末梢神経を介して嘔吐中枢を刺激している場合もあるようです。

吐き気・嘔吐が出現する時期

吐き気や嘔吐が現れる時期は以下の3つにわけられています。それぞれの原因と対処法を見てみましょう。

1. 治療開始直後に起こる吐き気と嘔吐

治療の開始から24時間以内に起こる吐き気や嘔吐は、抗がん剤そのものによる影響と考えられています。カイトリルやナゼア、セロトーンに、デカドロンなど、よく効く予防薬があります。

2. 治療開始2日目以降に起こる吐き気と嘔吐

治療を開始した2日目から数日間に起こる吐き気や嘔吐については、まだ原因がよくわかっていません。上記でもあげたカイトリルやナゼア、セロトーン、デカドロンのほか、プリンペラン、セレネース、ワイパックス、ソラナックスなどいくつもの種類の吐き止めが症状にあわせて用いられています。個人差も大きいので、処方された吐き止めが効かない場合にはほかの吐き止めを探してもらいましょう。

3. 心因性の吐き気と嘔吐

治療による吐き気や嘔吐を一度、あるいは何度も経験すると、例えば、病院で白衣や点滴を見ただけで条件反射のように吐き気が生じるようになってしまうことがあります。そのような場合には、気がまぎれる方法を探しましょう。好きな曲を持参して聴いたり、きれいな写真集を眺めたりして意識をそらせるようにすると効果があるようです。抗不安薬が症状の軽減に用いられることもあります。治療前から気分不良に陥るのは好ましいことではないので、吐き気や嘔吐といった症状が現れたら、すぐに担当医や看護師に相談するようにしましょう。

吐き気を抑える工夫

多くの場合には3~4日で良くなっていくとのことですが、吐き気や嘔吐はつらいものです。そこで、吐き止め以外の対処法も見てみましょう。

日常生活の中でも、ちょっとした工夫で吐き気を抑えることができる場合があります。例えば、吐き気を感じたときに深呼吸をすると、少し症状がおさまることがあるようです。そのほか、以下にご紹介する中から、いくつか試してみてはいかがでしょうか。

  • 体を締めつけない、ゆったりした服装にする。
  • 香水や香りの強い化粧品を避ける。
  • 番茶やレモン水、炭酸水などでうがいして、口の中をさっぱりさせる。
  • 食事はよく噛んで、ゆっくり時間をかけてとる。
  • 1回の食事量が多すぎないようにする。回数を増やして少量ずつとるようにする。
  • 食事中には、水などの飲み物は控え気味にし、水分は食事の前後1時間あけてとるようにする。
  • においが気になる場合には、冷まして食べる。
  • 脂肪分の多い食品、揚げ物、甘いものを避ける。
  • 胃に長くとどまらないように、消化しやすい食品や料理を選ぶ。
  • 食後2時間は横にならない。
  • 氷や酸味の強い飴をなめる。
  • 家族や親しい人に、手や背中をさすってもらう。

吐き気を抑えるツボも試してみよう

手首には「吐き気のツボ」というものがあるそうです。手首内側の、指を3本おいたあたりにあり、その部分を3秒に1回押すことを10分間くらい続けるとよいとのこと。吐き気が改善したというアメリカでの臨床報告があるそうですから、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

こんな場合にはすぐ受診を!

以下のような症状が見られた場合には、すぐに受診するようにしましょう。

  • 食事や水分が2日以上とれなかった場合
  • 腹部の張り、脱力感、発熱、腹痛、頭痛が激しい場合
  • 吐いたものが血液であったり、便臭がしたりした場合
  • 尿の量が1日あたり300~500ml以下になった場合

吐き気・嘔吐は軽減できるので相談しよう

以前は抗がん剤治療に吐き気と嘔吐はつきものでしたが、今日ではよく効く吐き止めの薬ができており、中にはほとんど吐き気や嘔吐を経験しない人もいるとのことです。現在は、吐き気や嘔吐は「予防や軽減できる」抗がん剤の副作用となっていますので、吐き気が強い場合、嘔吐が続くような場合には、我慢せずに必ず担当医に相談するようにしましょう。

参考: