抗がん剤の副作用:骨髄抑制って何だろう?

がん治療のひとつに化学療法があります。抗がん剤を内服、あるいは点滴によって投与する治療方法です。この化学療法は特定のがんに効果を発揮する新薬が開発されるなど、効果が向上してきている治療方法でもあります。しかし、化学療法では、がん細胞だけではなく、健康な細胞も薬の影響を受けることがあります。これが副作用です。骨髄抑制もほとんどの抗がん剤で現れる副作用の症状のひとつです。

今回は、骨髄抑制を取り上げ、その対処法や予防策についてご紹介しましょう。

骨髄抑制って何?

骨髄は骨の中心にある組織で、赤血球や白血球、血小板などの血球成分が作られます。骨髄は分裂増殖の速い細胞を含んでいます。がん細胞もまた速い速度で分裂・増殖を繰り返します。化学療法で用いる抗がん剤は、分裂・増殖の著しい細胞を攻撃するような効果があるので、化学療法を受けると、骨髄にある細胞も影響を受けることになります。

どのような影響が出るかというと、赤血球や白血球、血小板などを作り出す機能がうまく働かなくなるのです。このように骨髄の機能が抑制されることを骨髄抑制といいます。

骨髄抑制によって現れる症状は、どの血液成分が生成されにくくなったかによって異なります。例えば、白血球が作られにくくなると白血球減少症、血小板が作られにくくなると血小板減少症、あるいは、赤血球の数が減ると貧血が発症します。

最低数になった血球成分は、その後、徐々に正常値へ回復していきます。

具体的な症状と対処法

白血球減少症

  • 症状:白血球は外部から体内へと侵入してきた細菌やウイルスなどの異物を排除するなどの免疫効果をもつ血球成分です。したがって、白血球が減少すると感染への抵抗力が弱くなります。

化学治療後、3日経過した頃から白血球は減り始め、7日から14日目くらいの間に最低値となることが多いようです。この時期は口内炎、風邪などの感染症を起こしやすい時期だと言えます。

  • 対処法:最低値となる期間は特に手洗い、うがいを頻繁に、ていねいに行うことが必要です。外出時にはマスクを着用するなど、体内に細菌などの異物が侵入する可能性を減らす必要があります。また、白血球を増やすための薬を投与することも検討されます。

この時期は抵抗力が弱っていることを認識しておきましょう。

こうした対処法をとっていても感染してしまう場合があります。

「発熱、悪寒、発汗」「喉の痛み」「頻尿、陰部のかゆみ」といった感染の徴候や体調の変化があった場合には、すぐに主治医に相談しましょう。

血小板減少症

  • 症状:血小板は血管が傷ついたときに修復し、止血するための役割を担っています。血小板が減少すると鼻血が出やすい、血が止まりにくい、皮下出血が起きやすくなります。

抗がん剤によって血小板減少症を発症すると、歯ブラシを使っているときに歯茎から出血するなどのほか、排便時に強く力みすぎると直腸のあたりの毛細血管が傷つく、あるいは脳の周りの血管が切れて出血したときなどに、自力で止血できにくくなる危険性が出てきます。

  • 対処法:さまざまな動作において、力を急に入れすぎないことが大切です。鼻をかむときは静かに、歯磨きもゆっくりとして強くブラシを歯茎に当てないようにするなどの注意が必要です。食事内容にも気をつけ、血圧が上がらないようにしましょう。アルコール類は血液を固まりにくくするので、避けましょう。

鼻血や歯茎からの出血などを起こした場合は、傷口を清潔に保ち、体を横たえ血流量を抑えるように努めます。氷で冷やすなどして血管を収縮させると止血させることができます。しかし、こうした日常生活での作業中に出血が続くようならば、担当医に相談することが大切です。

貧血

  • 症状:貧血は体内で酸素を運ぶ役割をしている赤血球が減少することによって、体の組織が酸素を十分に得られなくなり起こる症状です。したがって、貧血状態になると、疲労感、息切れ、冷え症、頭痛、めまいなどが起こります。貧血の症状は、化学治療を開始してから、だいたい2週間程度を経て徐々に現れることが多いようです。
  • 対処法:日常生活においては、十分な休養をとることが大切です。1日のスケジュールを管理し、やらなければならないことは体力のあるうちに済ませ、夕方からはのんびりと過ごすなど、体力にあった生活を心がけましょう。1日の作業量を減らすことも必要です。

食事は1日3食を規則正しく食べるようにしましょう。胃腸などに負担がかかるため、食欲がない場合には、少量を複数回にわけて、必要エネルギーを摂取できるように工夫しましょう。また、レバーやかつおなど、鉄分を多く含む食品をとることもおすすめです。

日常的なケアで改善されない場合や、症状がつらい場合は、担当医に相談をすることが必要です。

まとめ

がんの化学治療を受ける場合、どのような薬剤を使っても、骨髄抑制が現れることが多いでしょう。しかし、使う薬剤によってだいたいの現れ方や時期が把握されているので、心配しすぎず、体力維持に努める日常生活を送るようにしましょう。骨髄抑制はそれだけでは重症になるようなことは少ないとされていますが、合併症などを引き起こすこともあり、体調の変化には早期の対応が肝心です。さまざまな徴候について見逃さないようにしましょう。

参考: